湿地(しっち、英:wetland)とは、淡水や海水により冠水する、あるいは定期的に覆われる低地のことである[1]。生物、特に水生生物やそれを餌とする鳥類の重要な生育・生息場所となる。ウェットランドともいう。
目次
1 定義と範囲
2 特徴
3 湿地の種類
4 湿地の開発と保全
5 脚注
6 関連項目
7 参考文献
8 外部リンク
//
湿地から連想する用語として湿原があげられるが、湿地には幅広い意味があり、その他にも湖、沼、地下水系、水田、ため池、干潟、マングローブ、藻場やサンゴ礁などが含められる。このように湿地の定義や範囲は広く、その適用範囲は状況に応じて様々である。
例えば、渡り鳥の保全に関する国際条約であるラムサール条約の登録対象は湿地であるが、その定義は条文の第1条第1項に示されており、下記のとおりである。
第一条 1 この条約の適用上、湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(塩水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む[2]。
また、環境省が選定する日本の重要湿地500の選定基準1では「湿原・塩性湿地、河川・湖沼、干潟・マングローブ林、藻場、サンゴ礁のうち、生物の生育・生息地として典型的または相当の規模の面積を有している場合」としている[3]。
湿地は多様な生物の生育・生息場所や利用環境として重要な場所である。特に渡り鳥の飛来地として注目されておりラムサール条約の登録湿地、鳥獣保護法に基づく鳥獣保護区(集団飛来地)等の登録・指定を受けて、保全・保護の対象となり得る。
また、河川や湖沼などについては「貯水機能」、干潟やマングローブ等については「水質の浄化機能」を有している他、潮干狩りや釣り等のレクリェーションの場として活用されることも多く、人間の生活や活動に対しても重要な位置付けにある。
湿地の種類
湖沼
陸地等に囲まれた閉鎖性の水域である。地理的な隔離がおこりやすいためしばしば固有種が確認される。
湿原
湖沼などに土砂や植物の枯死体が堆積したり、河川がせき止められたりして成立したものである。高層湿原・低層湿原・中間湿原等の種類がある。
河川
陸地と海域を連絡する水の流れのことである。内陸と沿岸を行き来する魚類(サケ・ヨシノボリなど)や甲殻類(モクズガニなど)が存在し、河川横断構造物による上流と下流の分断はその生息に影響を与える。
干潟
主に河川の河口部や沿岸域に存在する砂泥が堆積した場所のことである。底生生物を中心とした多様な生物相とそれらを餌とする鳥類の生育・生息環境として重要であるとともに、陸地からの過剰な有機物等の浄化作用を有する。またアサリやハマグリ等の二枚貝が豊富であり、潮干狩りが行われる。
マングローブ
主に熱帯から亜熱帯の汽水域に分布する森林のことである。俗にマングローブ植物と言われる特徴的な植物群が生育するとともに、多くの動物の生息環境を提供している。東南アジアなどでは漁場として重要であるとともに、高波や台風などを防除する役割も有する。
藻場
主に水深20mまでの海底に立地する海草や海藻が繁茂した地域である。陸地における森林と同様な機能を有し、酸素の供給や炭素の貯蓄等が行われる。また、藻場そのものが魚類やウミガメ等の餌となる他、多くの海生動物の生息環境としても重要である。またヒジキやアオサ等の食用となる藻類の採取場所ともなる。
サンゴ礁
主に熱帯から亜熱帯の浅海域に分布するサンゴの群落である。藻場と同様に酸素の供給機能や炭素の貯蓄機能を有する。また多様な生物に対して生息・繁殖・採餌環境を提供している。ダイビングの場としても利用されている。
上述のように、湿地は生物の生育・生息環境として重要な地域であると同時に、人間の利用の場としても重要であり、しばしば開発の対象となる。たとえば河川などはダムの設置、干潟やマングローブなどは沿岸海域の埋立などが行われている。そのため、多数の条約や法令等により湿地の保全・保護が図られており、いくつかの地域ではラムサール条約や鳥獣保護区等の登録・指定を受けている。