連邦政府は憲法で制限列挙された権限のみを行使し、その他の権限は州と国民に留保されている(第10修正)。これを「例挙権限の原理」という。しかし、連邦議会に各州間の通商を規制する権限を与える州際通商条項(1編8節3項)などを根拠にして、連邦政府の権限は拡大している。
アメリカ合衆国の裁判所には、連邦議会が制定した法律の憲法適合性を審査する権限(違憲立法審査権)があるとされる。この権限は憲法の明文上定められたものではなく、連邦最高裁判所が1803年に出したマーベリー対マディソン事件判決(Marbury v. Madison, 5 U.S. 137(1803))により、判例法上確立されたものである。連邦最高裁判所は、この違憲立法審査権によって、アメリカ政治史上重要な憲法判断を行ってきた。
連邦最高裁による著名な判例
マーベリー対マディソン事件判決(Marbury v. Madison, 5 U.S. 137 (1803))-1803年、違憲立法審査制を確立した。
プレッシー対ファーガソン事件判決(Plessy v. Ferguson, 163 U.S. 537 (1896)) - 1896年、人種別公共施設の設置について「分離すれども平等(Separate, but Equal)」と判示した。
シェンク対合衆国事件判決(Schenck v. United States, 249 U.S. 47 (1919)) - 1919年、表現内容規制に関する「明白かつ現在の危険(clear and present danger)」の基準を示した。
ブラウン対トピカ市教育委員会事件判決(ブラウン判決、Brown v. Board of Education of Topeka, Kansas, 347 U.S. 483 (1954), 349 U.S. 294 (1955)) - 1954年・1955年、上記の「分離すれども平等」の原則を憲法修正14条(平等条項、デュープロセス条項)違反として覆し、公民権運動に大きな影響を与えた。
ミランダ対アリゾナ事件判決(ミランダ判決、Miranda v. Arizona, 384 U.S. 436 (1966)) - 1966年、身柄拘束された被疑者の黙秘権・弁護人依頼権を手続的に保障するため、これらの権利の告知などを欠いたまま得た自白は、証拠とすることができないと判示した。ミランダ警告が作成される原因になる。
レモン対カーツマン事件判決(Lemon v. Kurtzman, 403 U.S. 602 (1971)) - 1971年、政教分離に関する厳格審査基準(レモン・テスト)を示した。
ロー対ウェイド事件判決(Roe v. Wade, 410 U.S. 113 (1973)) - 1973年、人工妊娠中絶を選択することは、憲法修正14条により保障される女性の権利であると判示した。
ローレンス対テキサス州事件判決(Lawrence v. Texas, 539 U.S. 558 (2003)) - 2003年、同性愛行為を含む、私的な同意にもとづく成人間の性行為が、修正第14条で保障される自由の一つであるとした。
なお、アメリカ合衆国憲法には、社会権規定がない。また、前述のとおり修正条項が不成立のため、男女平等規定もない。
脚注^ a b NARA. " ⇒National Archives Article on the Constitutional Convention". 2007-12-16 閲覧。
^ a b NARA. " ⇒National Archives Article on the Constitution". 2007-12-16 閲覧。
^ a b c NARA. "[ ⇒http://www.archives.gov/national-archives- experience/charters/constitution_founding_fathers_virginia.html#Madison National Archives Article on James Madison]". 2007-12-16 閲覧。
^ NARA. " ⇒National Archives Article on William Patterson". 2007-12-16 閲覧。
^ NARA. " ⇒National Archives Article on Roger Sherman". 2007-12-16 閲覧。
^ a b NARA. " ⇒National Archives Article on the Entire Constitutional Convention". 2007-12-16 閲覧。
^ NARA. " ⇒National Archives Article on the Bill of Rights". 2007-12-16 閲覧。
関連項目
アメリカ独立宣言
権利章典: 合衆国憲法修正第1?10条について