表現型の可塑性(ひょうげんがたのかそせい)または表現型可塑性(ひょうげんがたかそせい)とは、同じ遺伝子型を持つ個体において、周囲の環境によって表現型を変化させること。周囲の環境に合わせて個体の姿形が変化したりすることもある。同じ個体群の中に異なる遺伝子型の個体を含み、それらの姿形が異なる多型とは異なるものである。
目次
1 表現型の可塑性の実例
1.1 魚類
1.2 ミジンコ
1.3 昆虫の相変異
1.4 水草
2 性質の利用
3 参考文献
4 関連項目
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魚類の体のサイズには表現型の可塑性がみられる。性成熟における度合いは体の大きさと関係があるが、食物が不足すると成長率が下がり体が小さくなる上に、体が小さいうちから繁殖を開始するというケースがある。これは「食料が足りないから体が小さくなった」という生理的な制限などではなく、環境に体の大きさに合わせた結果である。
オオミジンコには、頭が丸い「丸型」と頭に突起が生じる「尖頭型」という二つの表現型が存在する。前者は捕食者がいない環境で、後者は捕食者が多い環境で現れる表現型である。頭の突起が捕食者から逃げる武器になっていると考えられている。
昆虫では、同一集団の個体の形が、その個体群密度の違いによって変化する例が知られる。特にバッタ類の孤独相と移動相の変化が有名で、これを相変異という。密度による変化としてはカメムシ類やウンカなどに見られる長翅型と短翅型の例もあり、これもそう呼ぶ場合がある。
詳細は相変異 (動物)を参照
水草Rotala indica
左が水中葉、右が水上葉である。
水草の葉で、水中で暮らすことに適したものを「水中葉」、水上で暮らすことに適したものを「水上葉」と区別することがある。湿地や水辺、雨季と乾季が分かれている地域は、水位の変動が激しく天候や時期によって体が水に浸かってしまうことが多い。そういった地域に暮らす植物には、表現型の可塑性により、姿形が大きく異なるものも多い。
ウキシバは、水位が低くなると斜め上に伸びる「抽水型」として生育するが、水位が高くなると水面に浮きながら匍匐(ほふく)して成長する「浮葉型」として生育する。ある種のオモダカ科や水生シダなどは、水上では水中葉より堅くて厚めの葉と、堅くて丈夫な茎をもつ。水上では堅くて厚手の草体の方が、高くまで葉を伸ばせて、光合成に有利であるし、そもそも陸上で本体を支えるためには、そのような草体が必要であるからだ。水中では柔らかく、水の流れにたなびく葉を持つ。水中ではその方が水に流されにくく(流れを受け流すから)生育に有利であるし、浮力があるため、堅い草体を持たなくても、ある程度大きな草体を保つことが出来るということからである。
園芸において、植木鉢のサイズを抑えて、植物のサイズを抑えるという手法は古くから行われている(顕著な例として盆栽を参照)。
アクアリウムでは、水槽のサイズや餌の量を抑えて魚の成長を抑えるということが、大型魚の飼育などにおいて行われることもある。また、アクアリウムでは多くの水草を完全に沈水した状態で栽培するが、これらの水草の多くは完全な「沈水性」の水草ではなく、オモダカ科や水生シダのように「湿地性〜抽水性」または睡蓮のように「浮標性」の植物である。アクアリウムで栽培される際は「水中に適した表現型」という形態をとっているのである。これらの水草の栽培を行う際、ファーム(主に水草の業者の)では水上葉で栽培し出荷するケースも多い。これは水上葉の方が容易かつ低コストで栽培可能な上、繁殖のスピードも速いといった理由からである。
参考文献
ピーシーズ(監修・発行)『アクアリウムで楽しむ水草図鑑』 2001年10月10日発行 P202と203「水草ファームを訪ねる」
日本生態学会編 『生態学入門』 東京化学同人、2004年8月26日発行 P87「表現型可塑性」
関連項目
表現型
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カテゴリ: 生物学 | 生態学 | 生物学関連のスタブ項目
更新日時:2008年8月1日(金)13:12
取得日時:2008/08/17 09:40