イセエビ科 Palinuridae は8属49種があり、食用や観賞用などに利用される。「イセエビ」は厳密にはその中の1種だけを指すが、日本の水産業者等の間ではイセエビ科に属するいくつかのエビの総称となっており、輸入種も含めて市場においてもその総称で流通している場合が多い。
日本産のイセエビ属 Panulirus は、イセエビを含む計6種が知られる。
カノコイセエビ P. longipes (A. Milne Edwards, 1868)
体長30cmほど。イセエビに似るが体に白や橙色の小さな斑点が散在するので「鹿の子」の名がある。また、第1触角(細い触角)に7本の横しまが入るのも特徴である。西太平洋とインド洋の熱帯域に広く分布し、南西諸島ではイセエビよりも漁獲量が多い。また、産卵期は3-10月と長い。
シマイセエビ P. penicillatus (Olivier, 1791)
体長30cmほど。イセエビに似るが歩脚に白い縦線があり、第1触角にしま模様がない。熱帯インド洋と太平洋諸島に広く分布するが、日本では伊豆諸島以南に分布する。イセエビよりも若干、黒い色も特徴の一つ。
ケブカイセエビ P. homarus (Linnaeus, 1758)
体長30cmほど。腹部の節ごとに短い毛の生えた溝があるが、これが背中の中央部で切れずに繋がる点でイセエビと区別する。体色は青灰色がかっていて、第1触角に7本の横しま、歩脚は黒と白のまだら模様、腹脚と尾は橙色をしている。西太平洋とインド洋の熱帯部に広く分布するが、日本では数が少ない。
ゴシキエビ P. versicolor (Latreille, 1804)
体長30cmほど。体色は黒色で頭胸甲に黄色の模様、腹の節ごとに黄色の縁取りがある。さらに歩脚には黄色の縦線、腹脚は赤黒の縦じま、第2触角の根もとと尾の先が赤色をしている。西太平洋とインド洋の熱帯部に広く分布するが数は少ない。名の通りの多彩さから、食用よりも寧ろ観賞用の剥製として利用される。
ニシキエビ P. ornatus (Fabricius, 1798)
体長は最大50cmを超え、イセエビ属の最大種。頭胸甲は水色で突起が橙色、腹部は黒の横しまがあり、両脇に黄色の斑点が2つずつある。第1触角と歩脚は白黒のまだら模様。西太平洋とインド洋の熱帯部に広く分布し、サンゴ礁の外礁斜面からやや深い砂泥底まで生息するが数は少ない。大型で多彩な体色から、観賞用の剥製にされて珍重される。
アカイセエビ
小笠原諸島及び伊豆諸島の一部だけに分布する海老。まれに本州の紀伊半島などで見つかることもある。2005年に三重大学の研究チームにより新種と判明。カノコイセエビに似ているが第1触角(頭の前方に伸びる短い一対のひげ)に白い帯がないことと、第2腹節背面の溝が側部の溝と連続していないことなど違いがある。ほとんど小笠原固有種なので漁期が年間二週間に限定し保護している
外国産
オーストラリアイセエビ P. cygnus (George, 1962)
体長25cmほど。体色はピンク色が強く、腹部の両脇に白い斑点が並ぶ。オーストラリア西岸に分布する。
アメリカイセエビ P. argus (Latreille, 1804)
体長30cmほど。体色が黄褐色で、腹部の節ごとに白い斑点が横に並ぶ。秋には冬眠のため深場に移るが、この時に行列をなして移動する変わった習性がある。大西洋西部に分布する。
6?8種が知られ、ミナミイセエビと総称される。
オーストラリアミナミイセエビ J. novaehollandiae (Holthuis, 1963)
体長30cmほど。イセエビに似ているが頭胸甲だけでなく腹部の殻にも突起があり、ゴツゴツしている。ニュージーランド・オーストラリア海域に分布する。日本が輸入する「イセエビ」の過半が本種である。
アフリカミナミイセエビ J. lalandii (H. Milne-Edwards, 1837)
ナミビア・南アフリカ共和国産。日本への輸出が多い。
ヨーロッパイセエビ属 Palinurus
ヨーロッパイセエビ P. elephas (Fabricius, 1787) = P. vulgaris (Latreille, 1803)
ノルウェー?モロッコ近海の北東大西洋・地中海産。
参考文献
『資料 日本動物史』梶島孝雄 八坂書房 ISBN 978-4-89-694495-2
『新装版 詳細図鑑 さかなの見分け方』 講談社 ISBN 978-4-06-211280-2
『学生版 日本動物図鑑』 内田亨監修 北隆館 ISBN ISBN 978-4-83-260042-3
『原色日本大型甲殻類図鑑 I』 三宅貞祥 保育社 ISBN 978-4-58-630062-4
『ヤマケイポケットガイド16 海辺の生き物』小林安雅 山と渓谷社 ISBN 978-4-63-506226-8
『海の生き物100不思議』 東京大学海洋研究所編 東京書籍 ISBN 978-4-48-779877-3
『標準原色図鑑全集16 海岸動物』 内海冨士夫・西村三郎・鈴木克美 保育社 1971年初版
脚注^ ⇒青島どれ伊勢エビ(宮崎特産キュラカフェ)
カテゴリ: エビ | 食用甲殻類 | ハレの食事
更新日時:2008年8月22日(金)16:31
取得日時:2008/08/30 13:41