為替レート(かわせレート、Exchange Rate)とは、通常の外国為替の取引における外貨との交換比率(交換レート)である。為替相場、通貨レート、単にレートとも呼ぶ。基本的に市場で決定される。市場で決定されたレートを MER (Market Exchange Rate) と呼ぶ。
目次
1 概要
2 現代の主な為替政策
3 為替レートと物価
4 実効為替レート
5 日本における外為実務
5.1 両替商の為替レート表示
5.2 外貨預金・外為取引
5.3 その他
6 脚注
7 関連項目
8 外部リンク
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現代における貨幣(通貨)は、各国(または複数国が協調して)の政府ないし中央銀行が発行し、当該国の法律などにより裏付けを与えられ通用しているものが一般に用いられているが、その通貨は一般に当該国・地域の外では通用しないため、貿易や資本移動など国境を越える取引においては、当該国・地域で通用する通貨へ交換する必要が生じる。その際、自国・地域と相手国・地域との通貨の交換比率を決定するための概念が為替レートである。
一般に、為替レートはその制度いかんに関わらず経済情勢の変化によって変動する。 ある通貨Aに対して、通貨Bの価値が増大した場合、BはAに対して増価したという。また、AはBに対して減価したという。
中央銀行などの介入(為替介入)や固定相場レートの変更などで、為替相場の水準が人為的に変更された場合は、自通貨が増価した場合を切り上げ、減価した場合を切り下げと呼ぶ。
為替レートのうち、国際的な金融取引や貿易の決済に利用されることが多いアメリカドル(米ドル)との為替レートは最も重要視されている。2007年には 1米ドルは 100〜125円の比率で交換されている。日本の為替レートの変遷は円を参照のこと。
基準となる通貨とその相手通貨との関係には、変動相場制と固定相場制の 2通りの方式が存在する。先進国の通貨の多くは主に変動相場制を採用しており、需要と供給の関係で日々異なる比率で取引される。
一方、特定の通貨との間で為替レートを一定に保つことを「ペッグ」と呼び、米ドルとの固定相場制を維持することは「ドルペッグ」と呼ばれる。 途上国は米ドルとの間で固定相場制を維持する「ドルペッグ」をする傾向が強かったが、近年、東南アジアなど一部の国においては通貨危機への対応を迫られた結果、相次いで変動相場制へ移行した(アジア通貨危機を参照)。また、貿易による経済規模の拡大や米ドルの下落などを受けて固定相場制の維持が難しくなってきた中国や中東諸国などでは通貨バスケットへのペッグに切り替える、または切り替えようとする動きが見られる。
欧州では、諸通貨間のレート変動を次第に抑制するとともに、中央銀行業務を欧州中央銀行 (ECB) に統合する、各国政府が協調して一定の財政規律を確保するといった施策により、紆余曲折を経て[1]域内での為替政策の統一を実現し、共通通貨ユーロを誕生させた。ユーロは国境を越える最も強力な固定相場制を実現したことになるが、これは単なる通貨ペッグではなく、経済政策の統一による単一通貨の制定という背景を伴っている [2] [3] [4]。
現在の為替レートで各国の賃金水準などを比較した場合に、大きな差が出る場合がある。例えば日本は一人当たり GDP が 37000ドル程度であるが、ベトナムはおよそ 500ドルである。これを単純比較すると日本の賃金水準が 70倍程度高いことになるが、ベトナムは日本よりも物価が安いため、所得が低いからといって購買できる量に 70倍もの差がつくわけではない。こうした実情を踏まえ、物価を考慮した購買力平価で調整した後の一人当たり GDP は日本が 30000ドル、ベトナムが 3000ドル程度なとり、その差は 10倍程度になる。
為替レートがこのような物価差を反映しないのは、経済構造と貿易に関係している。
A国とB国があったとする。A国は工業化が進展しており輸出工業の生産性が高い。仮にA国の輸出工業がB国の輸出工業の10倍の生産性を持っていたとする。どちらも国際市場に製品を輸出している場合、一物一価の法則により両国の輸出品価格は同一となる。これにより、A国の輸出工業労働者はB国の労働者の10倍の所得を得ることになる。一方でA国の国内サービス業がB国の国内サービス業の2倍の生産性を持っていたとする。A国で輸出工業労働者と国内サービス業労働者の賃金に一物一価の法則が働いた場合、A国のサービス業はB国のサービス業の5倍の料金を取らなくては経営が成り立たなくなる。このため、両国では輸出工業品の価格が同一である一方、サービス料はA国のほうが高い状態が生まれ、A国の物価はB国よりも高くなる。
以上のように、輸出競争力に差があり、非貿易財が存在する場合に、実際の為替レートと購買力平価には差が生まれる。
サービスの価値が違うとの見方もある。例えば、懐中電灯はどこの国で買っても価値が等しいが、東京で散髪することと、ホーチミン市で散髪することは、投入財の価格が違うため価値が異なるという見方である。このとき、価値差が物価に織り込まれている場合は、購買力平価での比較が無意味となる。
また、国際市場における購買力比較では実際の為替レートが有効になるため、購買力平価は当てはまらない。
国際市場における為替レートと購買力(通貨の実力)の関係を見る場合に、もうひとつ注意すべき点がある。主要通貨の実質実効為替レートの変遷(1964〜2007年、2000年 = 100)