執行権
独立命令である大統領令 ( ⇒Executive order) の発令。大統領令は議会の立法権に干渉してはならないとされるが、行政権の下にある連邦政府や軍に対する直接命令の他、奴隷解放宣言や日系人強制収容命令のような、自国民の重大な人権に直接関わるものも存在する。
判事、大使、各省長官をはじめとする全ての連邦公務員(ただし合衆国憲法または連邦法が特に定めたものを除く)の指名権。ただし上院の承認が必要。
上院休会中に生じた欠員に対して次回の上院の会期満了日を任期として休会任命をする権利。
全ての連邦公務員の任命権。
各省長官の罷免権。
条約の締結権。ただし上院の3分の2以上の賛成による承認が必要。
各省長官から意見を求める権利
連邦議会に法律制定その他の適切と考える施策を勧告する権利。
恩赦、刑の執行延期。
外交使節の接受権。
立法権
連邦議会への勧告権(「教書」message と言う。最も知られているのが年頭の一般教書演説 (State of the Union Address)。他に予算教書、特別教書(戦争教書)など。近年、一般教書は両院合同会議で演説されるようになった。大統領には法案提出の権限がなく、代わりに教書によって議会に法律の制定を要請することになる。また大統領には議会への出席権が無いので、本来は教書は文書として送達される。教書演説の際には、そのつど議会によって特に招待されなければならない。
連邦議会両院を通過した法案への拒否権。議会に差し戻された法案を大統領の署名なしで法律とするためには両院ともに3分の2以上の多数で再可決しなければならない。
立法がすべて議員発議という制度が厳格に守られていることもあり、かつては非常時でもない限り大統領が政策の主導権を握るようなことはないのが通常だった。しかし第二次世界大戦後の大統領は積極的に政策、特に内政に関与し、所属する政党の議員を動かしてまで自らが望む法律を制定しようとすることも見られる。また論争となりそうな法案については、国民に対して自らの考えを明らかにし、世論を動かすかたちで議会をリードしようとする動きも見られる。
指揮権
大統領はアメリカ合衆国軍及びコロンビア特別区州兵|コロンビア特別区空軍州兵の最高司令官 (Commander-in-Chief) としての指揮権をもつ。宣戦布告は議会の権限であり、軍隊を募集し編制することも議会の権限である。しかし今日では、議会による宣戦布告を悠長に待っていては先制攻撃が不可能になってしまったり、逆に敵対国から先制攻撃を受けてしまったりする可能性があるため、大統領はこの指揮権を根拠に宣戦布告なしで戦争を開始できることが慣例的(直接大統領命令で派遣でき、議会承認権限の対象とならないアメリカ海兵隊を派遣させるのが通例)に定着している。これに対して議会は、ベトナム戦争におけるなし崩し的な拡大に対する反省から、戦争権限法を定めて大統領の指揮権に一定の制約を設けている。
日常オーバルオフィス(1975年)
左から、ディック・チェイニー首席補佐官、ドナルド・ラムズフェルド国防長官、ジェラルド・フォード大統領。
勤務時間は、「自分で必要と考えるだけ働けば良い」とされている。
大統領の朝最初の仕事は「日例報告」を聞くことから始まる。この報告では首席補佐官、国務長官、国家情報長官らによって、世界中から収集した情報の報告が行われる。
日常的な執務は「オーバルオフィス」と呼ばれる大統領執務室で行われる。この部屋はホワイトハウスのウエストウイングにある。
大統領には万が一に備えて核兵器使用に必要な装置を携帯した将校がいかなる場所へも随行する。
定例の記者会見は定められていないが、通常は1ヵ月に1度以上は行われている。また必要に応じて大統領がテレビで直接国民に語りかけることもある。
毎週土曜日の朝には定例ラジオ演説を行う。5分程度のメッセージが読まれ、近況や現在取組中の課題などについてが説明される。
2007年現在、大統領の給与は年額40万ドル(約4400万円)[3]、これに必要経費5万ドル(約550万円)、旅行経費10万ドル(約1100万円)、交際費1万9000ドル(約210万円)が必要に応じて支給される。
1947年大統領継承法は、第(a)条(1)項で「もし死亡、辞任、解任、執務不能などの理由により、大統領と副大統領の双方が大統領の責務を果たし権限を執行できない場合には、下院議長が、下院議長と下院議員を辞職したのちに、大統領としてこれを行う」としたうえで、その次を上院仮議長、その次からは内閣の閣僚を所轄省庁の設立年の古い順に並べ、継承順位を第18位まで定めている。
1位 副大統領(上院議長)
2位 下院議長
3位 上院仮議長
4位 国務長官
5位 財務長官
6位 国防長官