科学史(かがくし)は、自然科学の歴史的経過、あるいは、それを研究する学問分野である。一般に科学史といえば科学者個人の伝記的研究や、新しい理論の発見の歴史ととらえられがちであるが、研究の実際ではその時代の文化や政治、社会との関連も考察される。学説の内容に対象をしぼった研究もある。また、技術史とも深く関わる。他の歴史学の専門的研究がそうであるように研究対称に関する知識を必要とするため、科学史の場合は自然科学系の学者によって研究されることが多い。
目次
1 科学史の歴史
1.1 日本での科学史
2 科学史の見直し
3 主な科学史家
4 分野史
5 先史・古代
5.1 古代の科学
5.2 ギリシアの科学
5.3 ヘレニズムの科学
5.3.1 アレキサンドリアの科学
5.3.2 古代ローマの科学
5.4 中国
6 科学史概略・中世
6.1 アラビア科学
6.2 西洋中世
6.3 17世紀の科学
7 科学史概略・近代
7.1 産業革命
7.2 18世紀の科学
8 日本の科学
8.1 古代?中世
8.2 西洋との接触・江戸時代
8.3 鎖国と蘭学
8.4 江戸時代後期
9 参考文献
10 関連項目
11 外部リンク
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科学史が学問として成立したのは比較的遅く、アメリカ合衆国で科学史専門論文誌ISISが発刊された1912年ごろがその成立と考えられる。これ以前にも、天文学史や医学史などはこれより先に研究が進んでいたが、科学全体を体系化して学問の対象とすることが行われはじめたのはほぼこの時代と考えられる。初期の研究で比較的重要なものには、ダンネマンの『大自然科学史』(1913年)がある。
1930年代には国際会議などが開催されたこともあり、科学史の研究が大きく進められた。サートンの『科学史と新ヒューマニズム』やマートンの『十七世紀イングランドにおける科学・技術・社会』、ゲッセンの『ニュートン力学の形成』、バナールの『科学の社会的機能』などはこの時期に著された科学史研究の代表的著作であるといえる。
戦後、ハーバード・バターフィールドなどにより科学革命などの定義が行われ、研究も活発になった。1960年代以降は、原子爆弾など、科学がもたらしたものの是非に対する議論がさかんに行われるようになり、これらの議論にも科学史は必要不可欠なものとなった。このような科学の是非に対する議論を科学論という。日本では、科学史家は科学論も研究していることが多い。
日本では、数学史に関しては非常に早くから研究が行われてきた。また、唯物論研究会では1930年代に科学史や科学論についての議論が行われていた。しかし、科学全般を扱う科学史が学問としての成立をみるのは、日本科学史学会が発足し、論文誌『科学史研究』の刊行が始まった1941年ごろとみてよいと思われる。
それまでは科学史を体系的に研究する機関は存在しなかったが、戦後、東京大学教養学部が科学史を扱うようになった。この後、複数の大学で専攻コースが作られている。ただし、科学史家の研究地盤は脆弱であり、一人の研究者がある大学を去ると、その後、その大学での研究が滞ることが多い。また、科学史のみを専門に研究する研究機関も存在しない。
日本における科学史へのアプローチは、理学部のような基礎理論の一分野として研究されている場合と、科学を哲学的に検証するために、哲学の分野から研究が行われる場合の大別して2通りがある。
旧来の科学史の研究においては、思索や伝聞などを基にしたあやふやな手法が導入される傾向がかつてはあり、また、 道徳の次元で物事を論じ、きれいごとに近い神話を形成する元凶となったという批判がある。 [1] このようにして形成された「聖人科学者」的な科学者は、道徳教育においては役立った側面があるものの、 科学者になるための示唆はほとんどないと考えられている[1]。
このような「聖人科学者」的な科学者像や、過度に綺麗事化された科学的方法論は、特に ハロルド・ガーフィンケル, ブルーノ・ラトゥール以降による社会学的手法の導入以降抜本的に 見直されてきている[1] [2] [3][4]。