アクアリウム
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大衆化

アクアリウムで魚を飼うことが英国で最初にポピュラーな趣味になるのは、1851年の大博覧会で展示された、鋳鉄の枠組みを持つ華麗なアクアリウムが登場してからである。

枠付きガラスのアクアリウムは、長い航海中に外国の植物を保護するために1830年代に英国の園芸家のために開発されていたウォーディアンケース(テラリウム)を改造したものだった(今日のアクアリウム保有者から見ると奇妙に思える、19世紀のアクアリウムの1つの特徴は、火でアクアリウムの水を加温できるように金属の底面パネルを使っていることだった)。

ドイツ人は英国人に匹敵する関心を持っており、19世紀の終わりまでにはハンブルクは多くの新種をヨーロッパにもたらす港になった。

第一次世界大戦の後、家庭に電気が普遍的に通されるようになるとともに、アクアリウムはより広く普及した。電気によって、人工照明、空気注入、水のろ過および暖房が可能になり、アクアリウムの技術に大きな進歩がもたらされた。

航空輸送が可能になったことにより、遠方から非常に種々様々の魚が成功裡に輸入されるようになったため、新しい保有者を引きつけ、これが大衆化を支えた。

現在世界的に約6000万のアクアリウム保有者がいると推定され、また彼らによってさらに多くのアクアリウムが維持されているものと推測される。この趣味は、ヨーロッパ、アジアおよび北アメリカで最も強い支持を得ている。アメリカでは、アクアリウム保有者のかなりの割合(40%)が常時2つ以上の水槽を保有している。

日本では1960?1970年代頃から熱帯魚飼育に関心を持つ人が一定の自然環境を再現する事に腐心した他、1980年代後半よりテレビドラマ等にも度々インテリアとして登場し、飼育器具の発達や取扱業者の拡大と共に、次第に熱心な愛好者を増やしている。水の音や鮮やかな緑の水草、更にその合間を泳ぐ熱帯魚の群れに心癒される…とする意見も多く聞かれる。


機能と設計

古代の屋外池やガラスの器に始まって、現代のアクアリウムは広範囲の専門システムへ発展した。

アクアリウムは、一匹の小さな魚が入る程度の小鉢から、海の生態系全体をシミュレートすることができる巨大な公共の水族館までさまざまである。最も成功したアクアリウムでは、その中の生物が長期間生きていられることによって判断できるとおり、その居住者が天然で占める自然環境を注意深く模擬している。

真水のアクアリウムは、低コストで保守が容易なことから、以前から最も広く支持されているが、海水アクアリウムも、維持の難しい環境をも維持できることを専心的な熱狂家が証明するに連れて、名声を獲得してきた。


設計

アクアリウムを構成する機器類としては、水槽、ろ過システム、空気ポンプ、照明、ヒーター、タイマーなどに加え、水循環を増加させるためのウォーターポンプを付加(もしくはろ過システムに内蔵)したシステムが一般的である。

家庭のアクアリウム愛好者が保有するアクアリウムの設計は、身近な場所で販売されている機器の組み合わせで全体のシステムを構成する場合がほとんどである。

水槽は、90cm(90x45x45)、60cm(60x30x36)、45cm(45x30x30)などの、家庭用に規格化されたサイズがもっとも多く流通していて、大量生産によって価格も安く設定されている。 近年は愛好者の嗜好が多用化していることもあり、各メーカーが大量生産によって規格外の水槽(特に45cm以下の小型水槽)を安い価格で販売している場合もある。

ろ過システムは、物理的ろ過と生物学的ろ過を結合したシステムがほとんどで、主に美観のために、水中の微粒子をこしとって除去する物理的ろ過に加えて、水槽内の生物の生命を脅かすアンモニア、亜硝酸等の有害物質を、微生物によって分解し、硝酸塩等の無害な物質に変換する生物学的ろ過を同時に行う狙いをもっている。家庭用アクアリウムの中において、ろ過システムは巧みに設計された複合コンポーネントであり、水槽内の底砂を含めた形で実現されることもある。 ほとんどのシステムでは、ポンプを使用して、ろ過を行う外部装置へ水槽の水の一部を移し、ろ過された水は再びアクアリウムに戻される。蛋白質除去装置(水から蛋白質および他の廃物を取り除くろ過装置)は、通常は塩水アクアリウムでのみ使われる。 代表的な家庭用ろ過システムを分類すると、上部ろ過、外部ろ過、底面ろ過、水中ろ過等の形式が存在し、水槽内で飼育する生物の種類や、塩水、真水などの環境条件に合わせて、それぞれの形式の長短を考慮して、選択もしくは組み合わせて使用される。

空気ポンプは水槽内の生物のために水に十分な酸素を供給するために使用される。かつては一般的であったが、より新しいろ過システムでは従来ほどは多用されない。 植物の育成に特化したアクアリウムの場合には、水中に二酸化炭素を供給することがしばしば行われる。タイマーによって、光合成が行われている日中はボンベ等を使用し二酸化炭素を、夜間は空気ポンプによる酸素の供給を行うパターンが多い。この場合、二酸化炭素の供給中はポンプによる酸素の供給は停止される。

照明は、価格が安く効率もよい蛍光灯を使用することがほとんどである。最近は、蛍光灯よりさらに発光効率の高いHID(メタハラ)ランプなども使用されているが、価格が非常に高いためあまり一般的とは言えない

ヒーターは、アクアリウムを設置している環境の気温が水温より低いときに、水温をあげるために使用される。設定した温度に水温を制御するサーモスタットと組み合わせて使用するよう設計されている。ヒーターとサーモスタットが一体化した製品もある。 冷却器は、周囲の気温が希望の水温より高い場合に用いられる。

アクアリウム設計の要素は、アクアリウムの物理的な特性によって決定される。 水槽サイズ、照明、浮遊植物および根を下ろした植物の密度、朽ち木の配置、洞穴やオーバーハングの設置、基礎のタイプ、その他の要因(部屋内のどこにアクアリウムを置くかを含む)は、水槽内のすべての住人の行動や生存に影響を与える。

これらの要素の結合によって、アクアリウム内の生物に適した適切な水質および特性が維持されるのである。


水槽

水槽は、アクアリウムをする上で欠くことのできない容器である。ただし大小さまざまな水槽が販売されているため、主に置く場所によって大きさが決定される。場合によっては専門業者に依頼するなどして特注の水槽を用いることもあり、その一方ではインテリア性に優れた水槽も見られる。

当然ながら中に入れる魚よりも小さな水槽で飼育することは出来ない。大型魚の場合は小さい水槽で飼うとストレスをためたり怪我をするものもいるため、相応に広く大きな水槽で飼育される。水槽は一度水を入れてしまうと移動が難しいなどの事情もあるため、生活空間に設置される場合ではよくよく置き場所を検討する必要がある。


濾過器

濾過器は、多くの場合に於いて製品自体に適用できる水槽の大きさが示されており、水槽の大きさが決定されていれば自ずと用いる濾過器の大きさも決定される。また、飼育される魚の種類によっては水質が早く劣化し易いものもある(ディスカスなど)ため、「何を飼育するか」によっても多少事情が異なる。


照明

照明は近代的なアクアリウムにとって欠くことのできない要素である。植物の生育には日光が必要だが、直射日光の当たる環境では水温が影響され易く、またガラス表面にコケが付くなど鑑賞や観察を目的としたアクアリウムでは具合が悪い。直射日光が当たらない場所に照明器具を備えた水槽を設置するのが一般的である。

ただ、照明にしても一般的な蛍光灯は植物の生育に必要なエネルギーをもつ光線の要素が足りず、また色温度も日光と比べ高くなりがちで、日光下で美しい発色をする魚の育成には不適切な光源である。このためアクアリウムでは専用に製造された「鑑賞魚用蛍光灯」が利用されている。


分類

適切に収容することができる水生生物のタイプを決定するいくつかの変数によってアクアリウムを分類することができる。ほとんどの水生生物が不適当な水条件に少しでもさらされてしまうと生き残らないので、アクアリウムに含まれる水の条件と特性は、最も重要な分類基準である。さらに、アクアリウムのサイズによって、どんなタイプの生態系を再生できるか、種の選択および生物学的負荷が制限される。


水の条件

溶解された塩類等の物質は、基礎的な水化学、及び、有機体がどのように環境と相互作用するかに劇的に影響を与えることがあるので、水に溶けている物質は恐らく水条件の最も重要な要素である。

塩の濃度(すなわち塩分)は水条件の最も基礎的な分類である。アクアリウムは、湖または川の環境を模擬するため真水(塩分0.5%未満のレベル)のこともあれば、海の環境を模擬する塩水(塩分5%?18%のレベル)、あるいは河口のような淡水と海水の中間に位置する環境を模擬する半塩水(塩分0.5%?5%)のものもある。

水に溶けている内容物に起因する他のいくつかの水特性は、自然環境を適切に模擬する上で重要である。

水のpHはアルカリ度または酸性度の基準である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki