イスラム銀行
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将来の展望


ムスリムによる将来展望

イスラム圏の大規模な企業組織では、内部に、企業の行動をシャリーアと照らして検討するための諮問委員会を持っている例がある。そういった場での議論では、現時点では無理としても、長い長い時間をかければ、無利子経済が有利子を駆逐していくだろうという楽観的な考えがあり、これは、ムスリムの学者の多くによって共有されている模様である。

たとえばムスリムである研究者 Hussein Mullick (パキスタン)は、無利子銀行が資本主義の搾取システムを止め、貯蓄家を資本家に変えてゆき、経済を活性化する点などから「無利子銀行制度が西洋の銀行制度に勝ることはあまりに明らかである」と述べている。


非ムスリムによる将来展望

対して、イスラム社会の外部から、研究対象として観察する側の意見はそれとは異なる。宗教的情熱のみでは無利子システムの維持は困難であるため、無利子金融機関は、有利子金融の利子と同程度か、それに遜色ない程度の業績をあげる(上回る場合は問題ない)ことが可能ならば、資本主義の有利子企業に伍して資本主義世界で営業を続けて行くことも可能であり、アラブ・イスラム諸国の資金力に支えられて、西欧型金融が多数を占める中で、小さく頑健な岩礁のように存続していくだろう、という視点で語られる。その根拠としては、パキスタンにおいてすら1950年代には最初の無利子銀行の試みが挫折し、ミトル・ガムス貯蓄銀行においてようやく成功、本当の萌芽は国庫からの資金を入れたナセル社会銀行、そして発展はオイルマネーによってであることが挙げられている。

アラブ・イスラム諸国の資金力とは、つまるところ石油である。石油で潤った富豪たちはイスラム銀行に多額の無配当預金をしている(彼らがこういった、自らに利益のない行動に出るのは、ザカートに代表されるイスラム社会の互助的環境のゆえである)が、これらがなければ、中東の無利子銀行の成長も、遅れたかもしれない。そしてオイルマネーとは、大量の石油を消費する西欧消費文明に由来している。一面では、無利子銀行はオイルマネーによって支えられ、オイルマネーはヨーロッパ・アメリカ社会(日本を含む)によって支えられているという指摘もできるだろう。

無利子銀行の恩恵に浴していないムスリムたちは地球上に大勢いるし、西洋にも有利子経済に疑問符を投げかける運動がある。無利子金融は今後、現状よりも拡大してゆく公算が非常に大きいが、このままの成長の先にヨーロッパ型の経済体制を単純に打破する未来像があるとは、考えにくい。

ムスリム人口が拡大しつつある中、その需要によってイスラムの無利子銀行は拡大するだろうが、優勢な勢力となり得るとは考え難い。共通点を見た西洋の脱資本主義的運動が力を持つとしても、有利子の需要がある限り、そう簡単に現状世界経済を変えることはできないと言えよう。


脚注

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^ 片倉もとこ(編)『人々のイスラム-その学際的研究』〔日本放送出版協会 1987年〕石田進「イスラムの無利子銀行の理論と実際」p.134から


関連項目

ウンマ (イスラム) - ザカート - ムダーラバ

ヒヤル

利子 - リバー

金融 - ヘッジファンド


参考文献

石田進 「イスラーム無利子金融の理論と実際」『人々のイスラーム その学際的研究』 片倉もとこ編、日本放送出版協会、1987年

石田進「イスラーム無利子金融の動向」『現状イスラム経済‐中東ビジネスのすすめ‐』 武藤幸治・石田進・田中民之、日本貿易振興会、1988年

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AHMAD, Khurshid(編)Studies in Islamic Economies The Islamic Foundation (イギリス
カテゴリ: 銀行 | イスラム教

更新日時:2008年7月3日(木)00:37
取得日時:2008/08/17 01:22


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