簿記(ぼき)とは、ある経済主体が経済取引によりもたらされる資産・負債・純資産の増減を管理し、併せて一定期間内の収益及び費用を記録するための記帳方式である。また、最も一般的な簿記である複式の商業簿記を指して単に簿記と称する場合が多い。会計学よりも実務に近い部分のことをいう。
目次
1 和訳の由来
2 単式簿記と複式簿記
3 経済活動による分類
3.1 商業簿記
3.2 工業簿記
3.3 その他の応用簿記
4 歴史
5 関連事項
6 外部リンク
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簿記の英語表記は「Bookkeeping」であり、簿記という概念の発祥がヨーロッパであることから、訳語として「簿記」の字を充てた(福澤諭吉の訳とされる)。ただ、訳語を「簿記」とした経緯には、大きく分けて2説ある。
booking(帳簿の意)に漢字を充てた(Bookkeepingが訛った。もと「ブッキー」や「ボッキー」といった)
「帳簿記録」又は「帳簿記入」の略語
説は上記2説が根強いが、実際には上記の音訳・意訳が合わさって「簿記」が妥当な邦訳とされたものである。
簿記の表記方法は、単式簿記と複式簿記の2種類がある。詳しくは各項目を参照されたい。
正確かつ公正に記述できる方法が確立している複式簿記は、企業会計や政府会計などに広く用いられている。簿記といえば、多くの人は複式簿記を想定する。以下、特に注釈がない場合、複式簿記を想定して論じる。
経済主体(企業・政府など)の経済活動に応じた簿記の方法論がある。代表的なものに商業簿記と工業簿記がある。
完成している商品を仕入れて販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式。最も基本的な簿記である。ただし、どの会社にも共通する決算に関する会計処理や、固定資産の償却処理なども「商業簿記」として取り扱うことが多い。
材料を仕入れ、製造し、製品を販売する会社の財務状態を管理するための記帳方式。その製品を作るために必要な経費を材料費や製造作業員の賃金、製造機器のランニングコストなどから算出する原価計算の理論を主に用いる。
基本的な簿記である商業簿記に対して、それ以外の簿記のことを応用簿記と称する。
農業簿記:工業簿記のように原価計算を伴う。個人事業主の多い日本の農業では、家計との区別をつける意味合いも持つ。
林業簿記:農業簿記と同様に、第一次産業である林業における簿記。
漁業簿記:漁場料や餌代といった経費を特徴とする漁業における簿記。
建設業簿記:大規模な資金と労働力、そして長期間掛かる建設業のための簿記である。
銀行簿記:貨幣を商品とする企業と考えることができる。特徴は銀行簿記を参照。
官用簿記:収入は税金であり、財務状況(収支)をみるために主に使われる。
組合簿記:非営利団体であり、収支均衡に着眼点がある。
農協簿記:農業協同組合で使われる。農協で使う様々な業種をカバーする。
家計簿記:いわゆる家計簿。貯金以外の現金の収支を記した単式簿記が多い。
貨幣経済の誕生・発展の中で貨幣の量の勘定・記録が必要となり、発明された。 ローマ時代の古代彫刻の中に商業帳簿が彫られていることが確認されており、その歴史は古代へさかのぼると推察されている。ローマの他、ギリシャ・バビロニア・アッシリア・エジプトなどでも古代の時点で簿記が存在していたことが推定されている。しかし、その頃の簿記は、まだ単式簿記であった。 その後、ルネッサンス時代にルカ・パチョーリ(Luca Pacioli 1445年 - 1517年)が複式簿記を考案。 1494年にヴェネツィアで出版されたルカ・パチョーリの「算術幾何比例要覧」(Summa de arithmetica, geometria, proportioni e proportionalit?)は、組織的簿記を代表する最古の文献として知られている。
組織的な簿記としての複式簿記は、14世紀から15世紀に掛けての時期に、イタリアで成立したといわれる。当時のイタリアでは、前期的商業資本の台頭に伴い、商品生産・商品取引が発展しつつあった。そのような経済状況の中で、それまで普及していた債権・債務の記帳法(擬人法)は継承しながら、商品勘定(口別商品勘定)などの物的勘定、資本勘定及び名目勘定(損益勘定)を導入して、組織的簿記が完成された。 現在、単に「簿記」と言う場合、複式簿記を指すと考えるのが一般的である。
外部リンク
⇒日本商工会議所
⇒『明治事物起源』「簿記学の始」(1908年)国立国会図書館