無理心中
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心中(しんじ(ぢ)ゅう)は、相愛の二人が一緒に自殺すること。情死。転じて2人以上で一緒に自殺することにも用いる。正確に意訳できる英単語はなく、大和民族独自の死生観と言われる。
目次

1 概説

2 心中の種類

3 著名な心中の例

4 関連項目

5 関連書

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概説

心中とは他人に対して義理立てをする意味で用いられていた(心中立。しんじゅうだて)が、江戸時代には、刺青切指等の行為と同様に男女の相愛を意味するようになる。

心中立には、誓詞(せいし)、放爪(ほうそう)、断髪、入れ墨、切り指、貫肉があった。誓詞は起請文(きしょうもん)ともいい、熊野牛王符を料紙として用い、裏面に誓詞を書く。掌の印を押捺することもあったが、血判という血液により押捺し、あるいは血書といって血液で書くこともあった。男は左手の、女は右手の中指あるいは薬指の上の関節と爪の生え際との間を、古くは剃刀、小刀で、のちに針で刺し、血液を落とす。血書であれば折り紙とし血液の不足する箇所は墨を加える。遊女に書かせた起請文を焼き、炭を飲ませることもあった。放爪は、爪印ともいった。爪を抜く秘訣は爪の周りを切回し、酢に浸して抜けば、痛くはないといい、男に頼まれないのに女のまごころからおこなったという。断髪は頭髪を切り、男に贈り、他意の無いことを示した。切るべき所を2寸ほどあけて、上下を元結いでしめくくり、その上を紙で巻いて切った。自ら切り、また男に切らせた。『好色一代男』には、死者の黒髪、生爪をはがして遊女に売る農夫の話が見える。 入れ墨は、いれぼくろ、起請彫ともいい、多くは男の力でさせ、男の名を彫った。たとえば「徳右衛門」であれば「とくさま命」と「命」の字を名の下に付けた。これは命の限り思うという意である。「十兵衛」であれば「二五命」、「清助」であれば「きよ命」、ときには名字の片字、名乗の片字を上腕に彫り込んだ。針を束にしてその箇所を刺し、兼ねて書いたとおりに墨を入れる。切り指は、指先を切り落とすことで、切るには介錯の女性を頼み、入り口の戸は密閉し、掛けがねをかけ、血留薬、気付薬、指の包み紙などを用意する。木枕の上に指をのせ、介錯の女性に剃刀を指の上にあてがわせ、介錯の女性に片手で鉄瓶、銚子を上から力任せに打ち落とさせる。このとき指は拍子で遠くに飛び、十中八九は正気を失う。新町吉田屋で某太夫が2階で指を落としたところ、指の所在が分からなくなり、男が承知しないのでまたほかの指を落としたという話がある。貫肉は、腕であれ腿であれ、刀の刃にかけて肉を貫くことで、女には少なく、男色関係に多い。

自らの命をも捧げる事が義理立ての最高の証と考えられたことから、現在の心中の意味になった。情死を賛美する風潮も現れ、遊郭遊女と心中する等の心中事件が増加して社会問題となる。

江戸幕府は心中は漢字の「忠」に通じるとしてこの言葉の使用を禁止し、相対死(あいたいじに)と呼んだ。心中した者を不義密通の罪人扱いとし、死んだ場合は「遺骸取捨」として葬式埋葬を禁止し、一方が死に、一方が死ななかった場合は生き残ったほうを死罪とし、また両者とも死ねなかった場合は非人身分に落とした。1722年(享保7年)には心中物の上演を禁止した。

情死を主題とする物語を「心中物」という。近松門左衛門の『曽根崎心中』、浮世草子『心中大鑑』、落語品川心中』等が知られる。


心中の種類
情死
相愛の男女による心中。この世で結ばれないことから、来世で結ばれることを願う。
一家心中
一家そろって自殺する事で、家族心中・親子心中ともいう。子供に関しては、ほとんど無理心中の形であると考えられる。自分が自殺しようとしたとき、自分の子(稀に親)が現世に一人残されるのを不憫に思い、子(または親)を殺して自殺すること。実質的な無理心中だが、日本では悲劇として語られることが多かったため、分けて考えられる事も多い。ギャンブルや異常浪費で消費者金融からの多額の借金を抱える多重債務や、生活弱者家庭(ひとり親家庭(主に母子家庭)・障害者と同居している家庭・高齢者と子供(満15歳未満)のみの家庭)における生活保護費の減額による生活苦に陥って心中する事例もあるが、近年では老老介護介護疲れや生活苦による老年齢の親子や夫婦による一家心中などが報道されることが多い。
無理心中
相手の合意無く行われる心中で首謀者が相手を殺害する。実際は殺人として扱われ、首謀者が生き残れば当然殺人罪に問われる。恋愛のもつれから恋人を殺害して自殺する場合など。一家心中の状況で子供を殺害して心中に及びながら当人だけは生き延びた場合などは非難の意味を込めて無理心中と呼ぶ場合がある。近年ではストーカーが最終手段としてストーカー被害者を殺害して自殺するというケースが報告されている。
ネット心中
インターネット自殺サイト等で知り合った見ず知らずの複数の他人が、一緒に自殺すること。お互いに全く繋がりがないという点が、従来の心中とは異なっており、社会問題として取り上げられる事が多い。状況としては2人以上の複数人で、密室の中で練炭をたいての集団自殺をする事例が多い。


著名な心中の例

千葉心中(1917年(大正6年)

マイヤーリンク事件

谷中五重塔放火心中事件1957年(昭和32年)

福井火葬場心中事件2005年(平成17年)


関連項目

殉死殉教

切腹

相対

うたかたの恋

天国に結ぶ恋

本音と建前


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki