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輸液(ゆえき)とは、水分や電解質などを点滴静注により投与する治療法である。血液成分の投与については輸血を参照のこと。
目次
1 目的
2 適応
3 輸液製剤
3.1 輸液製剤について
3.2 主な輸液製剤の組成
4 輸液量
4.1 単位換算
4.2 基礎輸液と維持輸液
4.3 維持輸液の考え方
4.4 外科的分野
4.4.1 周術期輸液
4.4.2 手術中
5 輸液速度
6 電解質の補正
7 酸塩基平衡の補正
8 関連項目
9 外部リンク
10 参考文献
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目的
失われた水分および電解質の補充
直接静脈内へ投与するため、速やかな補充が可能である。
急激に喪失した血液の置換
大量出血などで循環血漿量が減少すると有効な循環が保てなくなる(出血性ショック)ため、血漿の不足分を一時的に置換する目的で輸液が行われる。
経口摂取の代替
口から水分や食事が摂れない場合に、水分・電解質・栄養素などの補充を目的に輸液が行われる。輸液ですべてをまかなう栄養法を完全静脈栄養法(TPN)と呼ぶ。詳しくは高カロリー輸液を参照のこと。
静脈路の確保
静脈注射のルートを維持するために輸液が行われることがある。静脈路確保も参照のこと。
適応
下痢・嘔吐・絶食などによる脱水状態。
急激な出血などで循環血液量が不十分になっている場合。
何らかの理由で食事(経腸栄養,EN: enteral nutrition)ができない場合。これは経口にかぎらず、経鼻胃管、経胃瘻、経腸瘻から食事の投与ができない場合も同様である。脱水症とならないためには食事で摂取できるはずの水分、電解質を持続的に投与する必要がある。
輸液製剤はNa濃度によって何号液という呼び方をする。これは0.9%生理食塩水1に対していくつの5%ブドウ糖液を混ぜたかによって分類される。便宜上、生理食塩水を0号液と呼べば、すっきりと整理できる。なお、こういった輸液製剤は日本医学独自のものである。
0.9%生理食塩水
細胞外液と浸透圧が等しい食塩水である。これで細胞外液を補充しようとするとクロールイオンが過剰に補給されることとなりアシドーシスとなることが知られている。
リンゲル液
細胞外液と似た電解質組成の製剤。0号液である。アルカリ化剤として乳酸塩や酢酸塩が配合されていることが多い。細胞外液の補充に用いられる。ラクテック?など。いわゆるスポーツドリンクが発売される前は、手術後の医者が飲んでいるケースもあったという。ショック時のバイタルサインの安定化には最も効果的な輸液製剤である。生理食塩水にカリウムやカルシウムを加えたのがリンゲル液であるが、リンゲル液でもクロールイオンが過剰となることが知られている。そこで酢酸や乳酸などを加えてクロールイオン量を抑えている。酢酸リンゲル液としてヴィーンF?、乳酸リンゲルとしてラクテック?がある。
1号液
開始液。カリウムを含まないため、高カリウム血症が否定できない場合にまず用いられる。ソリタT1号?などである。病態不明で腎機能がわからないとき利尿がつくまで1号液を用い、利尿がついてから目的にあわせて輸液製剤を変更するということはよく用いられる手法である。但し、小児の肥厚性幽門狭窄症では始めからKを投与した方がよいとされている。
2号液
脱水の治療では使いやすいといわれている。
3号液
維持液。通常の状態で必要とされる電解質をバランスよく含む製剤。食事がとれない場合の維持輸液に用いられる。ソリタT3号?など。3号液は基本的に尿など体が排出するような水分の組成にあわせて作られている。すなわち3号液では基礎輸液の理論をそのまま輸液量として用いることができるという特徴がある。そのわかりやすさのため、維持輸液としては現場で最もよく使われる。
4号液
術後回復液 。
5%ブドウ糖液
ブドウ糖が速やかに吸収されるため細胞外に水を供給する作用をもつ。ブドウ糖自体は浸透圧の調整用であり、エネルギー源としては殆ど役に立たない量である。心不全患者に点滴で薬を投与する場合もよく用いる。
高カロリー液
おおむね一日に必要な程度のカロリーを投与できる製剤。維持液に加えて高濃度のブドウ糖やアミノ酸を含む。浸透圧が高いため中心静脈ルートから投与される。フルカリック1号?など。
輸液のタイプ製剤名Na(mEq/l)K(mEq/l)ブドウ糖
開始液ST19002.6%
開始液KN1A7702.5%
細胞外液補充液ラクテック13040
細胞外液補充液ヴィーンD13045%
維持液ST335204.3%
維持液KN3B50202.7%
輸液量のオーダーの決め方は以下のプロセスで行うことが一般的である。
ナトリウム量(電解質量)を決める
輸液製剤を決める
輸液量を決める
輸液とは身体が一番必要とする水と電解質を補うことである。細胞外液量を増やすには水分だけでなく電解質も一緒に考えなければならない。これは浸透圧 などの影響を考えないといけないからである。体内に、水分を蓄えるためにはナトリウムの全体量の方が重要であって輸液量、即ち水の量というのは、もう一つ遅れてついてくる。