空間(くうかん)には数学的定義で分類できる多様なものがあるが、通常は物体の運動や諸々の現象の起きる物理的空間を指す。これは数学的には、3次元距離空間であり、この距離は長さで定義される。物理的な意味での空間はまた時間との対語でもある。物理的空間以外の空間を抽象空間と呼ぶこともある。物質が存在しない物理的空間を真空と呼ぶ。
目次
1 物理学での空間
1.1 物理的空間
1.2 物理学での抽象空間
1.3 物理的空間の2属性
2 数学的な空間
2.1 数学
2.2 情報工学
2.3 その他
3 地理学の空間
4 社会学における空間
5 関連項目
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ニュートン力学における物理的空間は、現象の起きる舞台となる空っぽの容器で、無限に広がる3次元ユークリッド空間と考えられていた。だがアインシュタインの一般相対性理論以来、重力は空間の歪みと考えられ、空間は曲率がゼロのユークリッド空間ではなく一般にはリーマン空間で表されることになった。そして重力の源は質量であるので、空間は内部の物体とは無関係に存在する単なる容器ではなく、内部の質量自体が空間の構造に影響を与えていることになる。
また量子力学では、真空も何もないのではなくエネルギーを持つと考えられている。例えば「ディラックの海」、「カシミール効果」を参照のこと。
種々の物理量によるより数学的意味に近い空間を指す場合もある(例えば位相空間_(物理))。
空間には、絶対空間と相対空間という2つの属性が存在する。
絶対空間は、英国の物理学者ニュートンが唱えた空間の性質で、連続的で均質な無限の広がりという空間の性質を表現する。それは、自然物や経済・社会関係の容器として機能する。例えば、みかん箱は、みかんの容器であり、絶対空間として機能している。しかし、このニュートンの説は、空間の存在論を、神の感覚中枢であるとみなす中世的世界観に立って近代科学から十分説明しなかった。
これは、ドイツのライプニッツによる批判の対象となった。ライプニッツは、相対空間の属性を提示した。ライプニッツによれば、空間とは諸物の関係であり、空間の存在は、その中の諸物の関係を、幾何学などにより合理的に説明できれば証明されるとした。これは、空間の性質を、諸物の位置ならびに位置相互にある距離として表現するものであった。
ニュートンとライプニッツの間には、激しい論争が闘わされたが、その後、アインシュタインの相対性理論の登場によって、空間それ自体を、宇宙のビッグバンによって作られた客観的実在であることが明らかとなり、絶対空間と相対空間は、この客観的実在としての空間がもつ2つの属性であり、どちらも正統なものとして認識されるに至った。
数学においては、ある集合を“入れ物”に、特定の条件を構造(とくに幾何学的構造)としていれて“幾何学的対象”と考えるとき、入れ物となる集合を空間 (くうかん、space)と呼ぶことがある。その場合、集合の元は空間の点と呼ばれる。入れ物となる空間に複数の構造が考えられるときには、構造ごとに異なる空間があると考えることが自然であることも少なくない。この場合、空間とは「入れ物となる集合とその集合の上に定義される構造との組のことである」として考えていることになる。
集合と条件から公理的に構成される空間をとくに抽象空間(ちゅうしょうくうかん、abstract space)と呼んで、具体的な空間と区別することがある。たとえば、ベクトル空間は線型演算の定義できる集合という条件で定まる抽象空間のことだが、実数全体の成す集合 R のような具体的な空間がベクトル空間の構造を持つかどうかということとは独立に、ベクトル空間の公理のみによってその性質などについて統一的に論じることができる。
空間に定義される幾何学的な構造とは、たとえば“近さ”、“向き”、“位置関係”、“広がり”のようなものがそうなのであるが、座標や函数のような、通常は代数学的な構造であるとか解析学的な構造であると見なされるようなものも、一部に含んでいる。ホモトピーやホモロジー、コホモロジーは、空間やその幾何学を計算のしやすい代数系によって捉えるという代数的位相幾何学の思想に基づく産物である一方、不変量として空間を規定する幾何学的な構造の一種であると捉えられる。
ユークリッド空間は空間の雛形として幾何学的な構造を様々に含んでいる。たとえば、“近さ”について、ユークリッド距離と呼ばれる距離函数によって距離空間の構造を備えている。空間(の中の図形)が閉じているとか開いているとか、あるいは“広がり”具合に関して限界があるとか、繋がっているとか離れているとか、収束・発散、とかいった概念は、ユークリッド空間であれば距離の言葉で解釈して、論じることができる。一般には距離を定めることのできない抽象空間で近さを論じるために、位相空間や一様空間といった抽象空間の類が定義される。また、ユークリッド空間上の函数やその解析学は、ユークリッド空間の局所的な振る舞いを明らかにし、微分構造を備えた多様体としての姿を浮き彫りにする。