鞭毛
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鞭毛(べんもう)は毛状の細胞小器官で、遊泳に必要な推進力を生み出す事が主な役目である。構造的に真核生物鞭毛と真正細菌鞭毛、古細菌鞭毛とに分けられる。
目次

1 真核生物鞭毛

1.1 動作原理

1.2 鞭毛の構成要素とタンパク質

1.3 鞭毛装置(flagellar apparatus)

1.4 動作の種類

1.5 生物の系統と鞭毛の修飾構造


2 真正細菌鞭毛

3 古細菌鞭毛

4 参考文献

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真核生物鞭毛受精する精子の鞭毛

動植物の精子から、クラミドモナスミドリムシといった藻類原生生物にまで広く見られる。長さは数μm〜数十μm、横断面の直径は200〜300nmほどである。通常の明視野型光学顕微鏡でも確認できるが、位相差顕微鏡や暗視野顕微鏡、微分干渉顕微鏡であればより明瞭に観察する事ができる。


動作原理

真核生物の鞭毛は、鞭毛それ自体が能動的に屈曲し、運動する能力を持つ。鞭毛の断面を電子顕微鏡で観察すると、9+2構造と呼ばれる微小管配置が観察される。鞭毛の中核を成すこの部分を軸糸(axoneme)と呼ぶ。この微小管の間にはダイニンというタンパク質分子モーターが存在する。ダイニンがATPを加水分解してエネルギーを取り出し、これが微小管(A小管とB小管)同士の滑り運動に変換されることで、鞭毛の屈曲が引き起こされる考えられている。


鞭毛の構成要素とタンパク質一般的な真核生物鞭毛の断面模式図。
1A:二連管(A小管)
1B:二連管(B小管)
2:中心対微小管
3:ダイニン外腕
4:スポーク
5:ネキシン
6:細胞膜


細胞膜

鞭毛の表面は細胞膜である。さらにその外側に、種々の修飾構造を持つ生物もいる(後述)。

微小管

中心微小管(中心対微小管、central pair)

周辺微小管(二連管、doublets)

A小管:やや内側に位置する小管。スポークと接する。

B小管:やや外側に位置する小管。


微小管は、α-チューブリンとβ-チューブリンが交互に並んで構成された13本の繊維から成る構造である。真核生物特有の構造で、原核生物には存在しない。

ダイニン(dynein)

ダイニン外腕

ダイニン内腕


ネキシン(ネキシンリンク、nexin)

スポーク(ラジアルスポーク)

キネシン(kinesin):モータータンパク質。鞭毛内輸送(IFT; intraflagellar transport)に関与する。

ここに列挙した構造やタンパク質は一例で、実際にはさらに多くの要素を含む。


鞭毛装置(flagellar apparatus)

鞭毛の根元の基底小体と、それに付随する種々の鞭毛根その他の構造を合わせてこう呼ぶ。生物によっては、パラバサリアの副基体(parabasal body)やハプト藻類のハプトネマなど、鞭毛以外の構造の基部を含む場合もある。基底小体だけで200種以上、鞭毛装置全体では300種以上のタンパク質を含むと言われる。

鞭毛装置は分類群毎の多様性と適度な保存性とを兼ね備える。従って鞭毛装置の形態は、真核生物ほぼ全体の分類に対して通用する、数少ない形態形質である。

鞭毛移行帯(transitional region):鞭毛上部(9+2構造の部分)と基底小体の間の領域。鞭毛装置には含めない事もある。この部位の機能は定かでないが、分類群によっては独自の構造を持つ。

緑色植物:星状構造

不等毛植物(ラフィド藻など一部を除く):螺旋構造(transitional helix)

ハプト藻類:板状構造(transitional plate)


基底小体(basal body)
鞭毛の根元の、細胞内に埋没した部分は鞭毛上部と構造が異なりこう呼ばれる。基底小体は周辺微小管が三連管(A小管、B小管、C小管)より成り、中心対微小管は存在しない。細胞分裂に関わる中心小体(centriole)と同じ構造であり、実際に微小管形成中心(MTOC; microtubule organizing cent)として機能するものもある。二個以上の基底小体を含む鞭毛装置では、その間を連結繊維と呼ばれる繊維構造が連結する場合が多い。

鞭毛根(flagellar root):基底小体に付随する微小管や繊維の総称。細胞内における鞭毛の位置を固定する役割があると思われる。

微小管性鞭毛根:微小管で構成された鞭毛根。鞭毛装置から伸びた微小管性鞭毛根は、細胞全体に広がって骨格微小管を兼ねる場合や、捕食装置の一部として機能する場合もある。特に高密度に微小管が配列したものは結晶性鞭毛根と呼ばれる。

繊維性鞭毛根:微小管よりも細い繊維系で構成された鞭毛根。電子顕微鏡では電子密度の高い領域として観察される。不等毛植物やプラシノ藻類では、リゾプラストと呼ばれる明瞭な縞模様を持ったものが観察される。

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)


(1)〜(3):緑藻クラミドモナス(Chlamydomanas reinhardtii)の鞭毛断面

(4)〜(8):C. reinhardtii の鞭毛装置断面
いずれも透過型電子顕微鏡(TEM)像


動作の種類

鞭毛の動作は大きく二種類の運動、鞭毛運動と繊毛運動とに分かれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen