感染経路(かんせんけいろ 英:route of infection)とは、感染を生じた個体や環境中に存在する病原体が、未感染の個体に到達して新たに感染を起こす経路をいう。病原体によっては複数の感染経路を介して感染を生じる場合もある。伝染病をはじめとした集団感染や院内感染の予防など感染管理上は病原体を突き止め感染源を割り出すことも重要だが、何よりも感染経路を絶たなければ収束は図れない。
目次
1 主要な感染経路
1.1 接触感染
1.2 飛沫感染
1.3 飛沫核感染(空気感染)
1.4 経口感染
1.5 ベクター感染
1.6 血液感染
1.7 母子感染
2 感染経路の同定
2.1 病原体が同定できる場合
2.2 病原体が同定できない場合
3 関連項目
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主要な感染経路以下に感染経路における感染症の例が挙げられているが、感染経路が複数ある場合があり1対1の関係ではないことに注意が必要である。
皮膚や粘膜の接触、または医療従事者の手や聴診器などの器具、その他手すりなど患者周囲の物体表面を介しての間接的な接触で病原体が付着し、その結果感染が成立するもの。
伝染性膿痂疹など皮膚疾患や流行性角結膜炎など眼科疾患が代表的。
疥癬をはじめ、精液を介した性感染症の多くも含まれる。
医療現場ではMRSAなどの薬剤耐性菌の伝染の主要な経路である。
患者の咳やくしゃみ、あるいは気道の吸引などによって飛散する体液の粒子(飛沫)は時に病原体を含んでいるが、5マイクロメートル以上と大きく重いものは3フィート未満しか到達しない。これが他人の粘膜に付着することで感染が成立する。
風疹ウイルスを始め上気道炎症状を伴うウイルス感染症の多くや細菌性肺炎が代表的。
SARSの原因となったコロナウイルスについてもこの経路が主体だと考えられている。
飛沫として空気中に飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して5マイクロメートル以下の軽い微粒子(飛沫核)となってもなお病原性を保つものは、単体で長時間浮遊し、3フィート以上の長距離を移動する。呼吸により粒子を吸い込むことにより感染を生じる。
麻疹(はしか)・水痘(水ぼうそう)・結核が代表的。
コロナウイルスでも可能性が示唆されている。
感染動物由来の肉や、糞便で汚染された水などの経口摂取により感染が成立する。
前者の例としてBSE、後者の例として病原性大腸菌O157やサルモネラ。
他の動物(特に節足動物)が媒介者(ベクター)となって、伝播することで感染が成立するもの。(1) その病原体の生活環の一環として、ベクターの体内で発育、増殖し、そこから感染する場合と、(2) 単にベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播される場合(機械的ベクター感染) とがある。
(1) の例は、カによる日本脳炎やマラリアなどの媒介、シラミによる発疹チフスの媒介。
(2) の例は、ハエによる病原大腸菌O157や赤痢菌の媒介、鳥インフルエンザの鶏舎間媒介。
注射や輸血などといった医療行為の他、外傷による出血が他者の目など粘膜に触れるなどして、血液中の病原体が感染を生じる。
HIV、B型肝炎、C型肝炎、クロイツフェルト・ヤコブ病が代表的。
大量の曝露があれば梅毒も考慮される。
垂直感染とも。さらに次の様に分類される。
胎内感染(経胎盤感染・経羊水感染): 胎盤を通る血液を通じて感染。風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルスなど。
産道感染(経膣感染): 出産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染。B型肝炎やHIVなど。