錬金術(れんきんじゅつ、Alchemy)とは、最も狭義には、化学的手段を用いて卑金属から貴金属(特に金)を精錬しようとする試みのこと。
広義では、金属に限らず様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象として、それらをより完全な存在に錬成する試みを指す。錬金術の発達の過程で、硫酸・硝酸・塩酸など、現在の化学薬品の発見が多くなされ、その成果は現在の化学 (Chemistry) にも引き継がれている。歴史学者フランシス・イェイツは16世紀の錬金術が17世紀の自然科学を生み出した、と指摘した。ウィリアム・ダグラス作 『錬金術師』
目次
1 概要
2 錬金術の歴史
2.1 古代ギリシア
2.2 イスラム錬金術
2.3 西ヨーロッパの錬金術
2.4 東洋の錬金術
2.5 中国の錬金術
2.6 錬金術への批判
3 錬金術と科学
4 錬金術の成果
5 錬金術という語の転用
6 現代の科学による金の生成
6.1 核分裂によるもの
6.2 核融合によるもの
7 錬金術師とされる人物の一覧
8 フィクションへの影響
8.1 小説
8.2 アニメ
8.3 漫画
8.4 ゲーム
9 関連事項
10 参考文献
11 外部リンク
12 注
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一般によく知られた錬金術とは、物質をより完全な存在に変える賢者の石を創る技術のことをいう。この賢者の石を用いれば、卑金属を金などの貴金属に変える事ができるという。
なお、一般的には金への物質変成など「利殖」のイメージが強い錬金術ではあるが、本来は「万物融解液」により、物質よりその性質(例えれば金が金であるという性質)を具現化させている「精」(エリクシル)を解放し「精」の性質を得ようとするのがその根元的な目的であり(金のエリクシルは過程であって目的ではない)、生命の根元たる「生命のエリクシル」への到達こそが錬金術の究極の目的である。
「生命のエリクシル」は人体を永遠不滅に変えて不老不死を得る事ができるとされ、この場合は霊薬、エリクサーとも呼ばれる(なお、賢者の石が文献上に記述されるのはエリクサーよりかなり後である)。
それ故、錬金術は神が世界を創造した過程を再現する大いなる作業であるとされる。 錬金術で黒は富や財産を表し、白は不老不死の永遠、赤は神との合一を意味する。
特に中世ヨーロッパにおいて長期間にわたって行われたが、これは西洋において他の学問などと同様に一度失伝した錬金術が イスラム世界から再導入されたものである。
Alchemy(アルケミー)はアラビア語 Al kimiyaに由来し、Al はアラビア語の定冠詞(theに相当)であり、この技術がイスラム経由で伝えられたという歴史的経緯を示す。
語源については通説は定まっていない。
エジプトの地の意のKham(聖書でもHamとして使われた)から、Khemeiaはエジプトの術の意味だという。
ギリシア語でKhumos(χυμ??)(植物の汁の意)で、Khemeia(χημε?α)は汁を抽出する術の意味だという。
錬金術とは一般の物質を「完全な」物質に変化・精錬しようとする技術のことであり、さらには人間の霊魂をも「完全な」霊魂に変性しようという意味を持つこともあった(=神に近づく、神になる、神と合一する方法ともいえよう)。 またホムンクルスのように、無生物から人間を作ろうとする技術も、一般の物質から、より完全な存在に近い魂を備えた人間を作り出すという意味で錬金術と言える。
錬金術に携わる研究者を錬金術師と呼ぶ。特に高等な錬金術師は、霊魂の錬金術を行い神と一体化すると考えられたので、宗教や神秘思想の趣きが強くなった。
最も真理に近付いた錬金術師は(古代の伝説上の人物)ヘルメス・トリスメギストスと言われ、著したとされる『ヘルメス文書』、『エメラルド・タブレット』は尊重された。ウロボロス
『ヘルメス文書』はあるアラブ人の手によってエジプトの大ピラミッドの内部にあるヘルメス・トリスメギストスの墓から発見されたといわれるエメラルド板に記された文書である。当然ながら原版は現存せず、中世に書かれた写本が現在に残る最も古い完全な写本である。そのためその歴史的信憑性は長年怪しまれてきたが、後年エジプトのテーベで発見された魔術師の墓から見つかったパピルスに『ヘルメス文書』の写しの一部が記述されていたため、現在ではその歴史的価値は一応認められているといえよう。ちなみにこのパピルスは現在「ライデン・パピルス」と呼ばれ、カイロ博物館に保管されている。
錬金術は、中世ヨーロッパの非キリスト教に対して行われた弾圧に対して、弾圧される側の人々が非キリスト教的な知識や行動をごまかすために使った手段である。 ユングが「錬金術は、地表を支配しているキリスト教に対して、いわば地下水をなしている」というものである。