相転移(そうてんい、phase transition)とは、化学的、物理的に均一な物質の部分である相 (Phase) が他の形態の相へ転移することの熱力学あるいは統計力学上の概念であり、それらを発生機構とする物理現象の総称でもある。相転移の発生は特定の原因に由来せず、原子あるいは分子間の相互作用を初めとし、結晶構造や局所構造あるいは磁場や温度・エネルギー分布など、場合に応じて複数の要素が複合的に作用して発生する現象である。
次に代表的な相転移の例を示す。
構造相転移(気相、液相、固相間の転移など)
磁気相転移(常磁性、強磁性、反強磁性などの間での転移)
金属-絶縁体転移(モット転移など)
常伝導-超伝導転移(超伝導)
常誘電体-強誘電体転移
真空の相転移(宇宙論)
目次
1 転移点
2 相転移の種類
3 第一種相転移
3.1 蒸発・凝縮・融解・凝固・昇華
3.2 物理学的性質
3.3 転移熱
4 第二種相転移
5 関連項目
6 文献
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相転移を起こす温度や圧力などの状態量の値を転移点と呼ぶ。特定の物質において転移点は熱力学的状態により決定される値であり、たとえば特定の成分系の液相-気相転移点では圧力値など状態値が指定されれば、残りの状態値である温度、すなわち沸点は一意に決定される。このように相転移の状態値を相平衡図上で俯瞰すると転移点は図上では連続した線分を形成する。
転移点の例を次に示す。
沸点、融点、昇華点、(凝固点)
キューリー温度、ネール温度
ガラス転移点
相転移は大別すると準安定状態を持つ第一種相転移 (phase transition of the first kind)」と、それを持たない第二種相転移 (phase transition of the second kind)」に分類される。
これとは別にポール・エーレンフェストは自由エネルギーの温度あるいは圧力の1階微分が不連続点を有する場合を「一次相転移 (first order transition)」、2階微分が不連続点を有する場合を「二次相転移」と呼んだ。転移点が一次相転移か二次相転移かの別により「一次相転移点」、「二次相転移点」と呼び分ける場合もある。
一次相転移と第一種相転移とは一致するが、エーレンフェストの二次相転移の定義に該当しない高次相転移も第二種相転移には含まれる。
相転移は自発的に生じる場合もあるが、一次相転移のように準安定状態を持ちうる場合は、過熱状態や過冷却状態のように転移点を越えても相転移を生じない場合がある。このような準安定状態では何らかの外的要因で核となる新しい相が発生し、それが引き金となって系全体に相転移が波及する。
物質の三態の間の状態変化はいずれも代表的な第一種相転移であり、次のように呼び分けられる。
転移前の相転移後の相現象の呼称転移点の呼称転移熱の呼称
固相
(固体)液相
(液体)融解(ゆうかい、 ⇒melting, fusion)融点(ゆうてん、melting point)融解熱(ゆうかいねつ、heat of fusion)
気相
(気体)昇華(しょうか、 ⇒sublimation)
気化(きか、vaporization)昇華点(しょうかてん、sublimation point)昇華熱(しょうかねつ、heat of sublimation)
液相
(液体)固相
(固体)凝固(ぎょうこ、solidification、 ⇒freezing)
固化(こか)凝固点(ぎょうこてん、solidifying point, freezing point)凝固熱(ぎょうこねつ、heat of solidification)
気相
(気体)蒸発†(じょうはつ、 ⇒evaporation, vaporization)
気化(きか、vaporization)沸点(ふってん、boiling point)蒸発熱(じょうはつねつ、heat of vaporization)
気化熱(きかねつ、heat of vaporization)とも呼ぶ。
気相
(気体)液相
(液体)凝縮††(ぎょうしゅく、 ⇒condensation)
液化(えきか)(特になし)凝縮熱(ぎょうしゅくねつ、heat of condensation)
固相
(固体)凝結( ⇒deposition)(昇華と呼ぶようになったのは誤訳から始まった[要出典])(特になし)(特になし)