四段目(よだんめ)は、古典落語の演目の一つ。原話は明和8年に刊行された『千年草』の一遍である「忠信蔵」[1]。上方で『蔵丁稚』として完成された物が、東京に移入された。主な演者として、上方では3代目桂米朝、東京では8代目春風亭柳枝や2代目三遊亭圓歌がいる。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次
1 あらすじ
2 日本一の、猪が出る?
3 忠臣蔵がモチーフの落語
3.1 具体例
4 判官切腹
5 外部リンク
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このごろ、丁稚の定吉がお使いに行ったっきり、なかなか帰って来ないと言う出来事が続く。旦那が不思議がっていると、出先から戻ってきた番頭から『定吉が芝居小屋に入っていくところを見た』と告げられる。聞くと、定吉は途轍もない芝居好きで、出かけるたびにうまくごまかして芝居見物をしているんだとか…。
そういえば、この前、表で犬の尻尾を踏んづけた定吉が「あぁ?ら、あやし?やなぁ?」などと唸っていた。
数日後、また定吉がお使いに行ったっきり帰ってこないので、頭に来た旦那が小言を言ってやろうと待ち構えていると、そこへ何も知らない定吉が帰ってくる。
「何処へ行ってた?」
「ご存知の通り、日本橋の加賀屋さんへ行ってまいりました。ちょうど蔵のお掃除をしていましたので、そのお手伝いをしていたので遅くなりました。あ、旦那様にお会いしましたら、『両三日中に伺いますのでよろしく』と、仰っていました」
ところが、その『加賀屋の旦那様』はついさっきまで、ここの旦那と囲碁を打っていたのだ。その事を指摘されると
「実は、帰りにおっかさんと出会いまして。話を聞いたら、おとっつぁんが去年からの長患いで臥せっているから、早く良くなるようお百度参りをしているのだと…。倅としてはほうっておけず、旦那に悪いと思いながら私も参加しました」
と涙ながらの説明。ところが、その『重病人』は今年の正月にお年始参りに来ていたのだ。その事を指摘すると
「お正月なので、病気も休んだのでございましょう」
旦那は唖然。それでも定吉はめげずに、「私は芝居なんて大嫌いです。男が白粉をつけてベタベタするなんて、気持ち悪くて見ただけで気絶します」としぶとい。
そこで、旦那はある一計を思いついた。「そんなに嫌いなら、明日奉公人を残らず歌舞伎座に連れていくが、お前は留守番をしてくれ」と言い渡すと、案の定、定吉の様子がおかしくなってくる。
「知り合いに聞いたら、今年の忠臣蔵は良いそうだ。何でも、五段目の山崎街道に出てくる猪の前脚を市川團十郎、後ろ足を市川海老蔵がやるそうだ」
途端に定吉は笑い出して
「あんな役を『成田屋』さんがやる訳無いじゃありませんか。アンなのは稲荷町と言う、下っ端の役者がやる物なんですよ?」
「でも、知り合いは…」
「私は、今見てきたんです!!」
「この野郎ッ。やっぱり芝居を見てきたな…。『語るに落ちる』とはこの事だ!!」
「うぅー。謀る謀ると思いしに、返ってこの屋の薬缶に…束かられしかぁ?」
芝居がかりで唸ったもんだから、とうとう堪忍袋の切れた旦那に蔵の中へ引きずっていかれ、そのまま閉じ込められてしまった。
しばらく経つうちにおなかが減ってくる。しかたが無いので、さっきまで見ていた【忠臣蔵四段目・半官切腹の場】を一人で演じて気を紛らわせようと考えた。
「御前ッ」
「由良之助かァ…」
「ハハァ?!」
「待ちかねたァ…」
「お腹すいたな。でも、芝居をしていると、なんだか空腹がまぎれる様な気がするよ。よーし、本格的にやってみよ!」
のんきな奴があるもので、蔵の箪笥(たんす)を開けて『裃』と三宝代わりの『お膳』。そして、旦那のご先祖が差した『九寸五分の短刀』まで探し出し、大声で芝居の真似を始めてしまった。
「力弥、由良之助は」
「いまだ参上、つかまつりませぬ」
「存上で対面せで、無念なと伝えよ。いざご両所、お見届けくだされ」
と、九寸五分を腹へ。そこへちょうど女中が様子を見にきて、定吉が切腹すると勘違い。慌てて旦那に報告すると、旦那も仰天して
「子供のことだから、腹がすいて変な料簡を起こしたんだ!?」
幾らなんでも、奉公人の命を奪うわけには行かない。定吉にご飯を届けようと調理場に飛び込み、じれったいからとお鉢をそのまま引っつかんで蔵へ…。
戸をガラガラガラガラ!!
「ご膳(御前)ッ」
「蔵のうちで(由良之助)かァ」
「ハハァ?!」
「待ちかねたァ…」
旦那が定吉を引っ掛ける、「五段目の山崎街道に出てくる猪」は米朝師匠のものを参考にしたが、この他にも
「中村歌右衛門の師直の評判がいいそうだ」
とカマをかけ、引っかかった定吉が
「女方の歌右衛門が敵役の師直なんかやりませんよ!」
と答えて嘘がばれると言う展開もある。
落語が成熟していった江戸時代。たくさんある歌舞伎の中でも、特に人気だったのがこの『仮名手本忠臣蔵』。その影響を受けて、落語にも忠臣蔵をモチーフとした話が登場している。
元ネタとなった段落語のタイトル
四段目・『扇ヶ谷塩冶館の場』(判官切腹)四段目(蔵丁稚)
七段目・『祗園一力の場』七段目
かつてはこの他にもあったらしいが、現在演じられているのはこの二つのみ。
江戸城・松の廊下で高師直(=吉良上野介)への刃傷ざたを起こし、切腹を命じられた塩冶判官(=浅野内匠頭)が九寸五分の短刀を腹に突き立てたとたん、花道からバタバタと大星由良之助(=大石内蔵助)が駆けつけるという前半のハイライト。
定吉のモノローグにも
「三段目でやめておけばよかったんだけど、やっぱりこの段は見逃せないからな…」
という物が在り、この一文からもこの段が相当人気だった事をうかがい知る事が出来る。
外部リンク^ ⇒千年くさ 忠信蔵
カテゴリ: 落語の演目
更新日時:2008年4月29日(火)04:13
取得日時:2008/10/20 14:02