過少消費説(かしょうしょうひせつ、under-consumption theory)とは、生産に比べて消費が少ないことが景気循環を引き起こす、とする学説。
イギリスにおいて19世紀前半にトマス・ロバート・マルサスやローダーディールらが説いて以来、経済学者たちから全く注目されていなかった理論でであったが、19世紀後半にジョン・アトキンソン・ホブソンとA・F・マムマリーの共著『産業の生理学(The Physiology of Industry,1889年)』が出版されることによって注目されるようになった。
この理論(ホブソン)の重要な点は、所得の不平等が経済の衰退を引き起こすことによって、貧しい者は消費に余裕が無く、豊かな者は所得の一部のみを消費に当てるだけの状態になり、市場は供給過剰に陥る。その結果、商品需要の不足が発生するため豊かな者は貯蓄に励み生産に再投資しない。この貯蓄の増加が経済的均衡を崩す結果を生み、生産縮小のサイクルが始まると説いているところにあるとする。
後に、この学説はジョン・メイナード・ケインズによって継承され有効需要の概念となって発達した。
この学説を根拠に、近年の日本の大企業は労働者にリストラや賃金の抑制を強いたり、派遣労働や中小企業・下請け企業への過度のコスト削減圧力を推し進める事により、一時的に商品の販売価格が抑えられて消費が回復して業績が回復が図れるものの、アメリカのように格差(格差社会)が拡大することにより消費は抑制され、やがては不景気が長く続いて経済は長期低迷に陥るだろうと危惧する識者もいる。
マルクス経済学においては、恐慌の必然性の説明に用いられている。カール・マルクスのほか、ポール・スウィージー、アルベルト・アフタリオンらの説がある。
関連項目
ジョン・アトキンソン・ホブソン
ジョン・メイナード・ケインズ
有効需要
厚生経済学
格差社会
カテゴリ: 経済学 | 経済学史 | イギリス社会主義
更新日時:2008年3月5日(水)18:52
取得日時:2008/08/21 06:43