社会構成主義(構成主義、Constructivism)は、国際関係学において標準的な見方である現実主義と自由主義のみによっては捕らえきれない事象を説明するためのアプローチとしての理論である。国際関係における規範、アイディア、アイデンティティを重視するアプローチである。
目次
1 登場の背景
2 内容
2.1 学派
3 批判と反論
4 代表的な学者
5 関連項目
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第二次世界大戦後、国際関係学においては米国を中心に現実主義と、それに対する自由主義の理論が形成され発展してきた(ネオリアリズム、ネオリベラリズムも含む。他にマルクス主義的国際関係観も存在する)。しかし、これらの理論は冷戦の崩壊を予測することができず、理論としての脆弱さを露呈した。そこでこれらに代わって、登場したのが構成主義(コンストラクティヴィズム)である。論者によっては「社会構成主義」もしくは「社会構築主義」と呼ばれる。
なお国際関係学でコンストラクティヴィズムという言葉を最初に使用したのは、ニコラス・オナフの著書 World of Our Making (1989) とされる。
構成主義論者によると、国際関係における行為主体は物質的で規範的な構造の中に埋め込まれている、とする。行為主体は、国際社会における相互行為を通じて相互主観性を共有し、それが国際社会を構成している、と考える。例えば、規範(特定の状況下で行為主体に期待される一定の行動準則)は、行為主体(国家など)が「その規範が存在している」と考えるだけではなく、「他の行為主体(他の国家など)もその規範の存在を認知している」と認識し、その認識が全ての行為主体に共通してイメージされることで共通認識となり、その規範が存在しているといえるのである。
現実主義と自由主義が、国際社会と国家の関係を「個(国家)の集合が全体(国際社会)を形成する」と考えているのに対し、構成主義は「個々が全体を構成すると同時に、全体が個々を規律している」と考える。
現実主義や自由主義は、それらの理論自身が行為主体の選好を説明するものであるのに対して、構成主義は国際関係の変化を規範・アイディア・アイデンティティの変化によって説明するため、理論というよりむしろアプローチであるとされる。その規範・アイディア・アイデンティティがどのように変わったかを事後的に説明するが、将来的にどのように変わるかを説明することが、構成主義の課題である。
構成主義の内実に関しては、いくつかの潮流が指摘されている。たとえば、国際政治経済学の代表的な学術誌 International Organization 創刊50周年号で、ピーター・カッツェンスタイン、ロバート・コヘイン、スティーヴン・クラズナーの共著論文 "International Organization and the Study of World Politics" では(頭文字をとり、KKK論文と揶揄されている)、通俗的(conventional)、批判的(critical)、ポストモダン(postmodern)の3つに分けている。
そのほかには、合理主義アプローチと親和性の高いピーター・カッツェンスタインと彼の弟子たちのコーネル学派、ミネソタ大学で教鞭を執るレイモンド・デュヴァルと彼の弟子たちの研究に代表されるミネソタ学派、そしてフロリダ国際大学を拠点に、言語や規則の役割を重視するニコラス・オナフが中心のフロリダ学派の存在が指摘されることもある。
構成主義は、規範、アイディア、アイデンティティの変化に注目することで国際関係の変動を事後的に説明を付与することに成功している。しかし、具体的な外交政策決定において「どのような政策を採るべきか」を示唆してくれるものではない、明確なパターンや予測を示していない、アイディアの概念が曖昧であると批判されている。
だが、前述のように構成主義はあくまでも研究的なアプローチであって、実務的な理論枠組みではないので、この批判は構成主義に対する誤った期待の裏返しであると考えられる。構成主義は現実主義・自由主義に続く“第三の理論”ではなく、あくまで“研究的アプローチ”である。
代表的な学者
エマヌエル・アドラー(Emanuel Adler)
マイケル・バーネット(Michael N. Barnett)
トーマス・バーガー(Thomas U. Berger)
ジェフリー・チェッケル(Jeffrey T. Checkel)
マーサ・フィネモア(Martha Finnemore)
オーディー・クロツ(Audie Klotz)
フリードリッヒ・クラトチウィル(Friedrich V. Kratochwil)
ニコラス・オナフ(Nicholas Greenwood Onuf)
リチャード・プライス(Richard Price)
クリスチャン・ルース=スミット(Christian Reus-Smit)
ジョン・ラギー(John Gerard Ruggie)
キャスリン・シッキンク(Kathryn Sikkink)
ジュッタ・ウェルデス(Jutta Weldes)
アレクサンダー・ウェント(Alexander Wendt)
関連項目
構成主義
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