炭酸 炭酸(たんさん)は、化学式 H2CO3 で表される弱酸である。 普通は水溶液中のみに存在し、水に二酸化炭素を溶解することで生じる。 この反応の平衡定数 (Kh) は 25 ℃で 1.7 × 10?3 であり[1]、著しく左に偏っているため水溶液中の二酸化炭素の大部分は CO2 分子として存在する。触媒が存在しない場合、二酸化炭素と炭酸の間の反応が平衡に達する速度は低く、正反応の速度定数は 0.039 s?1、逆反応の速度定数は 23s?1 である。 二酸化炭素と炭酸の平衡は体液の酸性度を調節する上で非常に重要であり、ほとんどの生物はこれら2つの化合物を変換させるための炭酸脱水酵素を持っている。この酵素は反応速度をおよそ10億倍にする。 炭酸は水溶液中で2段階の解離を起こす。25 ℃における酸解離定数は1段階目が pKa1 = 3.60、2段階目が pKa2 = 10.25 であり、炭酸は酢酸よりも場合により、強い酸であるが、上記の二酸化炭素との平衡が存在するために、見かけ上は pH が高い非常に弱い酸である。このため炭酸塩は相応の塩基性を示し、灰汁として古代より日常生活のアルカリとして洗浄などに活用されてきた。 長い間、炭酸そのものを室温で単離することは不可能だと考えられていた。しかし、1991年にNASA・ゴダード宇宙飛行センターの科学者が初めて純粋な H2CO3 を作り出すことに成功した[2]。彼らは凍結させた水と二酸化炭素に高エネルギーの放射線を照射したのち、加温して余分な水を取り除くことにより単離を行った。得られた炭酸の構造は赤外分光法によって検討された。宇宙空間には水や二酸化炭素の氷が普通に存在することから、この実験結果は宇宙線や紫外線によってそれらが反応することで生成した炭酸も宇宙空間には存在する可能性があることを示唆している。 理論計算によって、水が1分子でも存在すると炭酸はすぐに二酸化炭素と水に戻ってしまうが、水を含まない純粋な炭酸は気体状態で安定であることが示されており、その半減期はおよそ18万年であると見積もられている[3]。 炭酸イオン(たんさんいおん、CO32?)は2価陰イオンである。塩酸、硫酸、硝酸などといった酸とは異なり炭酸は不安定な酸なので、二酸化炭素が水に溶解する際にわずかに生成するものの、主に炭酸塩として存在する。この性質は亜硫酸に似ている。鍾乳洞は炭酸塩の1つである炭酸カルシウムによって形成されている。また、炭酸塩は一般に水に溶けにくいという性質を持つ。炭酸が1段階解離したイオン HCO3? を重炭酸イオンと呼ぶことがある。例えば、NaHCO3 は「炭酸水素ナトリウム」または「重炭酸ナトリウム」と呼ばれる。 大気中の二酸化炭素 (0.033%) が溶け込んだ水の pH は 5.6 である。通常の雨水は二酸化炭素で飽和状態になってはいないため、大気汚染物質がなければその pH は 6 前後である。これは二酸化硫黄などの工業廃棄物によって雨水の pH が激しく低下する酸性雨現象とは異なる。しかし、雨の酸性度はチョークや石灰岩などの炭酸塩鉱物に関する重要な地質学的問題である。岩石に含まれる炭酸カルシウムと炭酸水素カルシウムの間には、以下のような溶液中での平衡が成り立っている。 これにより、水が入りこんだ断層線付近の地下洞窟が浸食されることがある。カルシウムを多く含んだ水が蒸発すると炭酸カルシウムが沈殿し、しばしば鍾乳石や石筍
分子式H2CO3
分子量62.03 g/mol
CAS登録番号[463-79-6]
形状水溶液中にのみ存在
密度と相1.0 g/cm3, 希薄水溶液
SMILESC(=O)(O)O
目次
1 性質
2 炭酸の不安定性
3 炭酸イオン
4 炭酸と雨水
5 炭酸塩
5.1 炭酸塩鉱物
6 関連項目
7 参考文献
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炭酸塩は炭酸と塩基(アルカリ)を中和させて出来る塩のこと。無機炭素化合物の一種。炭酸塩の中には、生物にとって重要な物質(炭酸カルシウムなど)がある。また、産業にとっても重要なもの(炭酸ナトリウムなど)がある。アルカリ金属の炭酸塩以外は水に溶けないものが多く、一般に加熱により二酸化炭素を発生して金属酸化物を得る。
炭酸アンモニウム ((NH4)2CO3) ? 炭安とも呼ばれる。
炭酸水素カリウム (KHCO3) ? 重炭酸カリとも呼ばれる。
炭酸カリウム (K2CO3) ? 植物の灰の成分であり、古代より洗剤として利用。