火の鳥2772
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火の鳥2772 愛のコスモゾーン
監督手塚治虫
杉山卓
製作市川喜一
明田川進
脚本手塚治虫
杉山卓
出演者塩沢兼人
三輪勝恵
音楽樋口康雄
撮影八巻磐
編集井上和夫
配給東宝
公開1980年3月15日
上映時間122分
製作国 日本
言語日本語
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Variety Japan
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『火の鳥2772』は、手塚治虫の代表作の一つ『火の鳥』シリーズの映像化作品の一つで、1980年に公開された手塚の原案・構成・総監督による劇場用アニメーション映画。副題は「愛のコスモゾーン」。手塚自らが映像化した唯一の『火の鳥』。
目次

1 ストーリー

2 作品について

3 カットされたシーン・本作に対する手塚の評価など

4 音楽

5 キャラクター解説、キャスト

6 スタッフ

7 受賞歴

//


ストーリー

22世紀のはじめ……

世界が統一されて地球連邦となり、極度に合理化された未来社会?そこは元老院に属するひとにぎりのエリート達によって支配される世界だった。

人間は人口過剰を防ぐため、限られた人数だけが試験管ベビーとして生まれ、一人一人がコンピューターの精密な適性検査によって将来の仕事を決められ、専門教育を受けて育つ。育児ロボット・オルガに育てられ、宇宙ハンターとして成長したゴドー・シンゴもそんな一人だった。

宇宙ハンター訓練所で射撃の腕を教官のボルカンに見込まれて、特訓を課されるが、そのいずれにもゴドーは優秀な成績をおさめた・・・生きた宇宙人を使った射撃訓練以外は。ボルカンに叱責されても、彼はおびえている宇宙人を目の前にして、銃の引き金を引くことができなかった。手本と称して宇宙人達を粉々に撃ち砕くボルカン。その夜、悪夢にうなされるゴドーの心の中に非情な管理体制に対する反発が芽を出し始めていた。彼を理解しようとするオルガ。翌朝、訓練所の前でゴドーとボルカンが衝突した時、オルガの心の中に今までにない感情がわき起こった。次の瞬間、ボルカンの乗った車を高くさし上げて、走り出し、橋の欄干に置いてきてしまった。

ある日ゴドーは科学センター長官のロックに特別任務として謎の宇宙生命体2772の捕獲を命令される。見返りとして、街の外へ出る許可をもらうゴドー。初めて見る海や花に「きれいだ」と心動かされるが、自分の身分では許されない罪を犯すことになるとは知るはずもなかった、まして、そのことでオルガが一人、心を痛めるとは……。

ゴドーはロックの許婚である上流階級の娘レナと恋愛事件を起こし、罰としてアイスランドの強制労働キャンプへ送られてしまう。キャンプは非常に過酷な環境だった。そこで出会った奇妙な老人、サルタ博士は政府に批判的な言動をしたかどでキャンプ送りになったのだった。

サルタにより、地球が亡びかけていることを知ったゴドー。彼がロックに捕獲するよう命令された宇宙生命体2772、つまり"火の鳥"は、宇宙生命のすべてにかかわるエネルギー体で、サルタは火の鳥の生き血を元老院がひとりじめにしようとしている、自分は世界中の人間、生き物にそれを分析してわけあたえてやりたいと言うのだった。

サルタの言葉にうたれたゴドーは、協力することを申し出た。そこにはゴドーの居場所を知ってやって来たオルガも、レナのペットだった留学生の宇宙人ピンチョもいた。大地震の混乱に乗じていっしょにスペース・シャーク号を奪うことに成功、伝説の火の鳥を捕まえ、地球を救うべくはるか広大な宇宙へ飛び立った!


作品について

漫画を原作とした他の『火の鳥』の映像と違って、永遠の生命を持ち、その生き血を飲んだ生き物が不老不死になれる火の鳥を狂言回しにした共通したテーマを持ちながらも、漫画の未来の部分をひとまとめに総括したともいうべきオリジナルストーリーによるアニメ映画となっている。広告で「スケールの大きなストーリー展開と奥深いテーマを味わうことが出来る、 手塚アニメの総決算とも言える内容」と評されていた。

この作品はフルアニメーションに挑戦、キャラクターごとに担当者が描くキャラクターシステム、ロトスコープ、スリット・スキャンなど当時の最新技術の導入、オープニングの火の鳥が飛ぶシーン、映画の最初の方に出てくる主人公ゴドーと女性型育児ロボット、オルガが乗ったリニアカーをひたすら追う都市の大俯瞰の光景、強制労働キャンプでの群衆シーンなど見所が多い。また、昔の映画に出てくる、白地に黒文字のタイトルが手塚には鮮烈で、それを一度やってみたく思い、『火の鳥2772』でそうした、ということである。

手塚が「スーパーマン」という雑誌の1979年の正月号で小野耕世との対談を行った際に小野が手塚のSF漫画「旋風Z」に出てくる主人公とジェットに変身できる母親ロボットの関係が好きだと言ったが、この時既に手塚の中にはジェット2世という名称でオルガの構想ができていた。また、昭和初期の海野十三のSF小説、『地球要塞』に出てくるアンドロイド、オルガ姫からの影響もあるようだ。オルガはジェットや車などに変身できるが、後半に出てくる火の鳥も変幻自在に変身でき、手塚の変身願望(あるいは変形願望)が全編にあふれている。

『火の鳥2772』でのバイタリティあふれる男性的な火の鳥は、市川崑監督の実写版の『火の鳥』のアニメの部分をアメリカに持ち込み、その反応から生まれたという。

ゴドーの名前には謎があるが、それについて手塚はとくに言及していない。手塚の漫画『七色いんこ』の"ゴドーを待ちながら"という話にオルガがゲスト出演しているが、ゴドーは出ていない。「ゴドーを待ちながら」とは、サミュエル・ベケットによる戯曲で、二人の男がただひたすらゴドーを待っているが、ゴドーはついに現われない、という話である。

一説には、作品の中に出てくる労働キャンプがソ連シベリア強制収容所と比較されて、ソ連の全体主義への批判があると言われている。さらに、世界が一つに統合された未来社会という設定は今問題となっているグローバリズムのなれの果てともとれ、重大な問題提起をしているようだ。

手塚には大きなこだわりがあり、この作品の狙いをファンタジーと言い、系列として『やぶにらみの暴君』(これは旧題で、現在の題名は『王と鳥』)に属するもので、SFとして評価されたくないと強調している。

この映画では、さまざまな形の愛が火の鳥を主軸として描かれており、手塚の分身とも言われるサルタと火の鳥の関係性、優しさと勇敢さを兼ね備えた少年が主人公であること、母性への賛歌など手塚らしさがふんだんに入っており、特にラストシーンでは母性の賛歌が象徴的に描かれている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki