研究 (けんきゅう) とは、ある特定の物事について、人間の知識を集めて考察し、実験、観察、調査などを通して調べて、その物事についての事実を深く追求する一連の過程のことである。語義としては「研ぎ澄まし究めること」の意。
目次
1 研究の目的
2 基礎研究と応用研究
3 研究の過程
4 さまざまな研究
5 関連項目
6 参考文献
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研究の目的は突き詰めれば、新しい事実や解釈の発見である。それゆえ、研究の遂行者は、得られた研究成果が「新しい事実や解釈の発見」であることを証明するために、それが先行研究によってまだ解明されていないことも示す必要がある。また、自身の研究成果が新しい発見であることを他の研究者によって認めてもらうためには、学会や査読付き論文などにおいて研究成果を公表しなければならない。どんなに優れた研究成果が得られても、それが他の研究者によってすでに明らかにされていたとすれば、その研究は無価値である。
厳密に区分することはできないが、研究には基礎研究と応用研究の2つがある。
基礎研究は、純粋研究とも呼ばれ、理論や知識の進展を目的にしている。その出発点は知的好奇心であり、研究成果を何かの役に立てることが目指されているわけではない。それに対し、応用研究は具体的な問題の解決を目指すことが出発点であり、産業や社会の発展のために行われる。もっとも、中には、せっかくの研究成果が、社会(関係省庁に勤務する公務員を含む)に伝わっていない例も散見される。例えば、中村太士(北海道大学大学院教授・生態系管理学)によると、林野庁や国土交通省、環境省の中堅職員に対して講義をするとき、「森を切った方が年間の河川水の総量が減ると思う人は手を挙げてください」と問うと、3分の1、多いときには半分程度の人が手を挙げるそうだ(ちなみに、世界で実施された流域試験から、森を切れば総流出量は増えるという結論が得られている)。現実問題として、研究者が、研究成果を論文発表するだけで満足してしまうと、一般人(大学生、大学院生、大学勤務者などの特殊な人は除く)は、研究者が使用できる図書館(論文が収蔵されている大学図書館など)の利用が堂々とできないことが非常に多い(密かに利用できることはあるようだ)ので、その研究成果が一般社会に知られることはなく、無駄になってしまう。
研究を、作業工程という観点から考えた場合、基礎研究、応用研究の別によらず大雑把に言えば「研究とは仮説の構築とその検証、再評価の延々たる繰り返し」である。
「一つの研究」に着目して考えると「一つの研究」の各段階は、概ね「計画、実行、評価」の流れで見ることが出来、より詳しくは以下の要素からなっていると考えることが出来る。このように研究の過程が構造化されていることは、研究結果の公表物であるところの論文がIMRADのように構造化されているのとよく似ている。しかしながら、「論文におけるIMRADのような略称」は今のところない。
予備調査、予備実験、先行研究のレビュー:「何を調べたいのか」、「何を調べるのか」、「何を調べることが出来るのか」、「何を調べればモノになるのか?」「調べようとする問題に先人はどのように取り組んできたのか」、「調べようとする事柄を調べるにはどのような方法が検討しえるのか」を整理するために文献調査、討論、予備的な実験等を行う。
研究目的の決定:これからおこなう一連の活動によってどのような問題を解決、解明しようとするのかを決定する。また、これから解決、解明しようとする問題にどのような切り口から光を当てるのか、どのような着眼点を持つのかをまとめる。
仮説の構築 :"(2)"で設定した問題の「仮の答え」をいくつか考える。ここでいうところの「仮の答え」は、「棄却すべきであるか否か」を「いくつかの実験事実等の事実」と「それからの推論」のみで決定できるものでなければならない(検証可能性)とされ、通常、定性的あるいは定量的なモデルを立てるという形をとる。但し、場合によっては明確な形の仮説をおかず、「ここを調べればちょうど抜けたパズルのかけらが埋まりそうだ」といったレベルの考えで話を進めることある(だからといって悪い結果が得られるとは限らない)。また、「どのよな実験をすればどのような結果(どのような範囲、傾向の結果)が得られるのか」であるだとか、「もしこういう結果が出た場合はこういうことが考えられる」、「複数の実験および先行研究の結果を組み合わせた上でどのような知見が得られるのか」などの問題意識をよりハッキリさせるにとどまる場合がある。そのようなケースにおいては(2)の段階や(4)の段階との区別があいまいになる
(仮説検証のための)調査方法、実験方法の立案、実験の準備 :実際に行う実験を「いつ、どこで、何をつかってどのように何を行う」といったルーチンワークレベルの作業手順におとす。必要な機材がなければ購入計画を立てるあるいは設計するあるいは自分で製作する。また、解析するための方法を検討する。解析方法、実験回数の選択などは統計学特に実験計画法に従って検討する。
実験、調査(データの収集、データの解析)"4"で立案した計画に沿って実際の実験、調査、解析などを行い、結果をグラフや図や表にまとめる。適宜統計処理を行う。実験、解析などの段階においては以下の"(9)"の「偶然的な発見」が得られることがあり、また、誤謬が紛れ込む可能性も高い。その意味でこの段階は、まさに研究におけるクリティカルフェーズである。この過程では、特に実験ノートが威力を発揮する。
考察:仮説、研究目的の妥当性の評価、得られたデータから予想あるいは主張できる内容の抽出、仮説の真偽判定及び修正、及びそれらに基づいた研究計画の修正などを行う。また、得られたデータや先行研究によって得られた事実にどのような文脈の中におくのかを検討する。
研究成果発表の公表 :学会発表・専門誌への公刊、研究室内、学内での研究報告会、審査会等。ここでもらった意見の一部は研究にフィードバックされる。
突然のひらめき有名な学者の多くが、煮詰まった環境下でふと、あることに気づき、ブレークスルーに繋がったというエピソードを語る。
偶然的な発見(セレンディピティ) :有名な学者の多くが偶然という言い方をするが、実際のところは、広くアンテナを張り巡らし、適切な記録をとり、わずかな兆候を見逃さず、いろいろな解析処理を試せるだけの技能とチャレンジ精神を持ち、適宜研究計画にフィードバックを加えるといったことが出来るぐらいに訓練された人間以外にはなかなかこのような幸運は訪れない。
偶然(学会、ディスカッション)などで情報にめぐり合う :あるうわさを聞いてあわてて帰って研究室に引きこもって何かに取り付かれたように研究に取り組んだという逸話が残る先生が何人かいる。
研究経費の獲得(科研費、COE等):地獄の沙汰も金次第。
高等学校向けのの理科の検定教科書の課題研究の項や、各大学の学生実験の指導書等、研究の初心者あるいはそれ未満のレベルの人を対象とした人向けの教育課程では研究の過程として「『(1)→(2)→(3)→(4)→(5)→(6)→(1)』のループを何度か繰り返したあと、(7)に至る」と等いった極めてオーソドックスな流れを解説している。