賢者の石

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賢者の石(けんじゃのいし、: lapidis philosophorumあるいは: lapis philosophorum )とは、中世ヨーロッパの錬金術師が、などの卑金属に変える際の触媒となると考えた霊薬である。直訳すれば「哲学者の石」とするのが正しい。「賢者の石」は意訳である。人間に不老不死の永遠の生命を与えるエリクサーであるとの解釈もある。


エリクサーの項目も参照のこと
目次

1 概要

2 中国の練丹術

3 賢者の石の組成を推定する

4 フィクションにおける賢者の石

4.1 小説

4.2 演劇

4.3 コミック・アニメ等

4.4 ゲームにおける扱い


5 関連項目

6 参考文献

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概要

哲学者の石、天上の石、大エリクシル、赤きティンクトゥラ、第五実体(第5元素)など複数の呼び名がある。これを得るために錬金術は発達したという。「賢者の石」、「哲学者の石」ともにラテン語の訳だが、形状は石とは限らない。錬金術師たちが、様々な手段を用いてこの賢者の石を希求したという話が伝えられている。

12世紀イスラム科学からの錬金術が輸入されると、ヨーロッパでは賢者の石の探求熱が高まった。神秘主義的なヘルメス思想とともに、様々な伝説と風聞が広まり、小説の題材としても使われるようになった。 黒魔術と関係付けて語られることもある。


中国の練丹術

中国道教では、服用すれば不老不死を得る(あるいは仙人になれる)という霊薬(仙丹)を作る術として錬丹術(煉丹術)がある。仙丹が賢者の石に相当する。『抱朴子』などによると金を作るのは仙丹の原料にすること、仙丹を作り仙人となるまでの間の収入にあてるという二つの目的があったことになっている。


賢者の石の組成を推定する辰砂

中世ヨーロッパ錬金術に多大な影響を与えたジャービル・イブン=ハイヤーンの説に、水銀硫黄の2要素説がある。その2要素の比率により卑金属貴金属が生じるとした。 後にが加わって3要素説が生まれるが、いずれにせよ錬金術師たちは常に水銀に関心を寄せていた。 水銀を原料になんらかの反応を繰り返すことで賢者の石ができると考えていたようである。

水銀と硫黄の化合物である硫化水銀には色の異なるものがあるが、代表的なものは赤色を呈する。天然でも産出され辰砂という(写真)。中国で不老長寿の霊薬仙丹・金丹の原材料とされた(→錬丹術)。漢字「丹」は辰砂のことで赤色も意味する。(邪馬台国も産地とされる。)

「赤きティンクトゥラ」のティンクトゥラは、ラテン語で tinctura。本来は染料の意だが、生薬エタノールに浸して作る液剤を言う。日本語でチンキ。製法からすると梅酒も赤きティンクトゥラで、体力回復には役立ちそうである。赤チン(マーキュロクロム液)はこの製法に依らない水銀製剤で、その殺菌作用から、かつて家庭常備薬として、傷口に塗っていた。

金を創出できなくとも、金メッキ(鍍金)は可能である。金を水銀に融かすと金アマルガムとなる。の表面を磨き上げてから金アマルガムを塗り加熱すると、水銀のみが蒸発して表面に金が残る。

ジャービルは、金を融かすことのできる王水を発明していた。金を王水で融かし、乾燥させると黄色の粉末、塩化金酸ができる。塩化金酸の水溶液も金メッキの材料となる。銅に塗布すれば表面が塩化銅となり、代わりに金が析出する。

賢者の石とは黄血塩(フェロシアン化カリウム)ではないかとの説もある。黄血塩は家畜の血や皮から(にかわ)をとるところで作られる。 この黄血塩と硫酸を混合した液体に金を入れて加熱すると、この液体に金が溶け込む。猛毒であるため近年は避けられているが、シアン化金化合物は電気メッキあるいは無電解メッキ材料のひとつとして現在も使われている。

金を融かし込んだ溶液に卑金属を漬け、銅線で微弱な電気を送ると卑金属表面に金が固着する。電気鍍金である。最古の電池としてバグダッド電池が古代中近東メソポタミアのごく一部で使われていたとの見解もある。


フィクションにおける賢者の石

ファンタジーをはじめ、様々な作品に賢者の石という名前の道具が登場する。本来の錬金術における伝承を再現しているものもあれば、作品独自の定義がなされているものもある。


小説

コリン・ウィルソンによる同名の小説がある。

J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズ第1巻のタイトルは『ハリー・ポッターと賢者の石』(原題: : Harry Potter and the Philosopher's Stone)で、賢者の石が重要なものとして登場する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki