牛歩戦術
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牛歩戦術(ぎゅうほせんじゅつ)は、日本国会において少数派が議院規則の範囲内で議事妨害を行う手段の一つ。これに関連する議事妨害の手段として牛タン戦術(ぎゅうたんせんじゅつ)がある。
目次

1 牛歩戦術

1.1 主な実行例


2 その他

3 比喩的な用法

4 参考文献

5 関連項目

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牛歩戦術

日本においては与党の強行採決に抵抗する形で野党が使うことが多い。投票までの間、時には立ち止まったり足踏みしたりしながらゆっくり前進し、投票のために並んだ議員の列を妨害して時間稼ぎをする戦術。立ち止まりすぎると、投票の意思がないとみなされて棄権と扱われるため、少しずつ前進していく。

賛成する議員が反対する議員を明らかに上回る時、反対する議員が議題の可決を阻止するために行う。衆議院規則では、議長職権により投票時間を制限できる規定が明記されているが、参議院規則にはない。しかし、参議院でも議長職権により投票時間を制限されて投票を打ち切られたケースがある。

牛歩戦術の狙いは次の3つ。しかし牛歩のみによって妨害が成功したケースは少ない。
議場(議会が開かれている部屋)を一度出てしまうと、その議会が終了するまで議場に入れないという決まりがある(議場閉鎖)。このため、たとえば賛成派議員の中からトイレを我慢できなくなって、投票する前に部屋を出る議員が現れてくれれば、その分賛成票を減らすことができる。与党側は成人用紙おむつで対抗したという。ちなみに牛歩が減ったのは、紙おむつが普及したからという説もある。

午前0時、つまり日付が変わった時点で投票が終了していない場合は、その投票自体が無効になるという決まりがある。このため、議題の可決をある程度先延ばしすることができる。

法案は、国会の会期中に可決するか、継続審議の手続きを行わないと廃案となる。会期末まで牛歩を続ければ、理論上は廃案にできる。

日本では戦前、帝国議会1929年(昭和4年)、小選挙区制法案に反対した野党・立憲民政党により、既に近い行動が見られたという。ただ、議長に催促されるまで自席に座ったままでいるというもので、目的は同じだが、牛歩そのものではなかった。最初の本格的な牛歩戦術は、戦後、初めて議会に進出した社会党共産党が行ったといわれる。日本国憲法が公布された、帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩の最初は、野党時代の自由党が、大野伴睦の発案で行われた。自民党政権下では、社会党共産党が得意とした戦術であり、現在も民主党などが行うことがある。ただし、民主党は党としては行わず、議員個人の裁量に任せるという形を取っている。一回の投票での最長記録は1992年の下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分である。


主な実行例

1929年、立憲民政党が不完全ながら衆議院で実行。小選挙区法案阻止が目的。結果的に成功。

1946年8月21日、社会党、共産党が衆議院で実行。樋貝詮三議長不信任決議案の討論打ち切り動議に対抗。時間稼ぎのみ。

1947年、自由党が衆議院で実行。臨時石炭鉱業管理法案阻止が目的。保守政党に有利な修正がなされたため、一部成功。

1948年、長野県議会で実行。長野県の分県案可決阻止が目的。本会議は流会となり、結果的に成功。

1987年、社会党、公明党、共産党、民社党社民連などが衆議院で実行。売上税法案阻止が目的。結果的に成功。

1988年、社会党、共産党、第二院クラブが衆参両院で実行。消費税法案阻止が目的。失敗。

1992年、社会党、共産党、連合参議院、社民連などが衆参両院で実行。PKO法案阻止が目的。五泊六日で抵抗するも失敗。共産以外は一部の牛歩に参加せず。連合参議院は民社系議員は参加せず(民社党は賛成)。

1999年、民主党、共産党、社民党などが参議院で実行。通信傍受法案など、組織犯罪対策三法案阻止が目的。議長による投票打ち切りで失敗。民主は一部の牛歩に参加せず。

2004年、民主党、共産党、社民党などが、衆参両院で実行。年金改正法案阻止が目的。失敗。

2005年、民主党、共産党、社民党などが不完全ながら衆議院で実行。会期延長の議決時、本会議場に酒気を帯びて出席している自民党議員への抗議が目的。その後、民主党議員にも飲酒者がいたと自民党が反論。懲罰動議の応酬となった。


その他

発明王トーマス・エジソンは少年期に押しボタン投票装置の特許を取得し、アメリカ合衆国各州の議会に売り込みを図ったが「牛歩戦術ができなくなる」とほとんどの場合野党の反対を招き、実用化されなかった。

日本では幾度が議論された末、1998年に参議院で押しボタン式投票が導入された。ただし、出席議員の1/5以上の要求があれば、従来通り記名投票が可能なので、牛歩が行える。押しボタン式投票は衆議院では導入されていない。


比喩的な用法

わざと時間をかけるという意味で、時給制の仕事をわざとゆっくり行うことの喩として用いられる。

また、なかなか完成しない公共事業への批判にも(いわゆる利権企業が)わざと工事を遅らせ、長期に渡って利益を得ようとしているとしてこの言葉が使用されることがある。

ただ「牛歩」と呼ぶ場合は、歩みが遅いこと、特に行列の進みが遅いこと一般にも用いられる。列さばきの手際が悪いことや、さらに接客などで列さばきが悪いために行列が伸び、客が多いように見えることを“牛歩戦術”と皮肉る用例もある。


参考文献

前田英昭『エピソードで綴る国会の100年―明治・大正・昭和・平成』(原書房ISBN 4562021594


関連項目


■可愛い娘探セル■
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki