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照葉樹林(しょうようじゅりん、laurel forest)とは、森林の群系の一種で、温帯に成立する常緑広葉樹林の一つの型を指す。構成樹種に葉の表面の照りが強い樹木が多いのでその名がある。
転じて、深緑色をしたカクテルの一種にもその名が使われている(グリーンティー・リキュールを参照)。
目次
1 成立条件
2 日本列島における現状(その重要性と懸念)
3 構成
4 照葉樹林文化論
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熱帯の多雨地帯では、当然ながら常緑広葉樹林が成立し、熱帯雨林と呼ばれる。温帯では、冬季の寒さが厳しい地域では、樹木は冬を落葉によってしのぐが、寒さがそれほど厳しくない(最寒月平均気温が5℃以上)地域では葉を落とさず、そのまま次の年も使う事になるので、常緑広葉樹林が成立する。しかしながら、葉を冬も維持し続けるために、寒さに対する対策として、熱帯多雨林のものより、葉が小さく、厚くなる傾向がある。
このような温帯常緑広葉樹林には2つのタイプがあり、一つは地中海地方に見られる硬葉樹林である。夏期に雨が少ないため、葉を堅くしてそれに対応した樹木(有用樹種としてはコルクガシ・オリーブ・イナゴマメなど)からなる森林である。現在は、自然植生としてはほとんど残っていない。
温帯常緑広葉樹林のもう一方が、照葉樹林である。夏期に多雨の暖温帯に成立し、葉は硬葉樹より大きく、表面のクチクラが発達して光って見えることからその名がある。元来は中国南西部から日本列島にかけて広く分布しており、概ねフォッサマグナ以西の西日本の山地帯以下、関東地方南部の低地 - 低山帯、北陸地方・東日本の低地、東北地方の海岸部(特に日本海側)は、本来この種の森林に覆われていたと思われる。ただし、照葉樹林を形成する樹木種のうちには落葉広葉樹もある。また、モミ・ツガ・イヌマキ・ナギなどの裸子植物も混入することが珍しくない。
なお、大西洋周辺では、照葉樹林は氷河の影響でヨーロッパから後退し、マデイラ島(世界遺産マデイラ島の照葉樹林)、アソーレス諸島(アゾレス諸島)、カナリア諸島(西部群島:ゴメラ島島頂部は「ガラホナイ国立公園」の名で世界遺産【スペインの世界遺産】)などマカロネシア島嶼区、アトラト山脈北稜(モロッコ、アルジェリア)にわずかに残るに過ぎない。
照葉樹林は、人間が利用のために伐採など人為的撹乱をすると、場合によって落葉広葉樹に遷移してしまう。さらに現在は開発やスギ、ヒノキの植林などによる人工林への置き換えによって、その大部分が失われてしまっており、まとまった面積のものはほとんどない。その中で、宮崎県綾町の照葉樹林はよく原生状態を残しており、ユネスコ世界自然遺産登録への動きがある。
他の多くの地域では、寺社林、社寺林、とりわけ社叢(いわゆる「鎮守の森」)などにその面影を残す。社叢は、古来、神域と考えられ、改変が禁止されており、人間が手を加えてこなかったからである。こうした照葉樹林社叢のうち、代表的で面積も広いのは香川県琴平の金刀比羅宮社叢である。また、日本海側の鎮守の森では、東北地方まで海岸地帯にタブノキを中心とした照葉樹林の社叢が点在するが、これは、対馬暖流と多雪が自然環境に与える影響を証明する植生として貴重である。
明治時代の神社合祀に対して博物学者の南方熊楠が反対運動を行ったのは、合祀により社叢を持つ神社の統廃合が進み、照葉樹林が減少することに危惧を覚えたためであるとも言われる。
西日本の管理の行き届かないマツ林などでは、シイなどからなる照葉樹林が徐々に再生しつつあるが、一方で、こうした再極相化遷移を元来外来種であるモウソウチクの異常繁茂が阻害しており、竹害が問題になっている。根の浅い竹林は、地すべりなどを誘発し、山間地荒廃の面からも深刻である。
この他、照葉樹林の効用として、スギ林等の針葉樹林よりも酸性雨に強いこと、林内の湿度が高く、落葉期が集中しないため山火事に耐性があること、針葉樹などと比べ比較的根が深いため、落葉広葉樹林と並んで緑のダムの代名詞となっており、水源涵養林として適性が高いなどの利点をあげることができる。実際、森への降水が流域幹川に流れ出すスピードは、針葉樹林に比べ緩慢であり、照葉樹林を後背林として持つ河水が濁ることも少ない。また、魚つき林として、河口付近の漁獲確保にも欠かせない存在である。