鋼(はがね、こう、Steel)とは鉄を主成分にする合金の総称で、鉄鋼(てっこう)とも呼ばれ、鋼でできた材料を鋼材(こうざい)、板状の鋼材を鋼板(こうはん)と呼ばれる。 「はがね」の日本語の語源は刃金(ハガネ)が起源である。
英語の発音である「スチール」という言い方もあるが、「盗む」のスチール(steal)と発音が同じなので、商用の言葉にはなり難い。一方で鋼はその頑強さからしばしばイメージで語られることがある。英語圏では ⇒マン・オブ・スティールはスーパーマンの通称で知られており、名字としてはロシア語で「鋼鉄の人」を意味する独裁者ヨシフ・スターリンを指す。
目次
1 定義
1.1 語源
1.2 金属学からの定義
2 製鋼法
3 鋼の種類
3.1 成分からの分類
3.2 性質からの分類
3.3 用途からの分類
3.4 形状からの分類
4 加工法
5 表面硬化処理及び表面処理
6 世界の主要鉄鋼メーカー
7 関連項目
8 外部リンク
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鋼(はがね)の語源は、刃物に使用された金属を意味した「刃金(はがね)」である。一般に鋼とは、鉄に炭素が重量比0.3-2.0%(mass%)程度混ざった合金であり、それを鍛造段階で軟鉄に接合して刃物を製作していた。したがって鋼とは、一般に鉄とは異なり、硬い刃先を形成している物質を指していた。ここを原点にさまざまな鉄合金が発達し、そのつど鋼の定義は拡大解釈されて現在に至っている。鉄鋼はドイツ語のEisen und Stahl もしくは英語のIron and steel の訳が語源とされているが、国内で最初に「鉄鋼」と言う呼び名は安来鉄鋼合資会社が自社の錬鉄素材へつけたことが出発とされている。
鋼は、さびやすいという欠点はあるものの、炭素含有量や熱処理の仕方によって、材料強度や耐食性、耐熱性、磁気特性、熱膨張率などを変えることが可能である。鋼と呼ばれないものには、鋳鉄、錬鉄などがある。これは使い勝手から来る要求性能よりも作り勝手を重視しているからである。語感からいうと、熱処理などによって優れた強度・硬度をもつものを鋼と呼ぶように認識されがちなのは、その原義が日本語では刃物の金=刃金=鋼であり、漢字としても強く硬い(剛い)金=鋼という昔からの概念に、近代の合金という意味合いを重ね合わせたためである。この古い概念に相当する鋼は、金属組織学上マルテンサイト組織と呼ばれ、その状態はもっとも強靭な状態である。
金属学からの定義Fe-C状態図
炭素量と温度により、鉄はさまざまな組織となる。
現在の金属学からの定義は、Fe-C系2元合金において、C含有量が0.0218?2.14[mass%]の範囲にある部位である。言い換えると、フェライトのC最大固溶量・0.0218[mass%]からオーステナイトのC最大固溶量・2.14[mass%]までの範囲の部位とも定義できる。
なお、Fe-C系2元合金において、C含有量が0.0218[mass%]以下の部位を鉄と呼び、2.14[mass%]以上の部位を鋳鉄と呼ぶ。
鋼の生産は、高炉で作られた銑鉄を原料として転炉で生産する方式(転炉製鋼法)と、鉄スクラップを原料として電気炉で生産する方式(電気炉製鋼法)の2通りがある。日本での生産割合は、転炉製鋼法が約75%、電気炉製鋼法が約25%である。日本古来の製鋼法を「たたら吹き」と呼び、日本刀の原料、玉鋼を極少量であるが非営利目的で製造している。
鉄鋼材料はいろいろな名前で呼ばれている。また、分類法によって、同じ鉄鋼材料が別の名前で呼ばれることがある。
鋼は機械・金型・工具に長く使われた伝統があり、その用途ごとに、鋼種の改良が進んできたため、例えばJISの鋼種の分類も、銅などの合金が比較的成分の系列にしたがって系統的に命名されているのに比べて、用途別や、製法によるものや、強度区分を含むもの、成分の1つである炭素量を示すものなどがあって、解りにくいものになっている。強度の高い高張力鋼板(ハイテン)を加工する金型なども特殊鋼の一種である工具鋼という同一強化機構を用いているのは、鋼の幅広い強度調整力を示す好例である。
例えばS45Cという鋼種は炭素量0.45%の鋼をいい、SUJ(軸受鋼)は、ボールベアリングの内外輪に使われる鋼種であるということを示す。
さらに、各国の規格において鋼種の呼称が異なっている。例えば
S45C (JIS)、1045、(SAE/AISI)、C45 (DIN)
SKH10 (JIS)、T15 (AISI/ASTM)、S12-1-4-5 (DIN)である。
鋼の特長は、まず鉄に軽微な合金化を行うことにより最も強靭な固体材料を生成できることにある。次に資源が豊富であり比較的酸素との親和性が低いため安価に精錬ができてきたのが多用される重要な要素である。また、別元素との固溶限が大きく合金化しやすい側面もあるため多様な合金が開発されてきた。合金元素を添加することによって、シリコン (Si) を添加した電磁鋼、ニッケル (Ni) やマンガン (Mn) を添加した非磁性鋼、クロム (Cr) やニッケル (Ni) を添加したステンレス鋼、最も原始的な炭素にさらに別合金元素を添加することにより、飛躍的性能を持つ工具鋼、高速度鋼などさまざまな用途に適した性能をあたえることができる。