診療録(しんりょうろく、独Karte:カルテ、英medical record)とは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。かつてはドイツ語で書かれていた。
また全体的な概念として診療情報、または医療情報とも言われる。(※本稿では診療録に関することのみではなくこの概念についても記述。)
近年では電子カルテ化が進んでいる。
目次
1 名称
2 分類
3 法律
3.1 医師法
3.2 歯科医師法
3.3 医療法
3.4 条例・規則
3.5 個人情報保護法
3.6 その他
4 診療録の記載
4.1 内容
4.2 問題指向型診療録
5 関連項目
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日本で一般に知られている「カルテ」はドイツ語で「カード(Karte、英語のcard)」という意味である。これは、明治時代の日本が主にドイツから医学を学んだことの影響である。
分類
診療情報:診療の過程で知りえた患者に関するすべての事象。
診療録:診療に関する経過を記録したもの。
その他診療に関する諸記録:検査結果、手術所見、レントゲン写真、看護記録など。
現在日本の法律では「診療録」と「その他の診療に関する諸記録」は便宜上別物として扱われている。
医師法第24条1項に、医師は患者を診療したら遅滞なく「経過を記録すること」が義務づけられている。これを「診療録」としている。また、2項で記録後最低5年間は保存することが義務づけられている(医療機関内で診療したものについては、その医療機関の義務である)。
診療録は単なるメモにとどまらず医療訴訟においても証拠としての重要性は非常に大きく、たとえ必要な処置を行っていたとしてもカルテに記載がない場合、行ったとの主張は認められない可能性もある。
歯科医師法も医師法と同様の規定がなされている。
医療法第5条では都道府県知事と一部市長、区長は、必要な場合に医師、歯科医師、助産師に対し診療録、助産録等の提出を命ずることができるとされている。
第21条において病院、第22条において地域医療支援病院、第23条において特定機能病院は、それぞれ診療に関する諸記録を備えておかなければならないとされている。また25条では診療所、助産所、病院に対して都道府県知事と一部市長、区長は、また特定機能病院に対して厚生労働大臣は、それぞれ必要な場合に診療録その他を検査することができるとされている。
第69条では診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができることを広告することができるとされている。第71条では助産所が助産録に係る情報を提供することができる旨を広告することができるとされている。
医療法施行規則では、診療録以外の検査記録や画像写真、手術所見など「診療に関する諸記録」は病院に対し2年間の保存が義務付けられている。
施術所が記載する施術録については各自治体の条例や規則に基づいて検査されることとなっている。
現在では診療録、その他診療に関する諸記録等すべての「診療情報」の管理、開示等の規定は個人情報保護法を基にして運用されている。ちなみに同法第2条においてこの法律で扱う「個人情報」は「生存する個人に関する情報」と規定されている。
各種医療機関は「診療情報」という個人情報を扱う「個人情報取扱業者」とされているため、原則患者本人から開示請求があった場合はこれを開示することが義務付けられている。
一方、患者の家族、または遺族に対しては開示規定はなく、患者死亡の際の医療訴訟では遺族が裁判所に証拠保全を申し立てるといった法的措置を行う場合もあるが、現在では、各医療機関もこれに対応してきており、厚生労働省は診療録開示のガイドラインを制定している。
診療情報の扱いについては、以下の法律も関係している。
刑法第134条
正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密(医療においては診療情報)を漏らしてはならない。
刑事訴訟法第149条
業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するもの(医療においては診療情報)については、証言を拒むことができる。
児童虐待防止法第6条
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は速やかにこれを児童相談所に通告しなければならないとし、この場合刑法、その他の守秘義務は妨げにならないとされている。
感染症法第3章、麻薬取締法第58条の2
規定により本人の承諾が無くとも保健所、都道府県知事に患者の住所氏名等も届け出ることが規定されている。またはこの場合の個人情報である診療情報は個人情報保護法第16条によって公衆衛生上必要な場合には規定されないとされている。※覚せい剤取締法においては届出義務は無い。