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転び公妨(ころびこうぼう)とは、警察官などの捜査官が嫌疑対象者に公務執行妨害罪(公妨)や傷害罪などの罪名をこじつけて強引に現行犯逮捕する行為。実質的に別件逮捕の手段として用いられる。
目次
1 概要
2 手口
3 転び公妨が用いられることが多い捜査・事例
4 類似の事例
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
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名称の由来は、警察官が嫌疑対象者に突き飛ばされたふりをし、自ら転倒して対象者に公務執行妨害罪を適応することからきている。特に第三者から見られないような状況を選んで、触れてもいないのに暴行を受けたと言いがかりを付けて無理に逮捕するなどの事例が存在する。
これは警察官が不審と感じたにもかかわらず逮捕・勾留するためには証拠に欠ける嫌疑対象者を、警察官自らの演技・虚言によって罪状をでっち上げ、恣意的に逮捕・勾留するための口実とするものである。
主に公安警察が用い、不当逮捕・冤罪の温床になっていると法曹関係者からも批判されている。特に地下鉄サリン事件以降はオウム真理教(アーレフ)の信徒など関係者に多用され、森達也の記録映画『A』には、撮影中の森の目前で堂々と「転び公妨」での逮捕を行って見せた証拠映像が残されている。森は「公安警察がマスコミを不当逮捕を見逃す存在として認識していたから、彼ら(警察)は撮られることを意に介さなかったのだ」と推測している。その当時はオウムの関係者だというだけで退去運動や転入届の不受理が行われたように、世論もオウム関係者に対し攻撃的な状況であった。森は被疑者として逮捕された信徒の弁護士からテープを証拠として法廷に提出するように求められ、迷ったあげく応じ、その信徒は当然ながら無罪となった。なお映像の中で信徒に暴行を加えていた公安警察官は、後に特別公務員暴行陵虐罪で告訴されたが、映像に明らかな暴行シーンがあるにもかかわらず無罪との判決が下された。
また、覚醒剤使用などの容疑で逮捕された者に対して、本来は任意であるはずの尿検査を拒否した場合にも行われたという報告が多数見受けられる。
余りにも軽微な罪なので、逮捕容疑で送検まで至ることは殆どない。千葉県では、暴行を受けたと主張する警察官、目撃した同行の警察官の、その瞬間に関する証言が違い、“暴行した事実の存在自体が疑われる”として2007年9月に無罪判決が出た例がある。
手口
捜査官が対象者の傍で自ら転倒する
捜査官が対象者の体に自ら触れ、大げさに痛がったり転倒する
捜査官が対象者が怒るような言動をし、対象者が大声を張り上げたり、体を動かしたら自ら転倒する
制服警官が職務質問に際して制帽をすぐ脱げ落ちるほど緩く被りなおし、対象者に身体同士が触れ合うほど異常に接近、つばが対象者に当たって制帽が脱げたら逮捕
軽微な罪または身に覚えのない罪で家宅捜索を行い、対象者が捜索令状に手を触れたときに、「令状を破った」とする
軽微な罪または身に覚えのない罪で家宅捜索を行い、対象者宅内を掻き回し、対象者が怒ったときに自ら転倒したりする
銃刀法、凶器準備集合罪容疑で事情聴取、家宅捜索を行い、包丁、カッターナイフなどが発見されると逮捕する(場所が台所や机の引き出しでも逮捕される)
滞納した家賃や公共料金、返却が延滞している賃借物、つけなどを調べて詐欺罪容疑で逮捕、家宅捜索
ホテルに偽名で宿泊した場合、私文書偽造罪容疑で逮捕する場合がある
転び公妨が用いられることが多い捜査・事例
公安捜査…特に左翼団体への捜査
要人の旅行時の警備…ロシア、中国、アメリカなどの外国要人来日時には過激行動に走る可能性がある人物を、天皇皇后の行幸時には現地の左翼団体関係者の身柄を拘束する口実。つまり、実質的な予防拘禁である
行き詰まった捜査…対象容疑で家宅捜索などが出来ない時、事実上の別件逮捕で家宅捜索を行ったりする
実行者が警察官ではないので、狭義の「転び公妨」には当たらないが、類似の事例もある。沖縄・辺野古地区の基地反対派に対し、国側に雇われた作業員が同様の行動を取っていると反対派側は主張している。
参考文献
鈴木邦男『公安警察の手口』(筑摩書房・ちくま新書) ISBN 4480061983