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除斥期間(じょせききかん)とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度。
単に除斥(じょせき)と言う事もあるが、法律用語としての除斥は、一定の要件を有し手続の公正さを失わせる恐れのある者を、その手続における職務執行から当然に排除することを指すため、本項とは意味が異なっている。
民法について以下では、条数のみ記載する。
目次
1 概説
2 除斥期間の例
2.1 除斥期間と考えられるもの
2.2 判決例が認めた除斥期間の例
3 消滅時効との差異
4 除斥期間の進行の停止を認めた判例
5 除斥期間の起算点をずらした判例
6 関連項目
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除斥期間は、民法はもとより、その他の法律にも、明文規定の存在しない制度である。あくまで概念的解釈によって認定される。条文上規定されている期間を、消滅時効ではなく除斥期間の規定と解釈するのである。
消滅時効と類似する制度であるが、下記にあるような差異が認められている。もっとも、除斥期間という概念自体が解釈上認められるものであるため、除斥期間を消滅時効と同等に扱うか否かでは、各裁判所によって判断が分かれているのが現状である(裁判所の職権及び解釈によって権利の有無が判断されるため)。
また、除斥期間を明文化して民法に盛り込み、除斥期間の正当性を求める声もあるが、この場合、時効との兼ね合いが発生し二重基準になるため、時効の正当性が失われる、という問題点も存在している。
除斥期間と考えられるもの
即時取得の盗品又は遺失物の回復( ⇒193条)盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
占有の訴えの提起期間( ⇒201条)1年以内に提起しなければならない。
詐害行為取消権の期間の制限( ⇒426条)行為の時から20年を経過したとき消滅する。
売主の担保責任( ⇒566条)契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。
不法行為による損害賠償請求権の期間の制限( ⇒724条)不法行為の時から20年を経過したときは、消滅する。
不適齢者の婚姻の取消し( ⇒745条)適齢者は、適齢に達した後、なお3箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。
判決例が認めた除斥期間の例
不法行為に基づく損害賠償請求権に関する20年の期間制限( ⇒724条後段)
1989年(平成1年)12月21日 最高裁第一小法廷判決、民集43巻12号2209頁
⇒724条後段の不法行為に基づく損害賠償請求権に関する20年の期間制限は除斥期間であり、当事者が援用しなくても裁判所は請求権が消滅したものとして判断すべきである。
消滅時効と効果が似ているが、上記制度趣旨から下記の差異があるとされている。
除斥期間には、中断は認められない(ただし異論が強い)。
除斥期間には、原則として、停止がない(ただし、下記の判例)。
除斥期間は、当事者が援用しなくても、裁判所の職権によって権利消滅を判断できる。
除斥期間は、権利発生時から期間が進行する(起算点)(消滅時効は権利行使が可能となった時点から期間が進行する)。
除斥期間には、遡及効果が認められない。
除斥期間の進行の停止を認めた判例
1998年(平成10年)6月12日 ⇒最高裁第二小法廷判決、民集52巻4号1087ページ
不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告(現在の成年後見開始決定)を受け、(成年)後見人に就職した者がその時から6箇月内に右不法行為による損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、 ⇒158条の法意に照らし、 ⇒724条後段の効果は生じない。
2008年(平成20年)1月31日 東京高裁判決(足立区女性教師殺人事件)
26年前に失踪した女性が、加害者の自首により26年後に遺体が発見され殺害が判明した事案で、隠蔽し続けた加害者が損害賠償義務を免れることは、著しく正義、公平の理念に反するとして、特段の事情があり、除斥期間の効果は生じず、相続人が確定した時から6月経過するまで時効は完成しないとした。