この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
窃盗罪(せっとうざい)とは、他人の物を故意に断りなく持っていくことや使用することを禁止する犯罪類型のことである。違反して窃盗を犯した者は刑罰によって処断される。
窃盗罪
法律・条文刑法235条
保護法益財物
主体人(自然人)
客体他人の財物
実行行為窃取
主観故意犯、不法領得の意思
結果必要(状態犯)
実行の着手他人の財物に対して占有侵害の危険を含む行為を開始した時点
既遂時期他人の占有を侵して財物を自己の占有に移した時点
量刑10年以下の懲役、50万円以下の罰金
未遂・予備未遂罪(243条)
目次
1 窃盗罪一般
1.1 概説
1.2 近代以前の窃盗罪について
1.3 諸外国の立法例
1.4 日本における窃盗処罰の歴史
1.4.1 江戸時代
1.4.2 旧刑法
2 日本の現行刑法上の窃盗罪
2.1 概説
2.2 保護法益
2.3 構成要件
2.3.1 客体
2.3.2 実行行為
2.3.3 不法領得の意思
2.3.4 未遂
2.4 法定刑
2.5 窃盗罪に関する特則
2.6 窃盗事件の割合
2.7 窃盗罪の成立する特殊な事例
3 関連項目
4 外部リンク
//
歴史的に倫理的・道徳的に反社会的行為とされ、何らかの意味で所有の概念を持つ社会においては、殺人や強姦と並ぶ典型的な犯罪類型とされている。誰もが犯しがちな犯罪であることから、行為の安易さに比較すると身体刑や長期の自由刑など重い罰をもって臨む処罰例、立法例が多い。
中世欧州においては窃盗は強盗よりも重罪であった。その理由として、強盗は公然と犯罪を行うため撃退できる可能性があるのに対し、窃盗は密かに遂行できるため、卑怯であるというものである(→自力救済)。
江戸時代においては、窃盗は厳罰で臨んだため、非常に発生が少なかったことが知られる。
当時の刑法典の役割を果たした公事方御定書(御定書百箇条)の五十六「盗人御仕置之事」には、現在で言うところの、「強盗罪」「窃盗罪」「遺失物等横領罪」「盗品等関与罪」等に相当するものが定められているが、現在の窃盗罪に当たるものを、抽出すると以下の条文が見られる(適宜読み下し)。家内へ忍び入り或は土蔵を破り候類、金高雑物の多少に依らず死罪。但し、昼夜を問わず、戸を開くるこれある所、又は、家内に人これ無き故、手元にこれ有り軽き物を盗み取り候類、入墨の上重敲。家宅侵入又は土蔵の鍵を破って盗みを犯したのは死罪。但し、戸締りが緩かったり留守宅で、軽い窃盗であれば減刑するもの。手元にこれ有る品をふと盗み取り候類、金子は拾両より以上、雑物は代金に積十両位より以上死罪 金子は拾両より以下、雑物は代金に積十両位より以下入墨敲有名な、「十両盗めば死罪」の条項。軽き盗いたし候者敲 一旦敲になり候上軽き盗みいたし候者入墨軽微な窃盗と累犯規定。
明治13年(1880年)に制定された ⇒旧刑法(明治13年太政官布告第36号)では、単純窃盗は2月以上4年以下の重禁錮に当たる軽罪とされ(366条)、侵入盗、共犯、凶器携帯等の場合についてはそれぞれ加重規定が設けられた。
「窃盗」とは国語辞典などにおいては「密かに盗む」という意味であるという説明がなされるのは通常である。しかし、そうすると公然と盗む場合(例えばひったくり)は含まれないことになる。このことから中国では別の罪が設けられていたが、日本では伝統的にひったくり等も窃盗に含められている。「窃」には「ひそかに」だけでなく「ぬすむ」という意味もあるとして説明するものもある。明治時代に立法された現行刑法においては、条文において「窃取」という文言が用いられており、これは他人が占有する財物を占有者の意思に反し自己又は第三者の占有に移転させる行為をいうものと解されている。したがって占有移転行為が他人に気付かれることなく行われる必要ではなく、公然と行われてもよい。ただし、「ひったくり」は暴行の程度によっては窃盗ではなく強盗となる。