犬食文化(けんしょくぶんか、食犬とも)とは、食用として犬を飼育してその肉を食べる習慣、及び犬肉料理の文化の事である。
目次
1 概要
2 中国
3 香港・台湾
4 朝鮮半島
5 その他東アジア
6 太平洋島嶼地域
7 日本
8 ヨーロッパ
9 註
10 参考文献
11 関連項目
12 外部リンク
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犬食文化は、中国や朝鮮半島のような古くからの農耕社会、或るいは東南アジアやオセアニア島嶼域の様な農村的社会が支配的な地域に認められる。一方、犬食が忌まれる地域は、牧畜社会、遊牧社会、狩猟採集社会の支配的な地域と、西アジアのように、遊牧社会でありながら食用動物に関する宗教上の禁忌が存在する地域がある。
犬肉料理としては、韓国料理のポシンタン等が有名だが、犬食の歴史は古く、中国大陸をはじめとする広い地域で犬を食用とする習慣があった。日本を含めた東アジア、東南アジア及びハワイ、ポリネシア、ミクロネシア、オセアニアなどの島嶼に於いては、犬食の習慣が多く存在した。
欧州では牧畜が盛んであった為、中国、朝鮮などと異なり、犬との共存生活が長く、家族同然の扱いを受け、食用にはしてこなかった。最近のアジア圏でも、生活習慣の変化に伴い、愛犬家や若者を中心に犬食を忌む傾向も生じている。
中国の新石器時代の遺跡からは、犬の骨が大量に出土している。これは犬を食用として大量に飼育していた為である。黄河流域にも長江流域にも犬食文化は存在した。古代中国で犬肉を食べていた事実は、「羊頭狗肉」「狡兎死して走狗烹らる」などの諺、前漢の高祖に仕えた武将樊?がかつて犬の屠殺を業としていたことからも窺える。
だが、狩猟や遊牧を主たる生業とする北方民族は、犬を狩猟犬として、或いは家族や家畜群を外敵から守る番犬として飼っており、犬肉を食べない。こうした犬は生業や家族の安全を託す生活の仲間であり、家族同様だったからとする見方がある。農業生産性の低かったヨーロッパでは伝統的に牧畜が重要な生業であり、現在の西洋の犬食いに対する嫌悪感には、北方民族と同じ源があると見られる。
中国では、五胡十六国時代に鮮卑等の北方遊牧民族が華北を支配した為に、犬食に対する嫌悪感が広まった。北方民族が入らなかった南朝でも、5世紀頃から犬を愛玩用として飼う風習が広まり、特に上流階級はペルシャ犬を愛好した。この為、南朝でも犬食を卑しいとする考えが広まり、時代が下がるに連れて犬食の風習は廃れていった。但し『本草綱目』にも犬の記載があり、全く廃れた訳ではなかった。現在でも、広東省、湖南省、雲南省、貴州省、江蘇省等、広く犬食の風習が残っている。江蘇省沛県や貴州省関嶺県花江、吉林省延辺朝鮮族自治州は犬肉料理で有名な場所である。地名にも養殖場があった場所として、「狗場」等の名が使われている場所が多くある。広東省広州では「狗肉」(カウヨッ)の隠語として「三六」(サムロッ)や「三六香肉」(サムロッヒョンヨッ)と呼ぶが、「3+6=9」で同音の「狗」を表した表現である。概ね、シチューに似た煮込み料理に加工して食べられる。調理済みのレトルトパックや、冷凍犬肉も流通している。
古代よりの伝承では、黄(赤)、黒、花(斑模様)、白の順に美味いとされている。
香港では犬食に嫌悪感の強いイギリスの支配を受けたため、犬肉の流通は禁止されている。
台湾では香肉という呼び名で好事家の食文化として存在していたが、2001年1月13日に、犬、猫を食用目的で屠殺する事を禁じる動物保護法が施行された。2003年12月16日には改正され、販売も罰則対象に含まれるようになった。これ以降、それまでの犬肉料理店の多くは羊肉料理店に変わったが、客の需要に応え犬肉を羊肉として売っていた羊肉料理店が摘発されるという事件が度々起こっている。
また「世界残酷物語」での一幕に台湾の犬食屋なる大衆食堂が出てくる。食用犬にされる犬が檻に入れられており、それを見ながらお客が食事をするのである。
韓国では犬肉を「???(ケコギ)」、北朝鮮では「???(タンコギ)」と言う(「ケ」は犬、「タン」は「甘い」、「コギ」は「肉」の意)。