閏秒(うるうびょう:leap second)とは原子時計に基づく協定世界時(UTC)と地球の自転に基づく世界時(UT1)とのずれが大きくならないように挿入または削除される1秒のことである。UTCとUT1とのずれが0.9秒以内になるように調整が行われる。
目次
1 概説
1.1 閏秒と閏日(閏年)
2 各種標準時刻サービスでの対応
2.1 時報サービス
2.2 電波時計
2.3 NTP(Network Time Protocol)
2.4 GPS(Global Positioning System)
3 過去の実施日
4 外部リンク
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現代の時刻の1秒は原子時計によって刻まれる。原子時計の秒は、86400秒すなわち通常の場合の24時間が体感上の1日(地球の自転周期の一つである平均太陽日)となるべく一致するように定義された。とはいえ、
原子時計の刻む国際原子時(TAI)は原子の放射の振動数によるもの
地球の自転に基づく時系(UT1)は地球の自転角によるもの
であって、両者は本質的にまったく無関係の現象に依拠している。仮にある時点でTAIとUT1を同期させたとしても、両者が同じ歩度を保つ保証はない。
日常生活のためには朝に日が出て、正午ごろ南中し、夕暮れに日が沈むのが適切であろう。だからといって、地球の自転速度(UT1)を基準に時間を定義すると1秒の長さが地球の自転の不整によって変化してしまい、学術などの分野で著しく不都合である。他方、地球の自転と無関係に原子時計の示す時間だけを使い続けると、地球の自転の不整とのずれが累積した場合、極端な話TAIでは昼の12時なのに世界は真夜中といった状況が発生し、適切でない。よってあいまいさのない(不変に近い)1秒という単位と日常生活のための昼夜のリズムに同期した時刻の両方をそれぞれの理由から必要としている。
現在、われわれが日常実際に使う時刻系・協定世界時(UTC)は、基本的には最初TAIと同期し、秒の長さは常にTAIに従うものである。しかし、それでは実際の地球の自転角が示す時刻UT1との同期が保証されない。そこでUT1とUTCの誤差が0.9秒を越えないように、UTCではプラスまたはマイナス1秒の調整を行う。この1秒が閏秒である(UTCとTAIは最初は同期しているが、閏秒の実施に伴って差が生じる)。
要するに、UTCとは原子時計の秒を刻みつつもその実、地球の自転UT1とずれないように(原子時計との誤差が0.9秒を越えないように)地球の自転に合わせてときどき「秒針をずらす」時刻系である。UTCの1秒は常に正確であり、かつ地球の自転との誤差も時間の1秒未満に抑えられているが、その代償としてときおり1日の長さが変化してしまう(例えば86401秒の日が存在する)。2006年現在、実施されたうるう秒はすべてプラスのうるう秒であり、結果的に、UTCとTAIの差は拡大している。これをもって「地球の自転がだんだん遅くなっている」と誤解する人がいるが、TAIの秒の定義が少し短過ぎたと言うべきだろう。もし本当に地球の自転がだんだん遅くなっているなら、閏秒の挿入頻度が増えるはずだが、そうはなっていない。つまりTAIとUT1(地球の自転)は現在のところ、それぞれほぼ一定の(しかし微妙に異なる)歩度である。なお実際に月の潮汐作用によって地球の自転は次第に遅くなってはいるが、10万年に1秒といったレベルであり影響は皆無である。
閏秒による調整の実施については、地球の回転についての国際観測を実施している国際地球回転事業(IERS)がいつ、どのように行うか決定する。
定義上は1秒差し引く場合(負の閏秒)もあり得るが2005年現在までに削除が行われたことはなく、挿入(正の閏秒)しか行われていない。実施される場合はUTCで6月30日か12月31日に実施され、23:59:60の挿入または23:59:59の削除が行われる。6月末または12月末の調整では間に合わない場合(誤差が0.9秒を越えてしまいそうな場合)は、第二優先として3月31日又は9月30日にも調整が行われる。
1972年6月30日(UTC、以下同)に第1回の閏秒が実施され、これまでに合計23回、最近では2005年12月31日に行われた→ ⇒ウィキニュース 。
閏秒と閏日(閏年)は無関係である。閏秒が地球の自転の不整と原子時計の間の調整であるのに対して、閏日(閏年に挿入される臨時の2月29日)は地球の公転周期と地球の自転周期が簡単な比になっていないことを調整するためのものである。長期においては、閏秒などの時間調整がなければ正午に夜中などのズレが生ずる。閏日(閏年)がない場合には、カレンダーは12月なのに「北半球の季節は真夏」というズレが起こりうる。
時報サービス
NTT東日本及びNTT西日本は時報サービス(電話番号:117番)において閏秒実施時の100秒前から1/100秒ずつ調整し、閏秒実施時にちょうど1秒ずれるようにしている。よって、閏秒実施時に秒が挿入または削除されるようなことはない(参考: ⇒時報サービスの概要(NTT東日本))。
電波時計は標準電波を利用して時計の時刻を校正するサービスである。日本では独立行政法人情報通信研究機構が提供する標準電波および標準時刻のサービスJJYを利用できる。
⇒JJYの時刻送信フォーマットには閏秒の挿入または削除を予告する情報が含まれている。ただし電波時計は掛け時計や置時計、腕時計など生活時計に使われることが多く、(日本標準時)8時59分60秒の挿入や8時59分59秒の削除が問題になることは少ない。このため実際の製品では単に59秒を示すP0マーカーの次の1秒で00秒にリセットする動作だけが実装されていて、表示としては(日本標準時)9時00分00秒が2回繰り返される・8時59分59秒がとばされるだけという動作が多いと考えられる(実際の電波時計は常時受信可能とは限らないため、1時間に1回だけ校正する場合も多い。その場合は最初の校正時刻でこのような動作になる)。針式のアナログ時計では単に時計が1秒進んだ・遅れた場合と同様に徐々に閏秒挿入・削除後の時刻に同期していくだけという製品が多いと考えられる。
なおJJYにおける閏秒の実施は、事前に官報で予告される。
NTP(Network Time Protocol)はコンピュータどうしの時刻を同期させるプロトコルである。