澱粉を水中に懸濁し加熱すると、デンプン粒は吸水して次第に膨張する。加熱を続けると最終的にはデンプン粒が崩壊し、ゲル状に変化する。この現象を糊化(こか)という。このとき、澱粉懸濁液は白濁した状態から次第に透明になり、急激に粘度を増す。粒子が最大限吸水した時粘度が最大となり、粒子の崩壊により粘度は低下する。
澱粉の糊化は、結晶構造をとっている澱粉分子の隙間に水分子が入り込むことでその構造が緩み、各枝が水中に広がることによって起こる。このとき澱粉が溶解しているように見えるが、前述したようにアミロペクチンは溶解しているわけではない。
糊化した澱粉の溶液を冷却すると、糊液は次第に白濁し、水を遊離して不溶の状態となる。これを老化と呼ぶ。
澱粉糊液の老化は、水中に分散した澱粉分子が再び結晶化することにより起こる。ただし、完全にもとの状態に戻るわけではない。
これが澱粉を原料に含むパンなどの食品が、時間を経ると硬くなる主要な原因といえる。これを防ぐ方法として、トレハロースやマルトースなどの糖類が使用されている。
常温においても高pHの水酸化ナトリウム溶液によって澱粉は糊化する。これは工業用の糊として段ボールや紙管、壁紙の接着に用いられる。
食品業界においては、糊化はα化(アルファ化)と呼ばれ、αデンプンの状態から凍結と乾燥を繰り返すことで製造できる、いわゆる「お湯で戻るインスタント食品」が多く存在する。
日本でも長野県の郷土料理で凍り蕎麦などの保存食が古くから伝わり、十勝新津製麺が販売するインスタント麺の製造工程でもこの方法が採用されている。 また、炊いた米を凍結乾燥することでアルファ化米などの製品が考案、販売されている。
デンプン水溶液にヨウ素溶液(ヨウ素ヨウ化カリウム溶液)を加えると、デンプン分子のラセン構造の長さによって青色?赤色を呈する鋭敏な化学反応。この反応は、ラセン構造の内部にヨウ素分子が入り込むことに由来し、鋭敏な反応である。水溶液を加熱するとラセン構造からヨウ素分子が外れるため、呈色は消える。
直鎖の長さと呈色の関係
鎖長(グルコース残基)対応するラセン長呈色
122無色
12?152褐色
20?303?5赤
35?406?7紫
459青
デンプン水溶液に希硫酸を加えて加熱すると、デンプンはデキストリン・マルトースを経てグルコースまで分解される。
ヒトがデンプンを食べるとまず、口で唾液中の消化酵素アミラーゼ(唾液アミラーゼ;プチアリン)により、アミロースとアミロペクチンのα1-4結合が不規則に切断され、デキストリンやマルトース(麦芽糖)に分解されていく。デンプンを含む食品を噛み続けると甘味が感じられるようになるのはこのためである。
唾液アミラーゼの作用は食べ物が胃に送られた後もしばらく続くが、強酸性の胃液によってアミラーゼは次第に失活する。
胃の内容物が十二指腸に送られると、膵臓から分泌された膵液によって中和される。そして膵液に含まれるアミラーゼ(膵アミラーゼ;アミロプシン)によりデンプンはマルトースにまで分解される。
マルトースはさらに膵液と腸液に含まれるα-グルコシダーゼ(マルターゼ)により最終的にグルコース(ブドウ糖)に分解され、小腸で吸収される。
植物が細胞内に貯蔵している澱粉粒を取り出す。基本的には植物細胞の細胞壁を破壊して取り出すが、原料とする植物の種類や用途により蛋白質あるいは脂質の除去が必要となることもある。
原料となる植物としては、ジャガイモ、コムギ、トウモロコシ、サツマイモ、コメ、キャッサバ、クズ、カタクリ、緑豆など様々な物が用いられている。
利用される植物の部位は、根、茎、種子および果実がある。根および茎からの澱粉粒の抽出は比較的容易だが、種子・果実(特に種子)からの抽出は、蛋白質や脂質の分離操作を必要とすることが多い。
トウモロコシ澱粉
いわゆる、コーンスターチ。
アミロース含量25%
粒径2-30μm、平均粒径15μmで小さめ、非常に細かく角張っている。
白色度は高く、吸湿性は少なく、灰分は最も少ない。一方、蛋白質、脂質の含量が多め。糖化原料として多く用いられる。糊化時の粘度は中庸だが安定性が高く、接着力や糊液の浸透性も高いため、化工澱粉原料として用いられる。
ワキシーコーンスターチ(もちトウモロコシ)
アミロースをほとんど含まない。
糊化温度は低く、透明なゲルを形成する。
ハイアミロースコーンスターチ(ハイアミローストウモロコシ)
アミロース含量60-70%
糊化温度は非常に高い(135℃以上にしないと完全には糊化しない)。
小麦澱粉
アミロース含量25%
粒径2-40μm、平均粒径15-40μmからなる大粒と2-10μmからなる小粒からなり、粒子は凸レンズ型。