規制緩和(きせいかんわ、英 deregulation)とは、経済学や公共政策などの文脈で、ある産業や事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的な政策手段のひとつで、市場競争を促進し経済活性化を果たすために採用されるが、導入による弊害の解決のため、セーフティーネットなどの構築が必要とされている。近年では単なる規制の撤廃・縮小だけではなく、全体的な制度改革を実行するとの意味合いから規制改革とも呼ばれる。
目次
1 概要
2 議論
3 各国の現状
3.1 日本
3.2 その他の国
4 参考文献
5 関連項目
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もともとの英語 deregulation は本来、規制「緩和」ではなく規制撤廃の意味が強い言葉であるが、日本では規制撤廃に反対する官僚が意図的に意味をずらして翻訳した(ダブルスピーク)ため、そのまま国内に広まったという。
規制は安全基準・技術規格・所有・事業範囲など企業活動の様々な側面を扱うものであるため、規制緩和の形も様々である。一般に、どのような場面でどのように規制緩和が行われるべきであるかについての実践的な指針は体系的な形では存在せず、政策は過去の事例研究を通して形成されるのが普通である。
世界的には、金融・航空・電話・電力・ガスなどのいわゆるネットワーク産業の自由化を促し、自由主義経済を広げる物として規制緩和は先進国でも途上国でも重要な検討課題になっている。世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)などの国際機関もそうした動きを積極的に支持している。 しかし市場原理主義を導入するとカリフォルニア電力危機やアジア通貨危機に見られるように、経済に大きな損害を与えることもある。これが市場の失敗である。
こうした政策の結果ユニバーサルサービスが崩壊し、消費者や生産性の低い産業部門、労働者などは様々な保護を失うことになる場合がある。グローバリゼーションへの反対運動をはじめ、規制緩和政策や市場主導の経済政策に批判的な勢力のいる所以である。
更に困難な点は、政府が介入をしなくなることが必ずしも市場競争を強化することにつながらないことである。規制緩和の結果、市場が一部企業による独占・寡占などの状態に陥り、それが不当に高い価格や低い生産性、あるいは技術革新の停滞などを招くと考える専門家もいる。その一方で、ある種の産業については、国内に競争力のある企業を育てることが国益にかなうと考えられる場合もあるため、そのような寡占化を放置するのが望ましいとする論もある。
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日本では所謂「親方日の丸」の官僚主義の非効率性が経済成長を阻害しているという議論がここ30年ほど盛んに行われており、グローバリズムの進展と合わせて規制緩和や自由化を唱える声は根強い。しかし近年、規制緩和に伴う問題点が指摘されており、見直しの声もあがっている。
1980年代以降の規制緩和・民営化・自由化の例を以下に挙げる。
日本電信電話公社民営化
国鉄民営化
目的は国鉄の莫大な赤字を解消することだったが、旧国鉄の残した莫大な累積債務は現在でもほどんど解消されていない。また、私鉄との過度な競争による安全コストの削減がJR福知山線脱線事故などの大規模事故を招いたとの指摘がある。
金融ビッグバン
タクシー台数の制限撤廃
タクシー会社同士の競争が激化した結果、各社の利益率が劇的に低下して運転手の過重労働を招いているとの指摘がある。
バス運送事業への新規参入の緩和
労働環境悪化や事故多発の原因となっているとの指摘がある。
電力自由化
酒類販売業免許の付与基準の緩和
ビールなどの年間最低製造量の緩和
港湾運送事業への新規参入
電気通信事業の開放
農業への株式会社参入
郵便事業の民間開放
労働者派遣事業
労働者派遣法の緩和により、それまで派遣が禁止されていた分野(製造業や医療など)にも派遣社員の使用が認められるようになり、以後企業では非正規雇用が急増。偽装請負・ニート・ワーキングプア・ネットカフェ難民など非正規雇用労働者の労働環境悪化を招いているとの指摘がある。
医薬品の部外品化によるの緩和
建築基準検査機関の民間開放
耐震偽装問題発生で、問題点が指摘された。
指定管理者制度による行政サービスの外国資本等への開放
アメリカでは1970年代以降、ハイエクやフリードマンらの理論に基づき規制緩和が進められた。