賃借権
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この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

賃貸借(ちんたいしゃく)とは、法律上の言葉で、当事者の一方が他方に対しての使用収益を認め、その対価(賃料)を徴収することを内容とする契約をいう。

物の使用収益を認める(貸す)当事者を賃貸人(ちんたいにん、ちんがしにん)、物の使用収益を認められた(借りる)当事者を賃借人(ちんしゃくにん、ちんがりにん)という。賃借人が賃貸借契約に基づいて目的物を使用収益する権利を賃借権といい、賃貸人がある物を賃貸借契約の目的物とすることを「賃借権を設定する」という。日本民法においては、第3編「債権」の第2章「契約」の第7節「賃貸借」( ⇒第601条から ⇒第621条まで)に規定がある。

民法は、以下で条数のみ記載する。

目次

1 特別法などによる修正

2 成立

3 短期賃貸借

4 契約上の義務

4.1 賃貸人の義務

4.2 賃借人の義務


5 賃料の増減額

6 賃借権の対抗力

6.1 不動産賃借権の対抗力

6.2 動産賃借権の対抗力


7 転貸借、賃借権の譲渡

7.1 承諾のない場合

7.2 承諾がある転貸

7.3 承諾がある賃借権の譲渡

7.4 借地借家法による修正等


8 賃借権の物権化

9 関連項目

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特別法などによる修正

日本の民法における賃貸借の規定は、賃貸借契約の対象として不動産動産の両者を想定している。しかし、不動産の賃貸借のうち、建物所有を目的とする土地の賃貸借と、建物の賃貸借については、借主保護などの観点から民法上の原則に修正を施した借地借家法が適用される。民法上の規定には任意規定が少なからず存在し、民法の規定が任意規定であれば当事者間の契約が優先する。そのため動産の賃貸借契約においては当事者間において細かな契約条項が定められているのが通常であり(約款の項目を参照)、民法上の規定が直接適用される機会は少ない。よって実社会において賃貸借の規定が直接に適用される場面は少なくなってきたといえる。しかしあくまで原則は民法上に規定された賃貸借なのであり、これが基礎となっていることも確かである。


成立

日本の民法は、賃貸借を意思表示の合致により成立する諾成契約として規定している。外国では契約の際に書面などを要求する要式契約として規定している場合もある。

日本では不動産を賃貸する際に、賃貸物(特に建物)の引渡しに先立って賃借人の債務、具体的には賃料の支払や後述する原状回復のための費用を担保する目的で一定額の金銭を賃貸人に寄託(消費寄託)させるのが通例である。この金銭を敷金(しききん)とか保証金(ほしょうきん)という。また、賃借人に賃貸借契約締結そのものの対価(謝礼)を支払わせることも多く、この対価を礼金(れいきん)という。契約が成立した際、敷金以外に支払われる金銭のことを総称して権利金ということもある。これらと類似したものとして、契約を更新する際に金銭の支払をすることが合意されていることもあり、更新料と呼ばれる。


短期賃貸借処分につき行為能力の制限を受けた者又は処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合に、超えることができない期間( ⇒602条)。
樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年

上記以外の土地の賃貸借 5年

建物の賃貸借 3年

動産の賃貸借 6箇月


契約上の義務

賃貸借契約においては、賃貸人と賃借人の双方が、相手に対する義務を負う。したがって、賃貸借契約は有償の双務契約であるといえる。賃貸人の中心的な義務は、賃借人に目的物を使用収益させること(及びそのために必要な措置をとること)であり、賃借人の中心的な義務は賃料の支払である。以下、個別に見ていく。


賃貸人の義務

賃貸人は賃借人に対して賃貸借契約の目的物となっている物を使用収益させる義務を負っている。つまり、目的物の維持や管理は賃貸人の義務とされているのである。具体的には以下のような義務を負っている。

これらに加えて、賃貸借契約は有償契約であるから、 ⇒559条にある瑕疵担保責任の規定が準用される。よって賃貸人はこれによる担保責任を負う場合がある。

使用収益をさせる義務
賃貸人が賃借人に対して目的物を使用収益させる義務は、賃貸借契約の本質である。具体的には、賃貸人は賃借人が目的物を使用するに際してそれを妨害している第三者がいる場合にはこれを排除しなければならないというような形で現れる。

修繕義務( ⇒606条1項)
賃貸人には、目的物の使用収益に必要な修繕をする義務がある。例えば、賃貸している家が雨漏りするならばそれを修理するのは賃貸人の義務ということになる。なお、賃貸人が修繕しないことによって使用収益が不可能であるような場合には賃料を支払う必要はないとした裁判例がある。

費用償還義務( ⇒608条1項)
賃貸人は、賃借人が支出した必要費を直ちに償還しなければならないという費用償還義務を負っている。必要費とは、目的物を使用収益できる状態を維持するために必要な費用のことをいう。前述した修繕義務を賃貸人が果たさない場合、賃借人が代わりに修繕を施してその費用を賃貸人に請求するということもこれによって認められることになる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki