血液(けつえき)は動物の体液のうち、きわめて重要な液体で、全身の細胞に栄養分を運搬したりするための媒体である。 機能から見ると、臓器の一種と言ってもよい。構造的には結合組織の一つと見なす。
ヒトの血液量は体重のおよそ 1/13(約8%)であり、体重 70 kg の場合は、約 5.4 kg が血液の重さとなる。
動物一般について言えば、血液は体液とほぼ同意である。血液が管状の構造の中を流れている動物においては、この管を血管という。体液を体内で流通させるしくみがある場合、これを血管系・あるいは循環器系という。血管系には開放血管系と閉鎖血管系がある。ヒトをはじめとする脊椎動物は閉鎖血管系であり、特に外傷などが無い限り、血液は血管の内部のみを流れる。血管の外には組織液があり、液体成分は血管の壁を越えて出入りする。血管の周囲にある細胞は、組織液に浸っていると考えてよい。開放血管系の動物および循環器系のない動物においては血液は血管外にも流れ出すので、血液と組織液の区別はなく、体液はすべて血液と見なして良い。
なお、本記事の以下においては、特に断りのない限り、ヒトの血液について述べている。
目次
1 主な役割・機能
2 組成・成分
2.1 発生学的観点から
3 循環
4 緩衝・平衡
4.1 酸塩基平衡
4.1.1 炭酸緩衝系および肺の二酸化炭素排出
4.1.2 リン酸緩衝系および腎臓の酸排泄
4.2 糖平衡
4.3 水分量平衡
4.4 温度平衡
5 血液の異常による症状
5.1 pH 変動による症状
5.2 糖尿病
5.3 血液量の減少によるショック
6 栄養源としての血
7 血液と病原体
8 血液と文化
9 関連項目
9.1 医学的項目
9.2 非医学的項目
10 脚注
11 外部リンク
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主な役割・機能
血液ガス、すなわち酸素および二酸化炭素の運搬
糖、脂質、アミノ酸、タンパク質等のエネルギー基質(栄養分)の運搬
各種ホルモンの運搬(全身の情報・指令伝達)
免疫機能
体温運搬
組織で産生された代謝産物を肺、腎臓などの排泄器に運搬する
体内に分布する化学受容器、圧受容器に適合刺激を与える
体液の浸透圧、pHを調節する
血球成分(細胞性成分)と血漿成分(液性成分)からなり、その比率は 45:55 である。また、血球成分は赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成される。血漿成分は水分96%、血漿蛋白質4%、そのほか微量の脂肪、糖、無機塩類で構成される。大きな分子を除いた残りのものの組成は、古代の海水に近い事が、1904年フランス人のルネ・カントンの実験を契機として明らかになった。
色はヒトを含む脊椎動物の場合、赤く見える。これは赤血球に含まれるヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)に由来する。ゴカイやミミズ等の環形動物の血液も赤いが、これはヘモグロビンと同じく鉄系ではあるがエリスロクルオリンという成分による。無脊椎動物であるカニ、エビやタコは銅系タンパク質のヘモシアニンのために青みがかっていたり、ホヤなどではバナジウム系のヘモバナジンのため緑色に見えるものなど多数の血色素が存在し、同じような色であっても異なる色素成分によることも多い。また、呼吸色素の種類により、酸素の運搬能力(効率)も異なる。
発生生物学的には造血には2つの段階がある事が知られている。「一次造血」は、発生初期に胚体外の卵黄嚢組織で起こり一時的に胚に血液を供給し、生涯全身に血液を供給する「二次造血」は、胚の AGM( aorta-gonad-mesonephros )組織で起る。この、二次造血を行う細胞がどこから来たのか明らかでなかったが、理化学研究所の研究グループは、卵黄嚢にある造血細胞が二次造血にも関与していることを突き止めた。