魔球

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この項目では漫画等に登場する魔球について記述しています。東野圭吾の小説については魔球 (小説)をご覧ください。

魔球(まきゅう)とは、主に野球漫画において投手が投げる変化球であるが、常識からは外れた極めて異質な変化をするものを特に「魔球」と表現することが多い。その多くは物理的に不可能である。中には、ルールによっては反則と思われるものも存在する。

また、比喩として掴みどころのないことや、必殺の武器のことを指すこともある。
目次

1 概要

2 代表的な魔球

3 魔球の種類(野球漫画以外に登場する魔球も掲載)

3.1 消える魔球、分身魔球の難点

3.2 急に曲がる魔球の難点


4 現実の魔球

5 秘打

6 野球以外の魔球

7 参考文献

8 注記

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概要

現実的には「新種の変化球」から「超人的魔球」に近づくはずが、漫画では逆の過程をたどった。
野球漫画以前

1949年アメリカ映画春の珍事」には、後の野球漫画の「バットをよけて通る魔球」の原型ともいえるものが登場する。ただしこれは投手自身の能力や訓練によって編み出される、本来の意味での「魔球」と異なり、架空の特殊な薬品の塗布による効果という設定であった(無論現実にはありえないことであるが、仮にそのような加工を施したボールを試合に用いれればルール違反である[1])。
漫画における魔球の登場?全盛期

1958年に始まった『くりくり投手』(貝塚ひろし)が魔球を初めて出したされている。この作品は『イガグリくん』(福井英一)の野球版とも言え、後の野球漫画でよく見られるような投手対打者の構図がすでに出来上がっていた。

魔球という言葉が具体的に登場した作品は1961年開始の『ちかいの魔球』(原作:福本和也・作画:ちばてつや)とされる。その後を受けたのが、1963年開始の『黒い秘密兵器』(原作:福本和也・作画一峰大二)である。これは野球に形を借りた忍者漫画で、魔球や独特の打法は忍術、忍法の代わりだった。

名前も「魔球」のほか、「秘球」、「快球」、「超球」などバラエティに富んでいた。

そして更にその後発である『巨人の星』の大ヒットと共に魔球の存在は野球漫画において定着し、不可欠とされるようになった。『巨人の星』で星飛雄馬がまだ高校野球の速球投手だった当時、対戦相手の投手がドロップを駆使し、これが「魔球」と称された。格闘技漫画の原作を多く手がける梶原一騎の原作作品ということもあり、魔球は柔道やプロレスにおける「必殺技」の代わりだった。3号まで開発された大リーグボールとその攻略の駆け引きは作品を緊迫したものとし、「消える魔球」は正体がしばらく伏せられていた間、各界の著名人の間で種明かしの予想がなされた。

『巨人の星』の時点ですでにこれらの魔球は非常に荒唐無稽な代物であり、物理的に不可能と思われたが、『巨人の星』の後は更にエスカレートし、『アストロ球団』、『侍ジャイアンツ』などの作品で頂点を迎えた。

その影響で、当時、小学館コロコロコミックや学習雑誌でも『リトル巨人くん』を初めとする長嶋ジャイアンツに小学生が入団し魔球で活躍する漫画が幾つか登場した。『あばれジャイアンツ』では主人公が「左右にZ字型に曲がる魔球」と、「打っても外野フライになる魔球」で活躍するが、プロの打者たちやライバルに打たれ、結局、基本である速球を鍛えることになる、

『新・巨人の星』では星飛雄馬の分身魔球として「蜃気楼の魔球」が登場するが、花形と左門は謎解きよりもボールの影を見て本物を打つことを優先し、ロメオ・南条は「こんな手品の相手にはならん」と言って魔球打倒を最初から放棄し、星の別の球種を打つことを重視した。このため、「種明かし」は封印されて終わった。ここで、魔球の位置づけが徐々に変わっていた。たとえば『侍ジャイアンツ』では、数々の奇抜な投法の方が魔球そのものよりも印象的に描かれている。また『男どアホウ甲子園』でも剛球仮面による「大回転投法」が登場したが、これはいわゆる魔球ではなく剛速球を投げるための特殊な投法であった。
変化球としての魔球

水島新司の『ドカベン』など、それなりに現実に即した野球漫画が主流になると、魔球もあくまで変化球の一種として描かれるようになる。たとえば水島作品にもドリームボールやさとるボール、超遅球といった魔球が登場するが、それぞれボールが揺れるフォークボールやシンカー、絶妙のチェンジアップというだけである。奇抜な変化で打者を打ち取るより、どこでそれを投げるか、どう使うかという配球の駆け引きが、魔球そのものより重視されるようになっていく。

「決め球に使ってくると思っている魔球をあえて初球の見せ球にする」「投げる、投げると思わせておいて別の球で打たせて取る」「そんな魔球が本当にあるのかどうか打者を疑心暗鬼にさせる」など、魔球の描写に配球の駆け引きや心理戦を持ち込んだ水島の功罪は大きい。魔球の描写に新境地を与えた反面、かつての様な破天荒な変化球は必要とされなくなっていき、また配球さえ読めればどんなボールも(すくなくとも主人公には)打ててしまうなど、本来の魔球の魅力は徐々に失われていく。

ちばあきおの『プレイボール』では、主人公である谷口がピッチャーを務めるようになってから、フォークボールで強豪打線を抑えるという描写がある。最初は彼のフォークボールは怪我の後遺症とそれの対策によってできた偶然のものであり、フォークボールばかり投げていた。後遺症が手術によって完治したあとはウィニングショット的にフォークボールを使うようになる。
野球漫画の「魔球離れ」

さらに進んで、1980年代にはあだち充の『タッチ』に代表される様な、勝負の行方やプレイそのものより、野球を通じた人間関係を重視した野球漫画が主流になり、魔球は野球漫画における地位を下げてゆく。まれに登場はするものも、現実に新しく開発された新変化球を作中で別の名前をつけて魔球として扱っているだけであったり、一種のパロディやオマージュとしてであることが多く、漫画の主題とは成りえなくなった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki