常温においても高pHの水酸化ナトリウム溶液によって澱粉は糊化する。これは工業用の糊として段ボールや紙管、壁紙の接着に用いられる。
食品業界においては、糊化はα化(アルファ化)と呼ばれ、αデンプンの状態から凍結と乾燥を繰り返すことで製造できる、いわゆる「お湯で戻るインスタント食品」が多く存在する。
日本でも長野県の郷土料理で凍り蕎麦などの保存食が古くから伝わり、十勝新津製麺が販売するインスタント麺の製造工程でもこの方法が採用されている。 また、炊いた米を凍結乾燥することでアルファ化米などの製品が考案、販売されている。
デンプン水溶液にヨウ素溶液(ヨウ素ヨウ化カリウム溶液)を加えると、デンプン分子のラセン構造の長さによって青色〜赤色を呈する鋭敏な化学反応。この反応は、ラセン構造の内部にヨウ素分子が入り込むことに由来し、鋭敏な反応である。水溶液を加熱するとラセン構造からヨウ素分子が外れるため、呈色は消える。
直鎖の長さと呈色の関係
鎖長(グルコース残基)対応するラセン長呈色
122無色
12〜152褐色
20〜303〜5赤
35〜406〜7紫
459青
デンプン水溶液に希硫酸を加えて加熱すると、デンプンはデキストリン・マルトースを経てグルコースまで分解される。
ヒトがデンプンを食べるとまず、口で唾液中の消化酵素アミラーゼ(唾液アミラーゼ;プチアリン)により、アミロースとアミロペクチンのα1-4結合が不規則に切断され、デキストリンやマルトース(麦芽糖)に分解されていく。デンプンを含む食品を噛み続けると甘味が感じられるようになるのはこのためである。
唾液アミラーゼの作用は食べ物が胃に送られた後もしばらく続くが、強酸性の胃液によってアミラーゼは次第に失活する。
胃の内容物が十二指腸に送られると、膵臓から分泌された膵液によって中和される。そして膵液に含まれるアミラーゼ(膵アミラーゼ;アミロプシン)によりデンプンはマルトースにまで分解される。
マルトースはさらに膵液と腸液に含まれるα-グルコシダーゼ(マルターゼ)により最終的にグルコース(ブドウ糖)に分解され、小腸で吸収される。
植物が細胞内に貯蔵している澱粉粒を取り出す。基本的には植物細胞の細胞壁を破壊して取り出すが、原料とする植物の種類や用途により蛋白質あるいは脂質の除去が必要となることもある。
原料となる植物としては、ジャガイモ、コムギ、トウモロコシ、サツマイモ、コメ、キャッサバ、クズ、カタクリ、緑豆など様々な物が用いられている。
利用される植物の部位は、根、茎、種子および果実がある。根および茎からの澱粉粒の抽出は比較的容易だが、種子・果実(特に種子)からの抽出は、蛋白質や脂質の分離操作を必要とすることが多い。
トウモロコシ澱粉
いわゆる、コーンスターチ。
アミロース含量25%
粒径2-30?m、平均粒径15?mで小さめ、非常に細かく角張っている。
白色度は高く、吸湿性は少なく、灰分は最も少ない。一方、蛋白質、脂質の含量が多め。糖化原料として多く用いられる。糊化時の粘度は中庸だが安定性が高く、接着力や糊液の浸透性も高いため、化工澱粉原料として用いられる。
ワキシーコーンスターチ(もちトウモロコシ)
アミロースをほとんど含まない。
糊化温度は低く、透明なゲルを形成する。
ハイアミロースコーンスターチ(ハイアミローストウモロコシ)
アミロース含量60-70%
糊化温度は非常に高い(135℃以上にしないと完全には糊化しない)。
小麦澱粉
アミロース含量25%
粒径2-40?m、平均粒径15-40?mからなる大粒と2-10?mからなる小粒からなり、粒子は凸レンズ型。
品質のばらつきが多く、多くの製造所で粒度区分と純度に従って等級を指定している。大粒子区分を精製した特級品は糊化温度が低く、冷却時の粘度が高くなる。他の澱粉と比較して糊化時の粘度はやや低いが、冷却時粘度が高くゲル化能力も高い。糊液の粘度安定性は良好で、老化しにくく離水も少ない。水産練り製品、菓子などで粘稠剤として利用されており、一般的には浮き粉と称されている。
米澱粉
アミロース含量15-20%
コメのデンプンは複粒であり、アミロプラストの中に複数のデンプン粒が内包されている。米粒胚乳中のデンプン粒は隙間なくびっちりと詰まっている。登熟の際、高温や低温を受けると、形成異常が起こり、イレギュラーな形のアミロプラストが形成される。
平均粒径2-5?mと市販澱粉中最も小さい。このため製造上歩留まりを下げるのが難しく(60%程度)高価になる。
デンプン粒の形状とその大きさから、微細な凹凸に付着し平滑面とする効果が大きい。米澱粉は工業用としての利用が主で、印画紙用、化粧品用として用いられる。食品の手粉、打ち粉などに用いられ、和菓子用としては、白玉粉として知られる。