一部の特殊なものを除き、タンパク質は20種類のアミノ酸が結合して作られている。これらのアミノ酸にはそれぞれアルファベット1文字または3文字からなる略号が付与されており、一次構造の記述に使用される。
それぞれのアミノ酸は、構造によって異なる酸・塩基性を持つ。構造内に2つのカルボキシル基を持つアミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸)は酸性を、2つ以上のアミノ基を持つアミノ酸(リシン・アルギニン・ヒスチジン)は塩基性を、その他のアミノ酸はほぼ中性を示す。また、それぞれのアミノ酸は等電点が実験的に決定されており、電気泳動などの分離時に意味を持つ。
中性アミノ酸は、カルボキシル基およびアミノ基以外に持つ特徴的な基によって、幾つかに分類される。主に、アルキル鎖を持つグリシン・アラニン・バリン・ロイシン・イソロイシン、ヒドロキシ基を持つセリン・トレオニン、硫黄を含むシステイン・メチオニン、アミド基を持つアスパラギン・グルタミン、イミノ基を持つプロリン、芳香族基を持つフェニルアラニン・チロシン・トリプトファンに分類され、タンパク質の持つ疎水性やコンフォメーションはこれらの分類を考慮しながら考察される。
アミノ酸3文字略号1文字略号等電点構造式
アラニンAlaA6.00
アルギニンArgR10.76
アスパラギンAsnN5.41
アスパラギン酸AspD2.77
システインCysC5.05
グルタミンGlnQ5.65
グルタミン酸GluE3.22
グリシンGlyG5.97
ヒスチジンHisH7.59
イソロイシンIleI6.05
ロイシンLeuL5.98
リシンLysK9.75
メチオニンMetM5.74
フェニルアラニンPheF5.48
プロリンProP6.30
セリンSerS5.68
トレオニンThrT6.16
トリプトファンTrpW5.89
チロシンTyrY5.66
バリンValV5.96
多くのタンパク質は上記の20種類のアミノ酸からなるが、ある種のタンパク質にはセレノシステイン、ピロリシンなどの特殊なものも含まれる。
上に挙げた22種類のアミノ酸は、タンパク質合成時に遺伝情報に基づいて連結される。また、上記のほかにタンパク質合成後に修飾を受けて作られるアミノ酸も存在する。例えば以下のようなものである。
シスチン ? システイン2分子が酸化されて生成する。
ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン ? ゼラチン、コラーゲンに含まれる。
チロキシン ? 甲状腺タンパク質に含まれる。
O-ホスホセリン ? カゼインなど、多くのリンタンパク質に含まれる。
デスモシン ? エラスチンやコラーゲンに含まれる。
タンパク質に含まれないアミノ酸として、以下のようなものも存在する(こうしたアミノ酸を総称して異常アミノ酸と呼ぶこともあるが、必ずしも適切な命名ではないという批判もある)。
β-アラニン ? 筋肉中に存在する。
サルコシン ? ある種の抗生物質に含まれる。N-メチルグリシンに相当する。
オルニチン ? 尿素回路の中間体。
クレアチン ? 筋肉中に存在する。
γアミノ酪酸 ? 神経伝達物質。GABA とも呼ばれる。
オパイン ? アグロバクテリウムのエネルギー源に利用される。