水力発電(すいりょくはつでん)は、水が落下するときのエネルギーで発電を行う方式のことである。
現在最も一般的なのは発電用水車を水の力によって回転させることで発電を行う。 発電用水車と発電機を組み合わせたものを水車発電機(すいしゃはつでんき)という。
落差さえあれば発電が可能であり、高いところにあるダムやため池、タンクなどから水道用水や農業用水などを供給するときに、途中に水車発電機を設置すれば発電できる。 適応可能な範囲が非常に広い発電方法である。
水力発電と同様に再生可能エネルギーを利用する太陽光発電や風力発電に比べて単位出力あたりのコストが非常に安く、また発電機出力の安定性や負荷変動に対する追従性では、数ある再生可能エネルギーの中で王者とも言われる。
また世界的に見ると、特に開発途上国において大量の未開発水力地点があるといわれ、この未開発水力の合計は年間発電量として17兆キロワット時であり、世界の全電力消費量が12兆キロワット時程度であることを考えると、これは莫大な資源量である。
目次
1 歴史
2 理論
2.1 水のエネルギー
2.2 理論水力
3 水力発電の構成
3.1 取水口
3.2 沈砂池
3.3 導水路
3.4 水槽
3.5 水圧管路
3.6 発電所
3.7 放水路
4 水力発電の分類
4.1 落差を得る方法による分類
4.2 運用上の分類
4.3 出力規模による分類
5 水力発電のコスト問題
6 参考文献
7 関連項目
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水の力を動力として利用するという考えは、古代より続くものである。 流れる水の力を水車によって抽出し、得た動力で製粉・紡績などを行っていたとされている。
電気がエネルギーとして利用され始めたころ、水車に発電機を結合した水力発電は発電の主力だった。 この時代は水主火従の時代(すいしゅかじゅうのじだい)と呼ばれている。
やがて産業の発展により電力需要が伸びてくると、多くの大容量火力発電所が建設されるようになる。 いつしか火力発電が台頭し、火主水従の時代(かしゅすいじゅうのじだい)となった。 揚水発電所の建設も始まったが、この当時は豊水期に貯水し、渇水期はその水を繰り返し発電に利用することで年間を通じて発電を行うようにするという、年間調整が主だった役割であった。
その後、原子力発電所の運用が始まったとき、昼間と夜間との電力需要の格差拡大が問題となっていた。 原子力発電所は高効率で運用させる方針から、需要にあわせてその出力を変動させるということはせず、一定の出力で運転している。 従って夜間の軽負荷時は原子力以外の発電所(主に火力発電所)の出力を押さえることになるが、そのような運転は効率の面で好ましいものではない。 そこで、夜間の余剰電力は揚水発電所において揚水運転として消化するという考えが持ち上がった。 揚水発電所は、単位出力あたりの建設費が火力・原子力発電所より安いことが注目され、夜間に揚水・貯水し、昼間のピークに備えるという目的へと移っていき、それに特化するように大規模な純揚水発電所が建設されるようになった。但し、その結果水に含まれる不純物が原因のダムの堆積物増加が問題化し始めている。
流水は位置エネルギー・運動エネルギー・圧力エネルギーを持っている。流水の持つこれらのエネルギーを水力(すいりょく)という。
流水を作用させる点を基準点とすると、高さ h (m) にある質量 m (kg) の水は、mgh (J) の位置エネルギーを有している。
質量 m (kg) 、密度 ρ (kg/m?) の水が自由落下するとき、ある一点における流水の速度(流速)を v (m/s)、圧力(水圧)を p (Pa) とすると、この流水のエネルギーは以下の三形態によって表すことができる。
位置エネルギー: [J]
運動エネルギー: [J]
圧力エネルギー: [J]
水管路でのエネルギー消費を考えないものとすれば、流路のどの点においても流水が持つエネルギーの総和はエネルギー保存の法則により等しい。これが、ベルヌーイの定理である。それぞれを mg (N) で除したものを水頭(すいとう)という。
[m]・・・ 位置水頭(いちすいとう)
[m]・・・ 速度水頭(そくどすいとう)
[m]・・・ 圧力水頭(あつりょくすいとう)
水頭はヘッド (head) ともいい、高さの単位によって表す。