古代のイスラエルはヘブライ人(聖書においてはアブラハム・イサク・ヤコブ)を先祖とする、主としてセム系の言語を用いる民族。イスラエル王国は南北分裂後、アッシリアによって滅び、指導層はメソポタミア北部に強制移住させられたため、イスラエルの失われた十氏族などの様々な憶測を呼んだ。またアッシリアからの入植者と混血した者の子孫はサマリア人と呼ばれる。
現在、イスラエルは宗教的・文化的・社会的背景の異なる多様な人々が住む国である。古いルーツをもつこの新しい社会(「Altneuland」)は、今日もなお融合発展しつつある。人口550万のうち、81%がユダヤ人(半数以上がイスラエル生まれ、他は70余ヶ国からの移住者)、17.3%がアラブ人(キリスト教徒・イスラム教徒、前者には正教・マロン派・東方諸教会、後者にはベドウィンなどが含まれる)、残りの1.7%がドルーズ族、チェルケス人、サマリア人、バハーイー教徒、アラウィー派、その他の少数派である。比較的若い社会(平均年令26.9才)で、社会的・宗教的関心、政治思想、経済資力、文化的創造力などに特徴があり、これらすべてが国の発展に力強い弾みをつけている。
詳細はイスラエル (民族)、ユダヤ人、ヘブライ人をそれぞれ参照
現代イスラエルの公用語のひとつであるヘブライ語は、古代ヘブライ語を元に20世紀になって復元されたものである。一度滅んだ言語が復元されて公用語にまでなったのは、これが唯一のケースである。
上記の理由から、現代ヘブライ語の方言はない、とされる。あるとすれば、他国からの移住者のネイティブ言語の影響による「なまり」や、各コミュニティーでの伝統的な(聖書やラビ文学の朗読、礼拝などに用いる音声言語化された文語としての)ヘブライ語の発音などだろう。
イスラエル中北部やヨルダン川西岸地区に多く住むアラブ人はアラビア語の「ヨルダン定住方言」(アラビア語方言学の名称と思われるが、多分に反シオニズム的表現であると思われる。「パレスチナ方言」、「イスラエル方言」という表現も可能である)を、イスラエル南部に多いアラブ人は「ネゲヴ・ベドウィン方言」を、エルサレムのアラブ人は「エルサレム方言」を、ゴラン高原の住民は「ハウラン方言」を話し、すべてシリアからシナイ半島にかけて話される「シリア・パレスチナ方言」の一部であるとされる。
なお、西岸地区ではサマリア語の新聞も出されている。
イスラエルのユダヤ人を単に宗教的集団(ユダヤ教徒)と定義するには問題があり、ひとつの民族といえるかどうかも問題がある。ただ、ユダヤ人とユダヤ教の歴史と本質から言っても、シオニズムの歴史と理想から言っても、多くの集団を分けて呼ぶことには問題があるといえる。
アシュケナジム
主にドイツ語・イディッシュ語を母語とするドイツ・東ヨーロッパからの移民で、エリート層を占める。イスラエル独立以前からの移民はアシュケナジムが多く、都市は西洋風である。無神論者も多い(アシュケナジム・セファルディムというのは、シナゴーグや生活面での宗教的伝統、言語的な違いなどによる呼称であって、そういう民族がいるわけではない)。
セファルディム(イベリア系、イタリア、オランダ、南米、かつてのオスマン帝国領域)、
東アフリカや北アフリカなどのイスラム教圏からの移民が多く、失業率も高く、砂漠地方に住む場合が多い。イスラエル独立後に、移住して来た場合が多い。ユダヤ教の戒律を重視する人が比較的多い。イスラム教はユダヤ教やキリスト教に敬意を示すため、迫害されることは少なく、ユダヤ教徒としての暮らしを続けてきた。
ミズラヒム(山岳ユダヤ人・グルジア・インド・ブハラ・イラン・アラブ・イエメン・エチオピアなどのオリエント系移民の総称)
イスラエルには現在主席ラビが二つしかないため、アシュケナジム・セファルディムで総称されることが多いが、セファルディムとミズラヒムは本来は別のものである。ただ、セファルディムは一時ミズラヒムと同じイスラム圏に属したこともあるし、居住地から、宗教的慣習などでも共通性はある。セファルディム・ミズラヒムは国民の40%弱を占め、ミズラヒムのうち最大グループはモロッコ出身のユダヤ人である。
サマリア人
現在ユダヤ教徒の一派として認められている。
カライム・クリムチャク
ハザールとの関連も唱えられるチュルク系言語の話者。
その他、ユダヤ教に改宗した人々(ブラック・ジュー、ミゾ)などもユダヤ教徒として住んでいる。
関連項目
エスニック・リバイバル
イスラエルは高度の社会福祉の保証に努めているといわれる。特に、子供に対しては特別の配慮が払われている。従って、国家予算において社会福祉関係の予算が占める割合は大きい。
イスラエルの高水準の保健サービス、質の高い医療人材と研究、近代的な病院施設、人口当たりの医師・医療専門家の人数の多さなどは、乳幼児死亡率の低さ(1,000人当たり6.8人)や平均寿命の長さ(女性80.4才、男性75.4才)に表れている。乳幼児から高齢者まで、国民全員に対する保健サービスは法に規定され、国の医療支出(GNPの8.2%)は他の先進国と肩を並べる。
イスラエルでは教育は貴重な遺産であり、出身地、宗教、文化、政治体制など、背景が異なる様々な人々が共存している社会である。この民主的複合社会の責任あるメンバーとなるように子供を育てることが、教育制度の目的であるとされている。
大学(ウニバルシタ)はすべて公立であり、比較的安価で高等教育を受けることができる。ほとんどの大学生はダブルメジャー(二つの専攻)で、平均3年で学位を取得する。