超伝導(ちょうでんどう、Superconductivity)とは、特定の物質が超低温に冷やされた時に、電気抵抗がゼロになったり、物質内部から磁力線が排除されたりすることを指す。工学分野では、「超電導」と書かれることもある。ピン止め効果によって宙に浮かぶ超伝導体
目次
1 概要
2 歴史
3 特性・効果
4 機序を説明する理論
5 超伝導物質
6 利用例
7 その他
8 出典
9 関連項目
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特定の物質が超低温に冷やされた時に起こる特異な現象を「超伝導現象」(Superconductivity phenomenon)、超伝導現象が生じる物質のことを「超伝導物質」(Superconductor)、それが超伝導状態にある場合は「超伝導体」と呼ばれる。
液体窒素の沸点である-196℃(77 K)以上で超伝導現象を起こすものは高温超伝導物質(Cuprate superconductor)と呼ばれる。
物質が超伝導状態になるということは、水が氷になるように、まったく新しい相へ移行すること(相転移)を意味する。このため超伝導相に移り変わる温度を、(超伝導)転移温度という。超伝導に転移する前の相は常伝導という。
超伝導体には電気抵抗がゼロになる他にも、物質内部から磁力線が排除されるマイスナー効果と呼ばれる現象が起こり、磁力線が超伝導体内部に侵入出来ないために、「磁気浮上」現象を起こす。この磁力線の強度を高めた時の応答の違いから第一種超伝導体(Type I superconductors)と第二種超伝導体(Type II superconductors)とに分類される。第二種超伝導体では磁力線の内部への侵入を部分的に許すことで高強度の磁力に対してもマイスナー効果を示す。第二種超伝導体では、ピン止め効果によりゼロ抵抗を維持している。
これらの現象はいずれも、量子力学的効果によって起きていると考えられているが、根本的なしくみは未解明である。日常ではあまり扱わない程の低温でしか生じない現象であるため、社会での利用はまだ一部の特殊な用途に限られるが、20世紀末に上限温度(転移温度)の比較的高い高温超伝導体が相次いで発見されてからは、さらに実用的な超伝導体が存在するのではないかと期待され研究が続けられている。
1911年、オランダのヘイケ・カメルリング・オンネスは純度の高い金属が容易に得られる水銀を液体ヘリウムで冷却していったとき、温度 4.20K で突然電気抵抗が下がり 4.19Kではほぼゼロの10万分の1Ω以下になることが報告された。ヘリウムの液化と超伝導の発見によって1913年にノーベル物理学賞が授与された[1][2]。
1933年にヴァルター・マイスナーによって超伝導体が外部磁場を退けるマイスナー効果が発見された。これにより、超伝導体は完全導体と違うことが決定付けられた。1935年にロンドン兄弟(フリッツ・ロンドン、ハインツ・ロンドン)が発表したロンドン方程式により、マイスナー効果は理論的に説明された。
1957年に発表されたジョン・バーディーン、レオン・クーパー、ロバート・シュリーファーらのBCS理論により、超伝導現象の基本的なメカニズムが解明された。
1980年代に発見された銅酸化物高温超伝導体や、21世紀になって見つかった二ホウ化マグネシウム(MgB2)を実用化する試みが続いている(高温超伝導を参照)。より高い温度で超伝導を起こす物質を探すなど、最初の発見から100年近く経った2008年現在でも超伝導についての研究が盛んに行なわれている。
特性・効果
完全導電性
電気抵抗がゼロとなり、一度流れ始めた直流電流が電圧降下なしに永続する。回路のすべてを超伝導体で構成すれば、流れ続ける電流によって永久電磁石となり、コイル状の超伝導体回路に大電流を与えれば、他では得られないほど強力な磁界が得られる。
マイスナー効果
マイスナー効果は完全反磁性とも呼ばれ、超伝導体内部から磁場を排除して内部磁場をゼロにする。超伝導体を磁石上で常伝導状態から徐々に冷やしていき、転移温度を超えた瞬間に浮き上がる「磁気浮上」現象もこの効果による。これは超伝導によって磁束の侵入が排除され浮き上がるものである。単に超伝導体の上に磁石が浮く現象だけでは、永久電流による効果かマイスナー効果による効果かの判断はできない。
磁束の量子化
超伝導体内部を通る磁束は の整数倍のとびとびの値をとる。(h はプランク定数、e は素電荷)(磁束#磁束の量子化を参照)
ジョセフソン効果
絶縁体を間に挟んだ2つの超伝導体間を、電圧降下なしにトンネル電流が流れる。2つの超伝導体の間に挟まれた絶縁体には超伝導状態を表す波動関数の位相差に比例した電流が流れる。ミクロな波動関数という概念をマクロに観測できるため超伝導を象徴する現象である。(ジョセフソン効果を参照のこと。)
ピン止め効果
磁束格子状態において、外部磁場の変化に対して磁束格子が追随して変化しない現象をピン止め、あるいはピン止め効果と呼ぶ。実用超伝導体において重要な現象。この現象がなければ実質的に超伝導体に電流が流せないため実用化ができなくなる。ひずみや不純物などの欠陥を多く含む非理想的な第二種超伝導体を貫く磁束は、これらの欠陥に引っかかり止められて動けない。(ピン止め効果を参照のこと。)
磁束格子状態
第二種超伝導体では、その超伝導体に固有の磁場値(下部臨界磁場)以上の磁場を印加した場合、量子化した磁束が超伝導体内部に侵入する。