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移植(いしょく、英transplant)とは、「提供者(ドナー、donor)」から「受給者(レシピエント、recipient)」に組織や臓器を移し植えること。移植で用いられる組織や臓器を「移植片(graft)」という。
以下に示すように様々な移植の形態が存在するが、一般には臓器を移植する場合が話題となるため臓器移植として知られている。
なお思想的・宗教的立場から、臓器の移植は医療ではないという主張もあるが、少数派として扱われている。
目次
1 分類
1.1 ドナーとレシピエントの関係による分類
1.2 ドナーの状態による分類
2 対象
3 歴史
3.1 移植の黎明期
3.2 心臓死移植の発展
3.3 脳死移植の幕開け
3.4 生体移植
4 移植施設
5 関連項目
6 外部リンク
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ドナーとレシピエントの関係による分類
自家移植:自己の組織を自己の他の場所に移し変えること。
他家移植:自己以外の組織を移し変えること。
同種移植(allotransplantation):人間の組織を用いる。
異種移植(xenotransplantation):人間以外の組織を用いる。
人工移植(implant):形成術ともいい、人工材料を用いて臓器修復することをいう。主に人工血管や皮膚、心臓弁置換術において行われる。
ドナーの状態による分類
生体移植:生きているドナーから提供されること。
死体移植:死亡したドナーから提供されること
脳死移植:ドナーが脳死と判断された後に臓器等を取り出すこと。
心臓死移植:ドナーの心停止後に臓器等を取り出すこと。
腎臓、膵臓、角膜、骨、脂肪、皮膚および組織は心臓死移植が可能である。生体移植の例として、生体腎移植、生体肝移植、生体肺移植、生体膵移植、骨髄移植などがあるが、輸血は最も一般的で広く行われている代表的な生体移植の一つである。
日本においては、1956年に腎臓、1964年に肝臓の移植が初めて行われた。1968年には札幌医科大学の和田寿郎教授によって、世界で30例目の心臓移植が行われ、移植患者は83日間生存した。いわゆる和田心臓移植事件である。移植患者の生存中は賞賛されたが、死後に、提供者の救命治療が十分に行われたかどうか、脳死判定が適切に行われたかどうか、レシピエントは本当に移植が必要だったかどうかなど、厳密な脳死判定基準のなかった当時の脳死移植は多くの議論を呼んだ。和田教授に対しては殺人罪の刑事告発もされたが、立件には至らなかった。
1979年、「角膜及び腎臓の移植に関する法律」が成立し、心臓死移植に関する法律が整備された。この法律によって、家族の承諾により、死後の腎臓および角膜の提供が認められるようになった。以後、心臓死下の腎臓移植が毎年150?250件、角膜移植が1600~2500件行われるようになった。しかしながら、日本では脳死をヒトの死と認めない傾向が強かったため、その後はもっぱら心臓死移植のみが行われ、脳死移植は長期に渡り行われることがなかった。
1997年10月、臓器の移植に関する法律が施行され、本人が脳死判定に従い臓器を提供する意思を書面により表示しており、かつ家族が脳死判定並びに臓器提供に同意する場合に限り、法的に脳死がヒトの死と認められ、脳死移植が可能となった。この法律は、臓器提供に関係なく脳死をヒトの死とし、本人の意思が不明であっても家族の承諾で提供可能な欧米・アジア・豪州などに比べて極めて厳しいものとなっておりドナー数は非常に少ない。そのため欧米及びアジアの移植医療を行う先進医療技術を持つ国の中で日本は極めて臓器移植の数の少ない移植医療後進国となっている。一方で、脳死をヒトの死とすることに疑問を投げかける人々からは強い批判があり、臓器移植自体を医療として認めない人々もおり、臓器移植法そのものや法改正に対しての反対運動が存在する。
「臓器の移植に関する法律」の成立とともに、臓器提供の意思を表示する手段として、臓器提供意思表示カードが配布されるようになった。また、臓器のあっせんを行う機関として、厚生労働省の認可により、社団法人日本臓器移植ネットワークが発足した。
1999年2月、この法律に基づく脳死移植が初めて行われた。高知県内の高知赤十字病院に入院中の脳死の患者より、本人の意思表示並びに家族の承諾に基づいて、心臓、肝臓、腎臓、角膜が移植された。以後、毎年5件前後の脳死移植が行われている。
しかしながら、移植を希望し登録している患者は増加する一方であり移植を受けられずに死亡するケースも多い。また、海外へ移植を受けるために渡航する患者が後を絶たない。特に、15歳未満の子供の脳死後の臓器提供については、日本では法的に不可能なため、移植が必要な子供は、提供臓器のサイズなどの問題から海外へ渡航せざるを得ず、数千万円に及ぶ高額な医療費を工面するための募金活動が行われることが多いが、一部のインターネットコミュニティで募金詐欺の疑いをかけられることも発生するようになった。これら海外へ渡航しての臓器移植については一部のケースで臓器売買にあたるのではないかという疑いがある。また自国の患者は自国で治療するべきという原則の下に国際的な批判もあり、早急な法律改正が望まれている。
「臓器の移植に関する法律」は法律施行後3年を目処に見直すことになっていたが10年以上過ぎた現在でも改正されていない。