黄砂(こうさ)とは、東アジアや中央アジア内陸部の砂漠または乾燥地域の砂塵が、強風を伴う砂嵐などによって上空に巻き上げられ、主に春を中心に東アジアなどの広範囲に飛来し、(日本ではおおよそ3月から5月)地上に降り注ぐ気象現象のことである。
目次
1 概要
2 黄砂現象の詳説
2.1 発生地
2.2 発生から落下まで
2.3 発生地と飛来範囲
2.4 発生量と天候・季節
2.5 観測
3 黄砂の変化と歴史
3.1 地質調査による解析
3.2 文献への登場
3.3 20世紀からの変動
3.4 類似の現象
4 黄砂の形状と成分
4.1 形状
4.2 組成と成分
5 黄砂による影響
5.1 物理的・経済的被害
5.2 健康被害
5.3 自然環境
5.4 天体の変色
6 黄砂への対策
6.1 砂漠化・乾燥化の防止
6.2 研究・国際的な活動
6.3 問題点と今後の課題
7 各国の黄砂
7.1 中国・モンゴル
7.2 韓国
7.3 北朝鮮
7.4 日本
7.5 その他
8 黄砂と文化
9 出典
9.1 参考文献
9.2 脚注
10 参考リンク
11 関連項目
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「黄砂」という語でひとくくりにされる黄砂であるが、この語を気象学的に定義すると複数の現象が含まれていることがわかる。発生地付近では黄砂の源となる「砂塵嵐」(砂嵐)、大気中を浮遊する黄砂は「エアロゾル」(浮遊粉塵)であり、風の有無にかかわらず黄砂が空中に大量に浮遊・降下している状態は「風塵」や「煙霧」・「ちり煙霧」、黄砂による大気の見通しの悪化は「視程障害」である。また、降り注ぐ砂自体のことも「黄砂」と呼ぶ。また、東アジア各国では気象機関がそれぞれ「黄砂」の定義を定めているが、いずれも少しずつ異なっている(後節参照)。
発生地で、乾燥や強風などといった気象条件が整えば、一年中いつでも発生する。しかし、黄砂の強さ、気流などの条件によって、黄砂が到達する範囲も異なる。春は、そういった条件が整いやすいことから頻繁に発生し、しばしば砂塵嵐を伴った強い黄砂が発生したり、遠くまで運ばれたりする。
黄砂による砂嵐や砂塵(砂ぼこり)の降下は、地域差があるものの、国際的な規模で被害を発生させる。黄砂が大量に降下すると、屋外や屋内の物が汚れ、濃い黄砂によって視界が狭くなったり、人間や家畜などの健康にも影響が出たりする。一方で、黄砂による砂塵の運搬が、自然環境の中で重要な役割を果たしていることも指摘されているほか、黄砂のもたらす独特の景観などが文化にも影響を与えている。
発生地に近いほど黄砂の濃度は濃く、粒の大きな黄砂が増え、飛来する頻度も高くなり、被害も大きくなる傾向にある。ひどい黄砂の時には、住民の生活や経済活動に多大な支障が出る地域がある。モンゴル、中国、韓国などがそうであり、黄砂への対策や黄砂の防止が社会的に重要となっている。一方で、被害が比較的軽い地域では、黄砂の飛来が季節の風物詩とされているところもある。
近年は東アジア各国で、黄砂による被害が顕著になってきているとされており、一部の観測データもこれを裏付けている。これに加えて、環境問題への関心が高まっていることなどもあり、黄砂に対する社会的な関心も高まっている。