詳細はイスラエルの政治を参照
イスラエルは議会制民主主義を採用している。行政府(政府)は、立法府(クネセト)の信任を受け、司法府(裁判所)は法により完全なる独立を保証されている。
イスラエルの国会は一院制、議員総数120名でクネセトと称される。その名称と議員数は紀元前5世紀にエズラとネヘミヤによってエルサレムに招集されたユダヤの代表機関、クネセット・ハグドラ(大議会)に由来する。比例代表制。
国の最高行政機関である政府は、国家の安全保障を含む内外の諸問題を担当し、クネセトに対して責任を有し、その信任を受けねばならない。政府の政策決定権には極めて幅がある。法により他の機関に委任されていない問題について、行動をとる権利を認められている。
官公庁
内閣
外務省
国防省
大蔵省
産業貿易省
法務省
教育省
国内治安省
通信省
内務省
運輸省
農林水産省
科学・文化・スポーツ省
国家基盤省
観光省
建設・住宅省
環境省
労働・社会省
宗教省(間も無く廃止の予定)
エルサレム問題担当省
保健省
司法の独立は法により完全に保証されている。最高裁判事3名、弁護士協会メンバー、政官界者(閣僚、国会議員など)で構成される指名委員会があり、判事はこの委員会の推薦により大統領が任命する。判事の任期は無期(70歳定年)。
また、国家安全に対するスパイ行為を除き、死刑を廃止している。しかし、パレスチナ人に対する超法規的な暗殺は日常的に行われている。テロリストといえども法によって死刑にされることはないが、裁判に掛けることなく殺しているのが実態である。予防拘禁など、治安立法も数多く制定されている。
大統領の仕事は儀式的性格が強いが、法によって規定されている。新国会の開会式の開会宣言、外国大使の信任状受理、クネセットの採択ないしは批准した法、条約の署名、当該機関の推薦するイスラエルの大使、裁判官、イスラエル銀行総裁の任命、法務大臣の勧告にもとづく受刑者の特赦、減刑が、仕事に含まれている。さまざまな公式任務のほか、市民の諸願の聴取といった非公式な仕事もある。大統領としての威信をコミュニティ組織に及ぼし、社会全体の生活の質を高めるキャンペーンに力をかす。
イスラエルの政府は伝統的に複数の政党による連立政権により運営されてきた。これは絶対多数の形成が生じにくい選挙制度に由来する。次の二党が連立政府の中心となってきた。
リクード(世俗的右派)
労働党(左派)
2006年3月28日に行われた総選挙では、中道政党カディマが29議席と第1党に躍り出た。カディマは労働党などと連立政権を組んだ。
1948年の建国と共に創設されたイスラエル国防軍(IDF)は、国の防衛の任にあたる。建国以来の度重なる周辺アラブ諸国との実戦経験により、世界でもアメリカ軍と共に最も練度の高い軍であるとされる。文字通りの国民皆兵国家であり、満18歳で男子は3年、女子は1年9ヶ月の兵役に服さねばならず、その後も予備役がある。能力があれば兵役猶予が認められ、高等教育機関で学ぶ機会を与えられる。拒否した場合は3年の禁錮刑を受けることになるが、女子のみ条件は少し厳しいものの良心的兵役拒否が可能である。少数派のドルーズ教徒とベドウィンは兵役に服すが、超正統派ユダヤ教徒、アラブ系イスラエル人(ユダヤ教徒でないもの)は兵役が免除されている。現在の任務には、パレスチナ自治機関と協調しつつヨルダン川西岸及びガザの治安を保持すること、国内及び国境周辺で生じるテロ対策も含まれている。
イスラエルは国土が縦深性に欠け、一部でも占領されれば国土や産業、国民にとって致命的なダメージを受ける。そのため、戦時には戦域を敵の領土に限定し早急に決着をつけることを戦略計画としている。有り体にいえば、先制攻撃を仕掛け、敵の攻撃力を早期に無力化することを主眼においている。この姿勢は、イスラエルには国家の安寧を守るという前提があるにもかかわらず、イスラエルを好戦的な国家とみなす論者が多い一因となっている。
兵器の多くは、建国初期は西側諸国からの供給や中古兵器の再利用に頼っていたが、その後主力戦車メルカバや戦闘機クフィルなど特別のニーズに応じた兵器を国内で開発・生産しており、輸出も積極的に行っている。海外との軍事技術交流(下記の科学研究参照)も多い。なお、国産兵器は、メルカバに代表されるように人的資源の重要性から防御力・生存性に重点を置いたものが多い。
核拡散防止条約(NPT)に加入していないイスラエルは核保有に関して肯定も否定もしていない。「イスラエルは最初に核を使用する国にはならないが、二番目に甘んじることも無い」という談話もあり、周辺国を牽制するための曖昧政策とも称されている。しかし、核技術者モルデハイ・ヴァヌヌの内部告発などの状況証拠から、国際社会においては核保有はほぼ確実視されており、アメリカも核保有を事実上認めている。アメリカがイスラエルの核開発を裏面で支援してきたという意見も(核弾頭自体を供与したという説も)存在する。イスラエルと、それ以外の諸国の核開発に対するアメリカ合衆国の姿勢の相違はダブルスタンダードであるとしてしばしば批判を受ける。
2006年12月5日、アメリカ上院軍事委員会公聴会で、次期国防長官に決定したロバート・ゲーツが「(イランが核兵器開発を進めるのは)核保有国に囲まれているからだ。東にパキスタン、北にロシア、西にイスラエル、ペルシャ湾には我々(米国)がいる」と発言。米国側が初めてイスラエルの核保有を公言したことになるため、注目された。イスラエルはペレス特別副首相が「イスラエルは核保有をこれまで確認したことはない」と従来の見解を繰り返した( ⇒イスラエル:秘密の核保有を米ゲーツ氏が“公表” 騒動に)。しかし、12月11日、ドイツの衛星放送テレビ局「SAT1」のインタビューで、オルメルト首相は「イスラエルは、他国を脅かしたりしない。しかし、イランはイスラエルを地図上から消滅させると公言している。そのイランが核兵器を保有しようとしていて、フランス、アメリカ、ロシア、イスラエルと同じレベルで話し合えるはずがない」と、核保有を認めたと取れる発言を行った( ⇒イスラエル首相、核兵器保有示唆で波紋広がる)。オルメルトは、翌日のドイツのメルケル首相との合同記者会見で核保有を否定したが、イランが非難声明を出すなど、波紋が広がっている。