高橋留美子原作の『うる星やつら』後半、『めぞん一刻』をテレビアニメ化したキティ・フィルムとスタジオディーンにより制作された。期待は大きかったものの、1989年4月から毎週土曜日の夜7時30分から始まった放送は半年で打ち切られ、毎週金曜日の夕方5時30分に新シリーズ『らんま1/2 熱闘編』(以下熱闘編)として継続することとなった(この番組移動のせいで当時のスーパー戦隊シリーズは視聴率に苦戦する事になったとも言われている)。
これは、裏番組に、長寿番組のクイズダービーや当時人気だったテレビアニメ『おぼっちゃまくん』(但し、関西地区はドラマ『新・部長刑事 アーバンポリス24』)が放送されていたこと、後番組に、より強力な『ドラゴンクエスト』のアニメ化企画が持ち上がったこと、フジテレビの夕方に新作アニメ枠を設けるため、ゴールデンタイムでありながら露出シーンを多発したことによるPTAのバッシング、アニメ化の時期が早すぎたことによるネタ切れ、など様々な事情が重なったためと言われる。
『らんま1/2』で、監督とクレジットされた芝山努は多忙のため参加出来ずにそのまま降板となり、シリーズディレクターの望月智充が実質的に現場の監督を任せられた。平日夕方枠への移動と共に制作費が削られ、作画の海外丸投げ等により一部影の描かれていない絵になるなど質の低下が見られたが、原作人気が継続したこと、中嶋敦子のキャラクターデザインが一定の評価を得たこと、声優ブームに乗る形で企画CDがヒットしたことなどにも支えられ、熱闘編は放送期間3年にわたる人気シリーズとなった。これまでフジテレビではゴールデンから夕方に枠降格されたアニメがいくつかあったが、降格後のほうが長く続いた珍しいケースである。
話数を稼げるため、再放送の頻度が全国的に高い。特にCS(キッズステーション)ではほぼ毎日放映されている。枠の関係で、多いときは1日5〜6回も同じ内容で放映されていた時期もあった。しかし、関東地方ではいまだに再放送がされたことがない。
熱闘編の製作は途中で多賀英典から伊地智啓に変わっているが、これは多賀が個人的な問題で経営から引退したことによる。同時期にやはりキティ・フィルム製作だった『YAWARA!』でも同様に製作が変わっている。
大きく異なる点を列挙する。ほとんどはテレビ放送で子供が見る点を考慮した措置。
アニメ版(特に熱闘編以降)では脱衣シーン等のお色気シーンのカットや大幅な修正がされている。女体に限らず男性キャラも修正対象だった。
原作ではシャンプーはあかねに対しては恋敵として殺意むき出しであるが、アニメでは「殺す」「亡き者に」等の表現はほとんどカットされ、シャンプーとあかねが仲良く会話するシーンもあった(但し、らんまがシャンプーに実は女だったのと告白したときや、良牙と乱馬の格闘シーンの一部で「殺す」「殺してやる」と言うことがあった。EDの一つ『乱馬ダ☆RANMA』では、シャンプーはTV放送版でも「殺す」と言っている)。
右京のお好み焼きを使った攻撃など、原作で食べ物を武器にするシーンは食器や調理器具に変更されている事が多い。
原作にはあかねが人質となったり、闘いで苦境に陥ったあかねを乱馬が助ける話がいくつかあるが、アニメでは人質とならなかったり、あかねと乱馬が合体技で倒すなどの変更があった。性差別を連想させるシーンに気を使った措置と思われる。
原作では紅つばさが女の姿をした乱馬に「ブス」と罵倒しているセリフがアニメ版では「狆(ちん)くしゃ」という言葉に変更されている。これも女性差別を意識したものと思われるが、罵倒していることにはかわりないので視聴者の間では「わざわざ言い換えが必要であったかどうか疑問」という声もあった。
うる星やつらと同様、原作を元にしつつ、背景となる季節が著しく異なるために、場面設定やストーリー展開が不自然な話が複数存在する(例えば『熱闘編』第29話(原作では年末年始のエピソードだった話をアニメでは初夏のエピソードに変更)『熱闘編』第57話・108話(原作で夏のエピソードだった話をアニメでは冬のエピソードに変更)など)。
乱馬が女に変身する体質だという事は、原作では九能帯刀以外の学校の人々に早い頃からばれていたが、アニメでは最終回近くになるまで知られることはなかった。そのためアニメでは、原作にあった乱馬の友人の台詞が削られたり、場面が無くなっていたりと変更点が多数ある(主な例は、格闘ディナーの回でピコレットとの最終対決の場所が、原作は学校の体育館で生徒達を観客にして行われたのが、アニメではシャルダン家の晩餐会場で貴族達を見物人にして行われた物に変更されたことなど)。
八宝斎はパンスト太郎により国外追放され、その後漂流して、とある温泉街で悪事をして天道道場に戻ってきたが、アニメではパンスト太郎に追放された話の後に「乱馬がいないXmas」(原作では登場せず)で道場に戻ってたため、八宝斎が温泉街にいる理由が不自然になった。
アニメでは女らんまの髪の毛の色は赤であったが、原作では黒だった。これは子供が見る際、男と女の見分けが付くように分かり易くした結果だと思われる。なお原作中での乱馬は、アニメでは御馴染みの赤いチャイナ服を一切着ない。
五寸釘光の登場する時期が、アニメと原作とで異なる。原作では初期の頃で、アニメでは熱闘編後期の頃だった。そのためアニメでは、出る前の原作にあった彼の役どころを佐助に取り替え、ストーリーも改変させて放送した。このようにした理由は、時間帯が変わり、見る層も下の年代まで下がったので、内容を配慮したからだと思われる。
あかねの母(すなわち早雲の妻)が他界しているという設定が使われた時期が原作とアニメで大きく異なる。アニメ版では初期の許婚騒動で離婚ではなく死別だったことをうかがわせるかすみのセリフがあるが、原作では早乙女のどか初登場のエピソードにおいてようやく語られている。
熱闘編は放映開始当初オープニングテーマがなくオープニングナレーションのみであったが、このナレーションはドラマ「奥様は魔女」のオープニングのパロディになっており、ナレーターも同作品のオープニングナレーションを担当している中村正である。また、タイトルはお湯をかけると元に戻ることから「熱湯」⇒「熱闘」に引っ掛けたもの、と言われている。
当初予定されていた「格闘フィギュアスケート」編が打ち切りのため放送されなかったため(後に熱闘編で放送)、熱闘編初期のエピソードで放送されていない「格闘フィギュアスケート」のシーンが「回想」として挟まれ、つじつまが合わなくなった。
熱闘編以降、OVAを含めて、殴られた時などにフラッシュで一瞬、本編とあまり関係ないキャラが映ることがあり、(らんまやあかねなどをアレンジしたようなキャラが写ることもあるのでそれほど関係ないとは言えないが)ビデオ、DVDなどをスロー、一時停止をして確認できる。
OVAフラッシュの中には乱馬とあかねのヌード(当然下半身は隠れている)という過激なシーンもあった。
原作の終了に伴い、一時期『うる星やつら』や『めぞん一刻』同様に完結編が制作されないのか、製作してほしいとの声があったが現在まで実現されていない。なお、キッズステーションで、らんまのスペシャルが組まれた際に山口&日高の両キャストが解説者として出演し、「完結篇を作って欲しい」と漏らしていたこともある。
製作元のキティ・フィルムは前述の多賀引退前後にプロデューサーの松下洋子や中川順平が別社へ移籍し、アニメ部門の総責任者だった落合茂一も独立するなど有力スタッフが退社したことも大きく影響して、1990年代末期にはアニメ製作から撤退したこと、さらに落合も1999年に死去したことなどにもより、完結篇の実現は難しいものと思われる(キティ・フィルムの沿革を参照)。
本作で事実上初レギュラーにして初主役に大抜擢された山口勝平や、徐々に人気声優への足場を固めつつあった林原めぐみは出演をきっかけに不動の人気声優の道を進むこととなった。