ドメイン界(かい)門(もん)綱(こう)目(もく)科(か)属(ぞく)種(しゅ)
種(しゅ、英・羅: species)とは、生物分類上の基本単位である。 2004年現在、命名済みの種だけで200万種あり、実際はその数倍から10数倍以上の種の存在が推定される。
目次
1 基本理念
2 有性生殖の役割
2.1 形態的種の概念
2.2 生物学的種の概念
2.3 生態学的種
2.4 地理学的種
2.5 進化学的種
3 種の下位分類
4 種に対する疑問
5 関連リンク
6 関連項目
7 参考文献
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生物は、無数の個体からなるが、それらが非常に多様な形質を持つ中で、一定の類型に分けられることを人は古くから体験的に知って、それらに名前を付けた。たとえば虫とか魚とか鳥とか、草とか苔とかである。更にそれらを詳しく見ると、それぞれの中にも多様な形質のものがあるが、詳しく見てゆくとそれらを不連続な集団に分けられることに気がつく。つまり、形質のかなり細部までが共通する集団が見分けられ、それらの集団の間には不連続性が見られる。たとえばミカンの木につく青虫を育てれば、そこから出てくるチョウチョは、黄色のまだらのものか、真っ黒の羽根のものかである。前者はアゲハチョウで、後者はクロアゲハであるが、それらは色だけでなく、羽根の形や幼虫の姿でも少し異なっている。また、このような形質は、世代を越えて維持される。そのような集団を種という。博物学や生物学の積み上げの中で、すべての生物がこのような集団に区分されているとの判断に達した。それに基づいてそれぞれの種に体系的に名を付け、分類体系を築こうとしたのが、リンネである。
しかし,リンネの時代には生物は現在言うところのEukaryote(真核生物)しか知られていなかった。現在それ以外にもMonera (モネラ、真性細菌、いわゆる狭義の細菌)、Archaea (アーキア、古細菌)、そして生物かどうかの異論もある、Virus(ウイルス)やViroid(ウイロイド)といった存在があることが知られている。そしていわゆる真核生物とはMonera とArchaea、見方によっては Virusが複数共生した複合生命体であることが定説になっている(細胞内共生説、ミトコンドリア、葉緑体、レトロウイルス等を参照)。このため、リンネの考えた種の概念は真核生物では比較的よく適合するが、それ以外のMonera 、Archaea 、Virus、Viroidといったものには適合性が良くない。Monera 、Archaea はリンネの唱えた2名法による種名が付いているが、その概念と範囲は真核生物における物とは全く異なることに留意すべきである。Virus、Viroidではそもそも2名法による種名は付けられていない。
種における重要な概念の「有性生殖(による遺伝子交換)」そのものが真核生物に特有の概念である。例えば真性細菌では、有性生殖にあたる接合だけではなく、プラスミドの交換などを通して相当に遠縁でも遺伝情報の交換ができる。接合が知られていないものも極めて多く、相当遠縁の同士でも接合が起こることがある。また、外形は極めて変化に乏しいが、遺伝的には極めて多様なことが知られている。つまり、リンネの定義では、種を非常に細かく分けることも、非常におおざっぱに分けることもできてしまう。現在の細菌の種の定義は真核生物の分類と比較すると非常に大きい集団を指しているものと思われる。例えば細菌の種分類の基準として用いられることの多いDNA - DNA分子交雑法で再結合率が70%以上であることや、核酸塩基配列の相同性が90%程度などを用いた場合、動植物では目レベルの分類群が全て同一の種に属することになるであろう。種の定義・概念は、現在、22以上あり、研究が進むほどに増加している[1]。
以下にはよりなじみの深い真核生物の分類、より厳密に言えば動物を中心に成り立つ種分類上の留意点について記述する。ここには真核生物でも植物(Plant)、菌類(Fungi)、原生生物(Protista)などでは成立しない論も多く含まれている。例えば、この直後に記述された「有性生殖の役割」でも、植物、菌類、原生生物では成立しない場面がよくある。これらでは有性生殖がほとんど認められなかったり、交配できない不和合接合型(クローンや親子兄弟など同じもしくは近い型の間では有性生殖が成立しない)が認められたりする例が多数ある。このため「交配可能かどうか」は種分類に使いにくい場面が多い。種の分類および概念に専門家の間で共通認識があるとは言い難い状態である。つまり、生物の集団をどうとらえるかは、研究者・分類群によって異なり、全て生物の分類に適用可能な種の概念は存在しないということである[2]。
特に、個体間で生殖が可能かどうかは種の判断に於いて重視されるところである。これは、種の特徴が世代を越えて維持されるものであること、古くは同種であれば子供を残せるはず、との素朴な判断によったものである。しかし、現在では有性生殖とその内容が明らかになっている。つまり、有性生殖は、それぞれの個体の属する系統の間で互いの遺伝子を交換し合う行為であり、互いに交配可能であれば、いつかはその遺伝子を交換し合う可能性がある。そのような関係でつながった個体の集団は、同じ遺伝子プールに含まれる。