灯油(とうゆ)とは、沸点範囲が170〜250℃程度の石油製品(および中間製品)の総称である。元来はランプなど照明器具のための油のことであり、こうした用例ではともしびあぶらと読む。現代日本の日常生活では灯油を「石油」と呼ぶことも多い。ジェットエンジンやロケットエンジンの燃料用のものは、ケロシンと呼ぶことが多い。
目次
1 概要
1.1 エンジンの燃料としての灯油
1.2 照明器具の燃料としての灯油
2 品質
3 販売
4 不良・不純灯油の問題
5 取り扱い
6 各国語での呼称
7 関連項目
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灯油は、原油の常圧蒸留およびその後の精製によって得られる製品である。無色透明で特有の臭気を放つ液体で、炭素数9から15の炭化水素を主成分とする。硫黄分80ppm以下、引火性はあるが引火点は40℃以上と常温より高いため常温では引火しない。取り扱いが容易であるため、家庭用の暖房機器や給湯器、燃料電池等の燃料に使われる。また工業用、産業用途として洗浄あるいは溶剤にも用いられる。
ただし、引火点以下の状態にあっても霧状の粒子となって空気中に浮遊することがあるため、この時はガソリンに匹敵する引火性を持つ。また、人体への影響としては皮膚炎や結膜炎を引き起こすことがある。
詳細はケロシンを参照
また、精製度を高めたものは航空機のジェットエンジンを始めとするガスタービンエンジンの燃料に使われる(ケロシンを参照)。ジェットエンジンの燃料がガソリンであるとの誤解も少なからずあるが、油種としては灯油が最も近い。
古来より神事等に使用されてきた灯油(ともしびあぶら)としては、魚油、榛油、椿油、胡麻油等が使用されてきたが、9世紀後半に離宮八幡宮の宮司が荏胡麻(エゴマ)の搾油機を考案してからは荏胡麻油がその主流となった。17世紀以降は荏胡麻油に替わり菜種油や綿実油が灯油として主に用いられるようになった。
灯油の品質は日本工業規格 (JIS)で規定されている。
1号灯油
一般に利用されるものは精製度が高く不純物(特に硫黄分)が少ないという意味で、「1号灯油」通称「白灯油」の名称が与えられている。1号灯油に要求される品質は、発煙性成分が少なく燃焼性がよいこと、燃えカスがでないこと、刺激臭等がないこと、適当な揮発性を有していることとされている。
2号灯油
精製度が低く淡黄色をしており、主に石油発動機用の燃料であった。その色から「茶灯油」とも呼ばれる。2005年時点では日本国内で生産・流通されていない。
硫黄分0.008質量%以下(80ppm以下)(1996年以前150ppm)
2号灯油は0.05質量%以下(500ppm以下)
引火点40℃以上
色+25以上(透明度 = セーボルト色)
95%流出温度270℃以下(2号灯油は300℃以下)
煙点23mm以上(11月〜4月は21mm以上)
銅板腐食1以下(50℃で3時間測定法による)
法定比重0.80
灯油はガソリンスタンド(一部店舗と高速道路内のサービスエリア・パーキングエリアを除く)のほか、ホームセンターや米穀店、生協、移動販売など広い販路で販売され、家庭への配達が行われる。近年(2004年の段階)では低価格のセルフ式ガソリンスタンドや、ホームセンターでの持ち帰り購入が増えている。
特に冬の寒さが厳しい北海道・東北地方では、一世帯あたり平均で年間約1,500から2,000リットル程度の灯油を消費することから、一軒家では500から1,000リットルクラスのホームタンクに灯油を備蓄し、家屋内の石油ストーブやボイラー等へ自動的に給油するシステムを持つことが一般的である。灯油が少なくなるとタンクローリーを呼んで、ホームタンクに給油する。
灯油の販売機会が少ないガソリンスタンドで、誤ってガソリンを販売するミスがまれに発生している。最近においては、セルフ式スタンドで本来軽油を給油すべきディーゼル自動車に価格の安い灯油を給油する行為があるが、これはディーゼルエンジンはもちろん環境にも悪影響を及ぼしかねないばかりか、軽油引取税上の脱税行為となる。