この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
殺人罪(さつじんざい)とは人を殺すことによって成立する犯罪である(殺人も参照)。
殺人罪
法律・条文刑法199条
保護法益人の生命
主体人
客体人(行為者以外の自然人)
実行行為殺人行為
主観故意犯
結果必要(即成犯)
実行の着手行為者が殺意をもって殺害の危険を含む行為を開始した時点
既遂時期殺人行為の結果として被害者の死亡
量刑死刑・無期懲役・5年以上の懲役
未遂・予備予備罪(201条)、自殺関与及び同意殺人罪(202条)、未遂罪(203条)
目次
1 概説
2 日本法における殺人罪
2.1 法定刑
2.2 適用範囲
2.3 保護法益・客体
2.4 故意犯
2.5 未遂
2.6 予備
2.7 尊属殺重罰規定
3 殺人罪以外の殺人・致死の罪
3.1 殺人罪との法条競合
3.2 他の罪の結果的加重犯・過失致死
4 日本法以外の殺人罪
4.1 英米法
5 関連項目
6 外部リンク
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他人を殺害することは、近代の社会において、おおむね普遍的に「好ましくないこと」とされている。そのため、殺人は、多くの国で犯罪として規定されており、殺人をした場合には殺人罪に問われる。近代社会では、人命は高い価値を持っているとされているため、殺人罪はほぼ例外なく重い犯罪として規定されている。
ただし、他人を殺したら犯罪として処罰するということについては、近代社会ではおおむね共通しているものの、細かなところでは各国で扱いが異なる部分がある。「殺す意思があって殺した場合と、殺す意思がなかったが死んでしまった場合との違い・その間の線引き」や「人を殺しても処罰されない場合の規定」などの部分である。また歴史的には、他人を殺すことが犯罪であるというのは常識であったとはいえない。
以下、日本における殺人罪の規定と、諸外国における規定について説明する。
日本法では、殺人罪は、刑法199条に規定されている。
参考
刑法 第二十六章 殺人の罪
第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第200条 ※注:尊属殺重罰規定。後述
削除
第201条(予備)
第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
第202条(自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
法定刑は死刑、無期懲役又は5年以上の有期懲役のいずれかである。情状によって、この中から選択される(2004年の刑法改正により、従来の「3年以上」から刑の下限が引き上げられた)。
もちろん、法律上の減軽や酌量減軽により5年未満の刑を宣告することは可能である。
一般に、日本法は属地主義(犯罪行為が行われた場所が日本国内・日本船籍船内・日本籍航空機内で行われた場合に処罰する)を原則としている。しかし人命はきわめて貴重なものであるがゆえに、殺人罪については、属地主義に限定せず広い範囲での処罰が行えるもののひとつであると定めている。
日本国民が国外で人(日本人だけでなく外国人も含む)を殺した場合のほか、日本国民が国外で殺害された場合にも、殺人罪は成立する(刑法3条、刑法3条の2)。
本罪の保護法益は人の生命であり、客体(対象)は「人」(自然人)である。行為者以外の他人であることが必要で、自分自身を殺す(自殺、自傷行為)場合には殺人罪とはならない(ただし他人の自殺への関与は自殺関与罪となる)。
人と胎児の区別(人の始期)
人を殺害した場合には「殺人罪」になるが、胎児を殺害した場合には殺人罪よりは軽い「堕胎罪」となる(その胎児を殺したことにより、自然の分娩時期を早めた場合)。殺人罪と堕胎罪の区別については「人の始期」を参照せよ。
人と死者の区別(人の終期)
生きている人の体を損壊して殺害した場合には「殺人罪」になるが、死体を損壊したにとどまる場合には殺人罪よりは軽い死体損壊罪となる。脳死者からの臓器摘出などの際に問題となる。殺人罪と死体損壊罪の区別については「人の終期」を参照せよ。
殺人罪は、故意犯である(38条1項)。旧刑法では謀殺罪と故殺罪に分けられていたが現行法ではこの区別はない。
殺意(殺人の構成要件的故意のこと)はなかったが、暴行・傷害によって他人を死に至らしめた場合には、殺人罪ではなく傷害致死罪となる。殺人の意思も暴行・傷害の意思もないが過失によって人を死に至らしめた場合には過失致死罪となる。詳しくは「結果的加重犯」の項目を参照。
未遂も罰せられる(刑法203条)。